ここはジャマイカ、キングストン
飛行機を降りる
灼熱の太陽が身を焦がし、陽炎が揺れている
カリプソが草臥れた小さな空港に響き
窓の鉄柵の外に黒い顔の群れが獲物を狙うが如く
光る眼で観光客を凝視する
道ばたで手にかざした品々を売る人
傍らを山羊の群れがのうのうと歩くよ
原色に塗られた家々がカリブだ
あちこちの広い空き地で草を食む牛や山羊は
アフリカだ
暗い裸電球がひとつ灯る小さなバー
常連さん達がホワイト・ラムで浮いてるぞ
薄暗闇には大きな眼と白い歯が笑う
ここはジャマイカ、キングストン
熱くて怖くて黒い人情が溢れてる
はるばる遠くに来たもんだ
日本は足の下かしらん
死ぬ気できたから後悔しないぞ
とレッドストライプをぐびぐびと呑む
ああ、旨いビールだな
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