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2018年05月04日13:30

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「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」〜やがて哀しきトリプルアクセル

1990年代米フィギュアスケート界の醜聞、ナンシー・ケリガン襲撃事件の主人公トーニャ・ハーディングの起伏に満ちた半生を追う。トーニャを演じたのは「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のヒロイン役マーゴット・ロビー。関係者にインタビューして過去をたどる形式。エンドロールでは実話もののおきまり、当時のリアルな映像を流して実在する彼女たちが総登場。

物語の舞台となるのは、フィギュアスケート界よりもむしろ銃所持を含めた暴力的なアメリカ社会の底辺部分。誰ひとりとして穏やかな人物は登場せず、観る側にかなりの嫌悪感を抱かせつつささくれだった場面が続いていく。なかでもトーニャの“鬼母”が放つ個性は強烈で、後半出番が少なくなるのがとても残念、演じたアリソン・ジャネイはオスカー助演女優賞獲得。

物語全体がテンポよく、カメラワークもかなり秀逸。そして冬季五輪をはじめとした各大会でのフィギュアシーンはスタントウーマンを使っているようには見えなかったけどかなりリアル。まあこれはスポーツ映画すべてに共通する当たり前のこと、カメラはかなりプレーヤー(スケーター)に接近できるので、ふだん味わえることのないアングルがぞんぶんに楽しめる。

物語が進むにつれて、孤独な悪(ワル)につきまとう哀しさがじわじわとにじみ出てくるこの作品、ぜひフィギュアスケート好きのみなさんにも観ていただきたい。(もちろん実際にもそうなのだろうけど)日本のフィギュアスケーターたちはあまりにも美しくピュアに語られているように思うから、たまには毒をじっくり味わってほしいと思ったりするわけです。



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