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2019年10月23日23:27

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都市伝説

都市伝説・・・。

口裂け女など幾多のありえない風説が世を席巻した時がありました。でも、まさか自分が本当にそれを目の当たりにするとは・・・。


これは、僕が小学校6年生の時の話です。



「S公園に、首のない落ち武者の霊が夜中に出るんだってよ。公衆トイレの近くの大きな木の前で『ない!ない!』って言いながら自分の首を探してるんだってよ。」
と、丸山くんは堰を切ったようにこう話してくれました。




彼はちょっと頭がオタンチンな残念な子で、理科の実験に使う予定の氷砂糖1パックを業間休み20分間の間に全て盗み食いしたり、放課後、理科室に忍び込んでフラスコに絵の具、糊、昆虫などを混ぜて怪しげなものを作って高らかに笑ったりするなど、気狂いっぷりが半端ない男でした。今頃死んでませんか?丸山くん。




さて、クラスの女子から嫌われツートップの僕らは、夜の8時にS公園(かなり広い公園です)の入り口で待ち合わせをし、都市伝説の真偽を確かめるべく、公衆トイレ近くの藪に潜んでいました。



藪の中で、エロ本を僕が見つけて2人は異様な興奮状態。それを見ているうちに「もっと近くに寄っていいか」『おう、俺もそう言おうと思ってた』みたいな、やり場のない未熟な性欲から何か変な雰囲気になり、男同士で乳繰り合うんじゃねえかぐらいの勢いの時に、僕たちは見たのです。
首のない落ち武者がこちらに背を向けてしゃがんでいるのを・・・。




エロ本に興奮していたせいか、エロ本っていっても、「おや、うちのお婆ちゃんですかな?」みたいな還暦を迎えてるっぽい女性が、セーラー服を着て尻を向けていて、「僕は、君で大人になるーマイ・フェア・レディー」っていう頭の沸いたキャッチコピーがついていてですね、フェアだかフェ○だか知りませんけど、とにかくそのエロ本を丸山が慌てて自分の洋服に隠し、経緯を見守ろうとしたところ、不気味な声が聞こえてきました。




「・・・ない、ない・・・。」





もはや恐怖の限界だったのでしょう、
丸山は「ワッワッワックス キャッホーーー!」みたいに叫んで藪から飛び出してた。お前はたいめいけんの色黒コックか。


その声に気づいた落ち武者がすくっと立ち上がりました。首もあります。しゃがんでいたので首がないように見えたのでしょう。



見た事のあるハゲ散らかし方だと思ったらなんとまあ、うちの親父でした。よく見ると白茶色い小汚い犬も連れています。うちのシロでした。ホームレスに間違えられてもおかしくない佇まいです。

この後、親父にこっぴどく怒られたのですが、真相は以下の通りでした。


親父が、1週間前に飲み屋から焼き鳥を持ってご帰宅。シロが焼き鳥を欲しがったためあげたら串をしっかり持っていたつもりが、串どころか手ごと食われたとのこと。
その後、手を食われるのは免れたが、串は食われたとのこと。もはやシロがギリシャ神話における冥界の番犬のケルベロスか何かになっています。



それで串がシロの内臓をつきやぶらないか心配になり、散歩に行くごとにシロのウンコをほじくって、串がないか毎日確認していたようです。
公衆トイレの近くの大きな木は、シロの脱糞ポイントとのことでした。


この後、シロはまたウンコをしたくなったらしく踏ん張ったところ、親父はシロの尻を激しく揺さぶりながら「頑張れ、頑張れ、諦めんなよ!!」と松岡修造の如く犬の肛門に向かって怒鳴っていました。ハゲ散らかしたおっさんの熱血指導。何の指導なのかさっぱりわからない。こんなことされたら出るもんもアンタ、出ないに決まってるじゃないですか。




深夜の公園で「ウンコ出せ!確認させろ!」と月夜に吠える親父。あまりにも性癖がマニアックすぎるわ。


案の定、シロはウンコを出しませんでした。その後、ママチャリを運転しながら親父は縄を持ち、犬を走らせてご帰宅の途についたのでした。


すると、シロが走りながら踏ん張る姿が遠目に見えるではないですか。僕たちが確認しに行くと、そこにはウンコとウンコから飛び出た串のような物体が。親父の夢見たウンコ・・・それを息子が確かに確認したのです。親子二代ウンコ祭りですね。書いてる自分も言葉の意味がさっぱりわからない。
 



シロのウンコを見ながら佇む2人の少年を月夜が優しく照らします。そう、都市伝説など何もなかったのです。そして2人はこの後、エロ本の領有権を巡って、世にも醜い戦いを繰り広げるのでした。

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