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2019年10月20日23:26

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断つべきものと継ぐべきもの

NHK「アナザーストーリー」で、アパルトヘイトに反対したことによる投獄から解放された際に「白人とともに歩む」ことを宣言したネルソン・マンデラの話を放送しました。若かりし頃は過激な思想を持っていた彼が、27年に及び投獄生活の中で自らを差別した白人の歴史を学び、解放され大統領になったときにはアパルトヘイトを制度化した白人とともに新たな南アフリカを作ることを選びます。自身を閉じ込め監視する白人の看守と友情を通わせたこともあったということで、その看守のインタビューも番組の一つの柱になっていました。

社会集団の差別は集団の分離が強かれば強いほど強固になりますから、個人的な交流は差別を解消する最大の武器となります。差別は個人的な交流を阻害しますから、固定化しやすいし、看守は囚人に対して厳しい態度で接するように命令されていたと言いますから、制度としての差別を継続しようとしていたことがうかがえます。そうした中では、差別構造をひっくり返しても逆の差別構造が発生するだけにとど丸ことが多いのに対して、マンデラ氏はそれを乗り越えて白人を受け入れたわけで、その判断の正しさは、一時的に和平が実現しても繰り返し紛争が起きる地域が数多くある中で南アフリカが安定した政治状況を維持していることが証明しています。

紛争が収まらない原因には他国からの干渉や経済的な問題が関わっていることも多いので一概には言えないにしても、差別をしてきた人々を許すという判断をした指導者を受け入れ、実践したのは国民ですから、マンデラ氏の個人的な思想のみをたたえるのはちょっと違うかもしれませんけれど、それだけの説得力を持って安定した治安を導くための方法論を提示できたことが彼の業績であることに間違いはありません。暴力が横行する中で単純な非暴力は何の力も持ちえないことは確かですが、単純な暴力による報復が解決にならないこともまた事実です。それでも、よりよい未来を実現するために、マンデラ氏が獄中で学んだような知識と思想が多くの人に理解されるとよいと感じました。
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