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2020年10月22日10:00

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茶聖・読了


☆ 茶聖・伊東潤著 幻冬舎 2020年2月20日刊 読了

同じ著者で前に読んだ「天下人の茶」の方が資料にとらわれずに自由に筆の任せるままでした。
が、今回は千利休の資料を読み過ぎて、そこが動かせなくて創造の面白味に欠けました。
前の小説は利休を取り巻く関係者のスピンオフの感が有りましたが今回は題名の通りです。


やはり「天才」を描くのは難しいのですね。
小宮豊隆の「世阿弥・利休・芭蕉」それぞれのジャンルの天才を書いたものを読んだ事がありますが難しかった。
小島政二郎の「芭蕉」の第一章は「芭蕉は天才である」の一行で一章と云う大胆な小説でした。

それぞれの章「覇者」「蜜月」「相克」「聖俗」「静謐」五章に分かれていて時代を追ってます。

登上人物の解説もあり、それも登場順に書いてあるのでとても親切です。
一番お終いのページには「茶道具等一覧」が有り茶碗・茶入・茶壷・書画・花入水指香炉 が書いてあります。
*上野国立博物館や五島美術館・根津美術館・三井・山種 等で見た事が有りました。
特に「初花」の茶入は、道具屋の山下でその写しを見せて貰い、手に触れさして貰いました。
やはり道具は触れ無いと実感がわきませんね。

昔 某結婚披露宴が某プライベート美術館で行われ「名物に近い井戸茶碗」を触らせて貰い感動しました。
下世話で申し訳ありませんが、値段を付けると一千万円の価値のあるものでした。
まったく茶道を稽古した事の無い人でも面白く読めると思います。


*詫と寂の問題も面白い解釈です。
武野紹鷗→千 利休→古田織部→小堀遠州 と云う茶道の伝承と創造がそれとなく描かれてます。
私は、裏千家さんの宗匠で手ほどきを受け、今 お付き合いさせて貰ってるのは三斎流のお偉い方です。

この本を読んで、茶筅でも買ってお薄でも点てようか? そんな思いをする小説です。
ブックカバーは秀吉の「黄金の茶室」です。
私も熱海のMOA美術館で拝見した事があります。
その黄金の茶室も面白い狂言廻しに成っております。


今日の一句
|、柿甘くお薄頂く秋の宵
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