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2019年11月18日15:48

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国語で考える1

読み書き日本語
 わが国には江戸時代にできた「読み書きそろばん」という教育の基本がありました。わが国には三百年以上前、十七世紀末に都市住民の大半が文盲でなくなったという他に例を見ない教育レベルを実現した実績があります。
 それが「読み書きそろばん」です。まずはその読み書きです。
江戸期の社会・文化は平和がもたらしたものですが、同時に現在の日本語の基本部分が固まってしまったのもこの時期だと考えられています。わが国で世の中から文盲がほぼ消えたのは明治以降の教育改革の成果でもありますが、それ以前に江戸期の教育水準の高さがあったことを忘れてはなりません。そして、そこに世界的にも特殊な言語である日本語が介在していると考えられます。
 世界には何百という言語がありますが、その中には文字を持たない言語がかなりの比重を占めています。日本語ももともと文字を持ちませんでした。日本原住民の一つであるアイヌの文化が後世に十分伝わらなかったのは、アイヌ語が文字を持たなかったからだといわれています。
そこで、現在の日本人の祖先とされる大和民族は、その支配者たちの大半が大陸出身者たちだったためもあり、また「大陸=文明」という時代が続いたためもあって、漢語を文字として取り入れました。万葉仮名がその代表です。
漢字は、漢の時代に確立した中国の文字です。それ以前からあった象形文字が元だということは広く知られています。わが国ではこれを輸入し、その後その一部を使って音のみを表す万葉仮名を、その漢字の一部を使ったカタカナを発明しました。現代中国の簡体文字と同様です。次いで女文字としてよく使われる単音漢字を草書よりもっと崩した平仮名を発明しました。
そうして原日本言語だった日本固有のことばを書き表す仮名文字を生み出し、漢字かな混じり文という独特の言語を確立しました。私はこれこそが今日の日本人の能力を生み出した原動力だったのではないかと考えます。
漢字で不十分なものに関して国字も発明しましたし、漢字の読み方には、本来の漢音のほか、上代に朝鮮経由などで入ってきた呉音(江南地方の音)、次いで奈良・平安時代に唐との交流から唐音(長安の音)が入り、さらに鎌倉・室町時代に禅僧によってもたらされた宋音があります。わが国ではこれらに日本読み(訓音)を加えたため複雑さを増しました。
最近の脳科学の研究で、日本人には失語症の症状に漢字失語症とかな失語症の2種類があり、億単位の人口を持つ民族では他に例類を見ないことがわかってきました。この、わが国独自の国語の複雑さが、脳に余計な負担を与え、その余計な負担というストレスが日本人により高い知性すなわち考える力を自然に醸成してきたとも考えられるのです。

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