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2018年01月05日22:13

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紳士とカウボーイが世界を救う!「キングスマン ゴールデンサークル」を観た!

 待ちに待った続編ゆえに、公開初日に突撃。そのぐらい入れ込んでたので、ちょいネタバレあり。ついでに前作の話もするので、未見の人はいいから戻って早く見るんだ!


●キングスマン ゴールデンサークル


【あらすじ】

 どこにも属さない最強のスパイ組織「キングスマン」。その一員となったエグジーは1年の時を経て、一人前のエージェントとして活躍していた。そんなある日、元キングスマンの候補生であったチャーリーがエグジーを襲撃する。辛くも撃退したエグジーだったが、チャーリーの残した義手がデータをハッキングした事により、身元が割れたキングスマンは謎の組織から一斉にミサイル攻撃を受けて消滅してしまう。

 残されたのはエグジーとサポートスタッフのマーリンのみ。絶望にうちひしがれるなか、マーリンは「審判の日作戦を発動する」と、緊急事態に用意された金庫を開く。中にあったのは1本の蒸留酒、それこそアメリカンなスパイ組織「ステイツマン」とコンタクトを取る鍵であった……。


【スタイリッシュ&ダイナミックスパイアクション第2部】

 前作「キングスマン」は、一見高貴なイギリス紳士風のスパイが派手に暴れまわる爽快アクションもの。過激にして爽快感のあるバイオレンスに、荒唐無稽だがとにかくカッコいいスパイ兵器を駆使する娯楽作。中二病なら一度は憧れる「武器を搭載した傘で攻防一体の立ち回りをする」を見事に映像化してくれたり、黒幕が悪いスティーブジョブスだったり、主人公たちが着ているスーツが実在する超高級スーツで、どれだけ動き回ってもシワ一つ付かなかったりと、話題に事足りない映画だった。当時口コミで面白いと言われ、上映終了間際の映画館に駆け込み、実際評判通りの傑作だったりと良い思い出である。

 今回はその完全な続編なので、興味のある方はぜひ前作を見てから本作を見に行こう。


【戦いはより過激に、舞台はワールドワイドに】

 スラムの悪童から一任前のエージェントへと成長する前作と違い、本作は始めから成長したエグジーが主役。その振る舞いも戦闘技術も一流のスパイであり、のっけから始まるカーチェイスからの肉弾戦で映画はいきなりフルスロットル。前作ファンの「いいからさっさと戦ってくれ」をよくくみ取ってくれた最高のオープニングと言えるだろう。

 前作では単に自動操縦ぐらいしかしなかったハイテク車も、本作で待ってましたと言わんばかりに大暴れ。PVで印象深かったキングスマンの新装備、重火器ブリーフケースも期待以上のギミックを披露、スパイものの華であろう「とんでもギミック殺人兵器祭り」はここに極まれり。

 また、敵の本拠地にして最終決戦の舞台でもある「ポピーランド」は、麻薬組織の女王ポピーが、故郷のアメリカに恋い焦がれるあまり50年代アメリカを意識し再現したという悪いオトナ帝国状態。ボーリング場やコンサートドーム(大物歌手監禁済み)、レストランに美容院とポップな外観と裏腹に、殺人ロボットや人間ミンチマシーンなどアレな仕掛けも満載。ここでのしっちゃかめっちゃか乱闘が本作のクライマックスなので、楽しみにしてほしい。


【蘇る老練のエージェント】

 堂々と表に出ている以上、ネタバレじゃないと思いつつ触れると、本作の目玉の一つで前作で戦死したと思われる先輩エージェント・ハリーの復活が挙げられる。状況的にも「どう考えても死んでただろアレ……」という疑問を結構な力業で解決し、エグジーとの師弟コンビを結成。息の合ったキングスマンのコンビネーションが炸裂する。

 正直、これに関しては少し複雑だった。人気キャラだったのも分かる。復活できそうな後付けも分かる。ただ、前作では彼との死別が主人公の覚醒のきっかけでもあった。創作物においてこれほどまでに最高の「別れ時」はない。それが復活したとなると安易なファンサービスだと勘繰ってしまう。1作目の感動のラストをぶち壊した「メン・イン・ブラック2」を少し思い出してしまった。

