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2016年08月01日16:00

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ウルフが月に吠えていたころ

どんな大きな相手にたいしてもがっぷり四つになってしまう。どうみても無茶な取り口。こんな相撲を続けていたら、そのうち肩を壊すやろとシロウトでもわかる。目つきだけがやたら鋭いその力士は、そのころ幕内の中ほどをいったりきたりしていた。そしてその細身の体躯にはアンバランスに映る大きめの大銀杏と化粧回し、それらは虚勢を張っているかのように思えた。

千代の富士というそのシコ名も、そのころはとても大仰なものに思えた。個性十分ながらまだまだ土俵の脇役。あいかわらずの乱高下、新入幕を果たしてから幕下落ち、小結に昇進したあとにも十両に陥落している。3度目の小結で10勝、解説の神風さんが「このまま強ようなったら、これは人気が出ますよ〜」と言ったとき、ようやくこちらの側も意識し始めたというか。

なので真の実力が発揮されたのは20代後半をすぎてから。そして優勝31回のうち19回は30代でのもの。これは10代で頭角を現し、20代前半のうちに初賜杯そして横綱昇進、30がらみがもう晩年という、いわゆる大横綱のサクセスストーリーとはまったく趣きを異にしたもの、それは自らのたゆまぬ努力によって作り上げた、鋼の身体がもたらしたものにほかならない。

同じ時代をずっと寄りそってきたこちらとしては、彼に関してはまだまだいくらでも書きたいことあり。ただしその偉業をなぞるだけのものは巷にいくらでもあふれているので、あえてサイドストーリー&個私的なことをまたあしたにでも。それにしてもことし何度目になるのか、またもやこの一文でシメるのはつらいけど、謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。
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