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2018年05月06日05:20

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カナザワ映画祭UMA怪談大会2日目(平成30年5月4日)

巨大蟲ものは初日で終了し、2日目、先ずは古代もの三篇。
最初はウィリス・オブライエンもの二篇。「ロスト・ワールド(The Lost World)」の2016年再編集完全版と「キングコング(King Kong)」。片やサイレント、片やトーキーのいずれも白黒映画。片やコナン・ドイルの小説の映像化、片やエドガー・ウォーレスに映像用原作ほを依頼した、いずれも外の世界と途絶し原始時代の生態系が残る世界への冒険と、そこから連れて来られた生物が脱走し都会で暴れる様子を描いたもの。この二作は色々と比較可能。
ドイルの「ロスト・ワールド」には恐竜が都会で暴れる場面は無く、プテラノドンが空へ逃げてしまうだけだが、この映画では何とブロントサウルスを連れ帰り、しかも脱走して暴れ出た挙げ句、海に逃げてしまうのだが、キングコングとも共通している。但しキングコングは架空(?)の生物で、最期は機銃で撃たれて力を失いエンパイアステートピルから落下しあえない最期を遂げる。ちなみに、恐竜を連れ帰ったチャレンジャーと、コングを連れ帰ったデナムが皆から信用されず野次られるのも一緒。又、「ロスト・ワールド」では猿と人間のミッシングリンクらしい類人猿が悪役で、皆が縄梯子で下りる際にそうはさせまいと上から引き上げようとするが、「キングコング」て゜はこの役がコング自身。あとブロントサウルスの扱いも面白く、「ロスト・ワールド」ではアロサウルスに負けたりあまり良い所は無く、最後の大暴れにしても橋が巨体で壊れて落下、そのまま外海へ脱出して終わっているが、「キングコング」に登場したブロントサウルスは気が荒く、相当暴れていた。アロサウルスの方はコングと戦い敗れている。白黒でアラが見えにくいと云うのも有るのだろうが、全体にオブライエンのモデルアニメは動きが滑らかでハリー・ハウゼンのものより生き物らしく見える。あと一つ気に成ったのは「ロスト・ワールド」の字幕でブロントサウルスをアパトサウルスとしていた事。現在ブロントサウルスはアパトサウルスだった説は否定されつつあるし、当時の人達にとってはブロントサウルスなのだから、あそこで会話にアパトサウルスと出て来るのはおかしいのではないだろうか。
次は「恐竜伝説ベイビー(Baby Secret of Lost Legend)」。
モケーレ・ムベンベと現地で呼ばれるブロントサウルスを巡るファミリー向きの作品。プリズナーNo.6のパトリック・マクグーハンが悪い古生物学者。タイトルが始まる前に一人殺しているが、自分の科学的栄誉の為なら手段を選ばず、現地革命政府のトップに有るコネを利用して出世を目論む軍の隊長ほ抱き込んで陰謀を巡らす。助手はやや良心が残っていそうだが、それでも学者の命令には従っている。その学者からブロントサウルス親子を守ろうとする女性の古生物学者とその夫のジャーナリストが奮闘する。適当でノリが良いがそれなりに誠実な雇われパイロットや神出鬼没で戦闘力がやたら高い原住民達が二人に味方し悪人達とやり合うのだが、古生物学者が「如何にも」な悪人ぶりで、彼が幾人も殺しているのも視聴者に「悪」をはっきり見せようとするもので、それが無ければどちらが悪いのかは微妙な話に成る。一応、古生物学者はブロントサウルスを捕らえはするが殺さず飼育下で研究対象にしようとしており、これはまあ普通に野生生物に対して行われている事だからだ。存在を公表せず伝説は伝説のままに・・・と云うのはファンタジー的には良いのだろうが・・・。一度は見ておくべきかも知れないが、二度は先ず見ない作品。
その後は怪人もの三篇。
最初は「怪奇!コウモリ人間(Bat People)」。
AIPの低予算怪奇映画。
婚旅行中の医師とその妻は洞窟ツアーで妻の軽率さの為に蝙蝠の群れに襲われる。その後、医師は様子がおかしく成り狂犬病の血清を打つ事に成る。だが、医師の異変は止まらず町で喉を切り裂かれる殺人事件が続発し始める。医師が怪しいと見た刑事は医師を執拗に追うが、実は医師は蝙蝠人間に変化しつつあった。何で蝙蝠に成ったら人間を襲うのか最初はよく判らなかったが、良く考えれば蝙蝠の映像は血吸蝙蝠のものだし、狂犬病を媒介するのも血吸蝙蝠だ。医師は蝙蝠人間への変身を抑えようと狂犬病のワクチンを求めたり、病院の輸血用血液を飲んだりし、最後は人間とは関わらない洞窟の奥へ行こうとする。追跡する刑事はそこそこ優秀なのだが、医師が容疑者である事をネタに妻に自分と不倫しろと強請る様なクズだが、医師の妻も実はコウモリ人間化し始めており・・・妻の方がよっぽどうまく能力を使いこなしている感じで、クズな刑事は如何にもな最期を迎える。コウモリ人間のマスクは終盤迄登場せず、人が襲われる場面は殆ど映されない。作り物は手袋とマスクのみ。やや破綻しとている感じだが面白い。
次は「猟奇!ワニ人間(The Alligator People)」。
20世紀フォックスの何処が猟奇なのかよく判らない白黒怪奇映画。ワニっておとなしいね〜と云う作品。
