鰻のはなしということになると、かって勤めていた会社のすぐ隣にあった銘店「現長」にとどめをさすでしょう。オフィス街淀屋橋のど真ん中にもかかわらず、当時でさえもかなり老朽化していた文字通り“ウナギの寝床”のような木造家屋二階建て。残念ながら数年前に閉店、そのとき思い出話を日記にしたら何人かのマイミクのかたがこのお店を知っていたのにはビックリしました。
けっこうここにはおカネを落としましたね。もちろん会社のカネだけど。海外からのお客様相手の接待めいた機会に何度となくお邪魔、鰻そのもののお味がどこまで理解されたのかわからないけれど、玄関で靴をぬいで上がる和のたたずまいに囲まれるだけでとりあえずお客様は満足。ちなみにもっともなじみのあった鰻丼並のお値段(20年ぐらい前かな)は1900円でした。
そしてなんとこの「現長」はウチの母親にとっても思い出のお店。すぐ近くにある大阪ガスのOLだった母親にとって、鰻丼はめったに味わえない贅沢な一品。年に2回、ボーナスが出たときだけお昼休みに同僚とお邪魔していたということで。ちなみに当時(昭和30年代前半)の鰻丼並が370円、いまなら牛丼チェーンでも提供できないお値段ですね。
結婚してもしばらくOLをしていた母親が退職した理由は、お腹に私というものができたから。そう、私は「現長」経由の栄養分を多少なりとも吸収してスクスク(かどうかわからないけど)育ったということです。その不肖の息子が大人になってお店に恩返し、などとこんな自画自賛きわまりない話は暑苦しいのでこのへんでやめておきましょう。
ログインしてコメントを確認・投稿する