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2019年02月23日06:43

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1985年ジャマイカの旅ー24

バスが途中で停まる。赤シャツに白パンツ、サングラスというルードボーイ(ジャマイカ名物の街の悪党)が巨大なカセットレコーダーを肩に担いで乗り込んだ。(ミニバスは合図さえすれば、どこでも停まるのだ)走り出して五分もすると、後ろの方からハーフ・パイントが大声で歌いだす。あのルードボーイが古臭く退屈な音に我慢できず、自分のカセットを回し始めたのだ。
ミニバスのスピーカーからは、相変わらずのんびりしたスカが流れている。狭い車内だ。音と音とが重なり、ぶつかり、頭が混乱してくる。しかし、誰も文句を言わない。ドライバーも平然としている。日本だったら、殺傷事件でも起きそうな状況だが、皆の神経の太さは超人的だ。踊りだしたいような、耳栓をして眠りたいような奇妙な気分!

ミニバスは海岸通りをひた走った。真っ白に輝くカリブ海がヤシ林の向こうに悠然と横たわっている。しばらくするとミニバスのスピーカーからフランキー・ポールの派手な声が聞こえだした。途端にドライバーの気合が入り、車がぐんとスピードアップした。(なんという単細胞!)ルードボーイも負けてはいない。誰かのうるさい曲が流れる。「ボウ!ボウ!」「イヤーマン!」と乗客の歓声も混じり、DJ合戦は盛り上がる一方だ。僕にはついていけない騒音と狂気の世界。そして、やっと我慢の限界が来て、ルーディーのカセットが止まった。「クスクス」と隣りの高校生の女の子が笑った。あくまで平然としているドライバーと乗客たち。ミニバスはぶんぶん走り続けた。

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