新婚旅行で夫に逃げられたヒロインが彼の実家CYPRESSES館をつきとめて乗り込んでみると、沼地で人の再生を研究している医者がワニから抽出したホルモンを使って重傷者を治療していったのだが、副作用に依って肌がうろこ状に成り、更に脳に影響が及ぶと錯乱し始め・・・ヒロインの夫は脳はまともだが顔が変わっていて世間から隠れていた。そして医者に一か八かの治療実験を願い出て元の顔に戻ろうとするのだが、ロン・チェイニーJrじる館で働いていた少しイカれた男がヒロインをレイプしようとして夫に邪魔されクビにされる。それを逆恨みした男は治療中に乱入、自分は感電して自業自得の最期を見るが、夫は元の顔に戻るどころか完全なワニの顔に、しかも沼地でワニと戦って勝つ程に・・・ラストは自ら底なし沼に沈んで最期を遂げる。話としては脚本家がマジメな人だったらしく終盤迄、シリアスな治療ものなのだが、ラストが・・・。何としてでも怪物映画にしなければ、と云う使命感に燃えた感じの作品。しかしヒロイン、完全にワニ男と成った夫が近付くと悲鳴を上げて逃げ、しかし夫が沼地に向かうと追っかけて・・・お前、態度をはっきりさせんかい!ワニ男のスタントの人、ワニと水中で格闘なんて怖かっただろうなとも想うが、ヒロインの人もそう。何しろ暗くてワニが居る事に気付かず先を急ぐヒロインがワニ達につまずきながら進むのだが、ワニも反応はするが攻撃しようとしたり慌てて逃げたりはしない。ワニっておとなしいんだなあ〜。まあ、広島では家の中で放し飼いにされていて、布団の上で枕に口を乗せて寝ているワニも居るらしいから。尚、翌日のトークショー「人・獣・神」でこの作品について話が出た時、名カメラマンのカール・ストラスが撮っているとの事。沼で夕方と云うのは一番撮りにくいものだが、カールはワニものや沼地ものを幾つか手がけており、案外、業界ではワニを撮るのが得意なおじさん辺りで通っていたのではないだろうかとも。兎に角、意外に面白い作品だった。
次は「ピエドラスブランカスの怪物(The Monster of Piedras Blancas)」。
名前と怪物の無姿だけは有名な白黒半魚人もので、漸く見る事が出来た。 
寂れた海沿いの町ピエドラスブランカスで波と潮が危険で立ち入るなと云われている灯台付近に無断で釣りに立ち入った若い兄弟が死亡する。死体には血が無かった。町で唯一の食料品屋は伝説に謳われるピエドラスブランカスの怪物の仕業だと主張する。一方、男やもめの灯台守は、事件を聞くと食料品屋でバイトしている娘に暗くなる前に帰る様に云う。そして第二、第三の殺人が起こり何故か現場に古代爬虫類の鱗に似た何かが残されていた。食料品屋も殺されるが、現場保存の為に残っていた筈の男も行方不明に・・・そして人々の前で店の奥の冷蔵室に入った刑事は中に居た怪物の攻撃を受け、犯人が明らかに成る。古代生物の生き残りの種族で学習能力や知恵などは有るが人間と呼ぶほど知的ではなく、結局は動物だと云うその二足歩行の爬虫類は灯台の下の洞窟の中で誕生し、たまたま妻を失ったばかりの灯台守が何か生き物が居るらしい事に気付いて魚を洞窟近くに置いてやっていたので、成長したのだ。しかし不漁で魚が捕れなく成り、灯台守はくず肉をやっていたのだが、或る日、そのくず肉も入手出来無い時が有った。空腹だった生き物は近くに来た兄弟を殺し、肉を求めて町に出現し肉の匂いに誘われて食料品屋を目指したのだ。そして灯台に現れた怪物は、灯台の上で灯台守を襲い投げ落として殺すが、光を嫌う弱点を見破った青年が灯台に明かりを灯させ、眼が眩んだ怪物を突き落とし怪物は海に消える・・・これ、絶対、続篇を想定して作っただろう。テンポが良く中々面白かった。最後の灯台のシーンはキングコングのオマージュだろうと書いている記事を前に読んだ事かぜ有るが、確かにそんな感じだ。それにしても、怪人ものでなくて古代ものにも分類出来そうな作品だった。結構面白い。生首が良く出来ている。
最後は「野人イーガー(Eegah)」。
相当ゆるめのお気楽映画。主人公の青年が歌手で俳優なので、何かと云うと自分の持ち歌を披露する辺り加山雄三の若大将シリーズを彷彿させる。翌日のトークショー「人・獣・神」で聞いた処では、父親が監督兼俳優の人で息子を売り出す為に作中で主人公が歌を披露する映画を何本か作ったらしい。只、それ迄は普通に音楽業界の話とか青春者だったりしたのが、行き成り、こんな作品が・・・。尚、監督と脚本、それにヒロインの父親役の人が、主人公の実の父だとか。兎に角ショボい演出に次々と笑いが・・・。意図せずして笑えるものに成っていたと云う作品。しょっぱなで早々にヒロインが巨人(大柄でかなり身長が有る)に遭遇、調査に向かったヒロインの父親は行方不明と成り、主人公のデューンバギーで現地に向かうもののヒロインはそこで巨人にお持ち帰りされ、怪我をして巨人に助けられていた父親と再会。巨人はヒロインに興味を持つが巨人を嫌がるヒロインは拒絶し隙を見て父子で脱出、探しに来た主人公ともども町へ帰るがヒロインを忘れられない巨人は彼女を探しに町に現れ騒動と成り、最後はヒロインの前で警官に射殺されてしまう。その哀れにヒロインは涙するのだが、巨人を嫌ったり同情したりヒロインは分裂気味。結局、自分の身にリスクが無い限り優しくモンスターにも同情出来る(自分から誰か、何かを助けに動こうとはしない)タイプ。

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