 老兵は去り行くのみとまでは言わないが、せっかく誕生した若きキングスマン、エグジーとロキシーのコンビの活躍も見たかったと思うのは自分だけではないはずだ。


【アメリカンな助っ人、ステイツマン】

「イギリス紳士がコテコテのアメリカのカウボーイと手を組む」というあらすじを知った時は「天才かよ」と思った。紳士を気取るスパイ組織があるならカウボーイのスパイ組織もそりゃあるに違いない。きっと日本にも忍者のスパイ組織があるかもしれない。さながらキン肉マンやラッキーマンの読者投稿超人のノリで、(良い意味で)雑に世界の広がりを感じられた。

 テキーラ・ウイスキーなど酒の銘柄を名付けられたエージェントは、太くたくましいいかにもなアメリカンガイ。テンガロンハットとホルスターに入れたリボルバー銃といったクラシックスタイルに、ビーム投げ縄や地雷探知機バットなどハイテク装備もバッチリ。戦闘BGMも「ペポペポポー」と、夕日のウエスタンに口笛が響きそうなコッテコテのステレオタイプ。確かにイギリス紳士とは別次元の生き物である。

 画面に映るだけで面白いし、戦闘スタイルが変わるのも面白い。ただ「コテコテのアメリカン」という触れ込みの割には「ハイテク装備のカウボーイ」という印象止まりだったので、どうせやるなら食事シーンを分厚いステーキにしたり、カウボーイらしく乗馬のシーンも欲しかった。今思いついたけど自爆する殺人ダンブルウィード(西部劇でよく見る風に流されるあの草)を転がしたりとかさ。


【続編として変わるべき部分と、そのままであるべき部分】

 と、基本的に前作のノリはそのままに、派手になった本作ではあるが、そこで気になったのがパンフレットの一文「同じ事をやったら退屈だし、独創性に欠けてしまう」という監督の言葉だ。確かにキングスマンはハチャメチャで前代未聞のアクションが観れた。同じ事をやるまいという意気込みも分かる。だが、その割にはハリーを復活させ、前作をほうふつとさせるシーンがいくつもあった。それは「新しいもの観たいファン」よりも「もう一度あのシーンが観たいファン」向けの発想だと思う。

 ビジュアルはより派手になったが、前作の教会やラストシーンに匹敵するインパクトのあるシーンはなかった。ストーリーもキングスマンを全滅させたものの、少数部隊で動くのは前作と同じシチュエーション。どこかで見たナンパや水攻め。見覚えのあるシーンも数が多ければ引用に思えてしまう。それらを削ってもっとステイツマンや敵の掘り下げをしてほしかったと個人的には思った。


【まとめ】

 全体的には面白いんだけど、前作からハードルを上げまくったせいか、個人的には少々物足りないデキ。特に「アメリカンな連中とカルチャーギャップで悩む」という要素が思ったより薄かったのと、今回の虐殺ネタが「麻薬使用者のみが感染するウイルス」というのもうーんな感じ(一応フォローとして海外の一部地域では、医療などで合法化されているとか)。人によりけりだろうけど、自業自得じゃんとか思ってしまったり。前作の「明らかに悪い奴が、何の罪もない人を苦しめて、最後は気持ちいいくらい敗れ去る」という勧善懲悪が、本作だとちょっと弱まっちゃった印象でどうにもスッキリしない。

 もっと言っちゃうと、シリーズ恒例の悪い大物政治家シリーズ。前作だとオバマっぽい大統領が出て、きっちり殺すというブラックジョークをやってのけたのに。なんで今回トランプじゃないんだよ! なんで死なないんだよ! んもー。

 ただ、アクションは前作通りキレッキレだし、パンフでの監督曰く、ステイツマンと共に戦う3作目の構想があるとの事。興行成績も悪くないはずなので、よりグレードアップした次回作を今から期待しようと思いました。
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