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2020年05月20日14:43

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corona

欧州コロナ通信 第229回 2020年5月20日

今年3月31日に書いた原稿です。
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コロナ危機・なぜドイツの死亡率は低いのか

 メルケル政権はなぜ史上初の「接触制限令」を出して、市民生活や経済活動を制約する措置に踏み切ったのだろうか。その理由は、イタリアやスペインのような事態を防ぐことだ。これらの国々では、感染者特に重症者の急増に医療機関が対応できなくなり、死者がうなぎ上りになっている。1日に数百人、時には千人近い重症者が呼吸困難のために亡くなっている。特に深刻なのは、集中治療室や人工呼吸器の不足だ。
 イタリアやスペイン、フランスでは、感染爆発またはオーバーシューティングと呼ばれる状態が現実化している。
 窮地に陥ったイタリアやフランスの病院は、一部の重症者をヘリコプターや軍用機でドイツの病院に搬送している。運べるのは多くても10人前後だが、仏伊としては藁にも縋る思いで、外国の病院に救援を要請し、患者の命を1人でも救おうとしているのだ。
 ジョンズホプキンス大学によると、3月31日朝の時点のイタリアの感染者数は10万1739人、死者数は1万1591人。感染者数の中の死者数の比率(死亡率)は11.4%。これに対しドイツの感染者数は6万6885人、死者数は645人。死亡率は0.96%と大幅に低くなっている。
 ドイツの死亡率が他国よりも低い理由は、いくつかある。1つは検査数の多さだ。ベルリン・シャリテ病院のドロステン教授が3月26日に明らかにしたところによると、ドイツでは毎週約35万人がPCR検査を受けている。韓国でも感染者が一時急増したが、多数の市民を検査し、陽性者や接触者を隔離することによって、3月第1週からの1ヶ月間で、1日あたりの新規感染者数を大幅に減らすことに成功した。ドイツも韓国と似た戦略を取っている。
 もう1つの理由は、ドイツ政府がウイルス拡大の兆候を他の欧州諸国よりも早くキャッチして、隔離や治療を始めたことだ。
 イタリア北部では1月末に肺炎患者が増えていたが、政府はこれが新型コロナウイルスによるものであることに気が付かなかったため、市民の行動制限措置が大幅に遅れ、病院やサッカーの試合を通じて感染者が爆発的に増えた。
 ドイツでも謝肉祭のパレードや、イタリアからのスキー客の帰国によって感染者が増えている。ドイツでも、イタリアやスペインのように、医療体制が重症者数の増加速度に対処できなくなる可能性はゼロではない。3月26日にシュパーン健康大臣は「今は、嵐の前の静けさだ」と述べ、楽観を戒めている。

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