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2019年12月20日20:12

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【映画】『家族を想うとき』

英国ニューカッスルに暮らすリッキー・ターナー(クリス・ヒッチェンさま)は、マイホーム購入を目標に、PDFと言う運送会社にてフランチャイズの宅配ドライバーとして働き始める。妻アビー(デビー・ハニーウッド姐さん)の車を売り、仕事用の大型車をローンで手に入れ、「ノルマあり」「保証なし」「ペナルティあり」という理不尽で過酷な労働条件の下、家族のために働き続ける。アビーはパートタイムの介護福祉士として時間外も働いていたが、バス移動になったため、労働時間がさらに延びてしまう。両親の不在により高校生の息子セブ(リス・ストーン君)と小学生の娘ライザ(ケイテイ・プロクター御嬢様)が寂しさを募らせ、家族がバラバラになってしまったとき、リッキーがある事件に巻き込まれてしまう。


「映画を一本観ると言うことは、違う人の人生を垣間見せてくれることよ」とは、敬愛する美輪明宏先生のお言葉ですが、この100分の映画にはそうした人生と社会のギュッと詰まった秀作でありました。名匠であるケン・ローチ監督の作品とは二十年近くお付き合いしておりますが、この人の人生の価値観や理不尽な社会に対する怒りのぶれなさは大したものでありまして、前作の『わたしは、ダニエル・ブレイク』を以て引退すると言うことを引っ込めて齢80にしてこの才気。脚本を担当されているポール・ラヴァーティさまとのコンビも相変わらずの安定感でして救いようの無い話でありますが、それでも見せてしまうのは流石でございます。

今回の運送会社がどれだけブラックなのかを申し上げると一日休んだら100ポンド(14260円)のペナルティに車を二分離れただけで警告のアラームが鳴り、ある日、運送中に小便をする為に尿瓶で泣く泣く用を足していたら暴漢に襲われて重傷を負うのですが鬼のマネージャーから「盗まれた荷物は保険でカバー出来るが、パスポート二冊で500ポンド(71000円)そして、暴漢が壊したスキャナー代として1000ポンド(142600円)を支払え」と病院の待合室にて電話が掛かってきて、それを聞いていた奥様のアビー姐さんが「こんな大変な時に電話をしてくるなんて正気?私たち家族をバカにしないでよ」と激怒してしまうのですが、一番哀しいのはそれを聞いていた待合室の方々に「介護の仕事をしているのに汚い言葉で罵ってこめんなさい」と謝ってしまうのであります。至極真っ当な価値観を持っている人なのに何でこれだけ理不尽な目に遭わなくてはならないのでしょうか?

今回この映画を観て反省したのは、自分はヤフーにてお買い物をしている事が多いのですが、「不在配達票」を何枚も出してしまいドライバーの方に散々迷惑を掛けて来たので、今後はシフト表をみながら確実に自分が自宅にいる時に配達時間を指定して注文を確定させる。そして職業上ドライバーの方々に接する時間があるので極力お待たせしないように仕事を遂行すると言う「自分に出来ること」から少しでも世の中が良くなってくれたらと願わずにはいられませんでした。
東京二十三区内では新宿武蔵野館とヒューマントラストシネマ有楽町でのみの上映ですが、この内容でしたらもう少し拡大公開があっても良いと思いました。観る機会があったら是非ご覧願いたい映画として推薦致します。


https://longride.jp/kazoku/

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