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2019年08月18日22:49

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摩訶不思議な反戦映画「天国でまた会おう」

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第一次世界大戦の終結前後、好戦的な上官プラデルの悪事に気がついて
生き埋めにされたアルベール。
彼を地中から救い出したエドゥアールは、顔の下半分を吹き飛ばされてしまう。
パリに戻った二人を待ち受けていたのは、帰還兵に冷たい世間だった。

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銀行家の御曹司エドゥアールは、戦死を装い、生還を家族にもひた隠しにする。
小心者のアルベールは仕事も恋人も失い、エドゥアールを見捨てることもできない。
顔の下半分を失くしたアルベールは、食べ物を噛むこともできず、注射器で注入。
痛みをモルヒネで抑えるという地獄のような生活。
声も失った彼はしかし、無垢な孤児の少女と心を通わせ、通訳して貰うことになる。
更にアートの才能に溢れる彼は、次々に奇抜なお面を作り、自分の顔とする。
彼らはかつての上官への復讐と、国を相手に一儲けする大胆な詐欺を企てるのですが…

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冒頭、凄惨な戦争シーンで始まります。
社会派の映画かと思って観ていくと、奇抜な仮面がファンタジーの世界へと誘う。
戦場、1920年代のパリの街角、銀行家の豪華な邸宅、そしてきらびやかな仮面と
リアルとファンタジーが入り混じった、摩訶不思議な世界。
気がつくと、魔術のような映像世界にどっぷり引き込まれていました。
そして終章、華麗な仮面をつけたままのエドゥアールが父親に逢い、
驚愕の行動を取ることで、彼が本当に求めていたものが分かるような気がするのです。
異色の反戦映画には、親と子の悲しい軋轢が伏線として入っていたのですね。

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(フランス版ポスター)

「その女アレックス」の人気ミステリー作家ピエール・ルメートル氏が原作、脚本。
アルベール・デュポンテルが監督、アルベール役として出演。
フランスのアカデミー賞と称されるセザール賞で監督賞、脚色賞など5冠に輝き、
本国では大ヒットとなったというのも頷ける作品です。
この春に上映され、私は映画好きな友人から聞いて今頃知ったのですが
日本では殆ど話題にもならなかったことが残念です。

http://tengoku-movie.com/
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