4月の26日、佐渡島へ行ってきました
直江津〜小木航路に新造の超高速カーフェリー「あかね」が就航したのです。
http://www.sadokisen.co.jp/
北陸新幹線に乗って上越妙高へ、そこから直江津フェリーターミナルに接続直行バスが出ています
東京駅を始発の「はくたか」に乗れば午前中には佐渡に到着、日帰りも可能に成りました。
流石に日帰りはしなかったものの、25日はミステルコミネ(仮名)の講演があったので夕方の「はくたか」で出発です
微妙な流し撮り
E7(W7)系の感想、最初は500系の見た目パチ物かと思いきや、性能を知ると評価を一変、だがしかし、実際に乗ってみると安物のE5系でしかなくてガッカリでした
上越妙高で、えちごときめき鉄道(旧信越本線)に乗り換え
接続が無い「はくたか」で行ったので、ホームで延々列車待ち。
でも直江津に実家があるというオバチャンとホームから列車内までずっと世間話していたので退屈はしませんでした。
ワンマンに乗るのも初めてだったそうで、物珍しそうにしてました。
翌朝、直江津駅側の宿からターミナルへと徒歩で向かいます
予想通り、美味しそうな物件多数
この橋、何か変です
ターミナルに到着。
居ました
青函航路で先日まで走っていた「ナッチャン」姉妹の妹で、タスマニアのインキャット社で建造されました。
ナッチャンが112m型なのに対して、「あかね」は85m型。排水量も半分程です。
本当は北陸新幹線の開業に合わせて就役させたかったものの、様々な大人の事情(書けません)で少し遅れて、この週から運行を開始したのです。
船籍は「佐渡」と成っており、特定の港ではありません。
大規模な専用ターミナルを建設し、そこでしか運用出来なかった艤装のナッチャンの教訓から、従来の港湾荷役施設(車両ランプや旅客用ボーディングブリッジ)をそのまま無改造で転用出来る船体仕様に成ってます。
なので、普通のモノハルフェリーの自動車荷役施設を使う為、船尾に二つ設けられた車両ランプの片側だけ使用しています。
新潟〜両津⇔小木〜直江津を結ぶ線は「国道350号」と成っており、佐渡汽船は海の部分を担当する渡し舟で有る事が分ります。
ターミナルの展望台に上がってみます。
どうやら直江津港で着岸中の「あかね」の全体像を見れる場所は無さそうですね。
いよいよ乗船です
ボーディングブリッジは直接客室に直結していなくて、車両甲板の上を通って客室キャビンに上がります。
車両甲板の真ん中に見える中二階みたいな板は何んでしょうね
実は
「こっ、これは吊り天井!!」
乗用車甲板を上げ下げするガイドレール部分。
普段は上げておき、繁盛期には空母のエレベーターのように下げて使うのです。
中二階に行く小型車は船首で向きを変えて手前のスロープを上がって来ます
吊り天井式小型車甲板は佐渡汽船が好んで使う艤装で、「あかね」就役を遅らせた一因と考えられます。
高さのある特殊荷物を輸送するのに対応出来るようにって発想だと思います。
ここにも佐渡汽船は観光も大事だが、島の生活を支える事が第一って運用思想が窺えますね。
こちらはナッチャンの車両デッキ。
完全に二階構造で規模も大きいですね。
客室は最前方が一等(ときクラス)
ナッチャン同様、ラウンジも備えてます。
こちらは二等席。
他にもナッチャン同様、売店、キッズルームを備えてますが、今時のフェリーの流行でペットルームも新設されました。
また、乗客用デッキは免震構造に成ってますが、ナッチャンでは見られた船体とのジョイント部分のカバーは、分らない構造に改良されたようです。
キャビンに据えられたネームプレート。
造船所のあるタスマニア島を模ってますね。
因みにこちらは「ナッチャンWorld」
小規模ながら船外デッキが客室最後尾に設けられてます。
就航したばかりなので、インキャット社の社員も何人か乗り込んでました。
この棚状の構造は、蓋をするよう佐渡汽船の乗員に指摘しておきました。
子供がよじ登って船外に身を乗り出す事必至だからです。
ナッチャンでは右に見えるブルワークから先にもデッキがあり、ここに畳まれた横柵構造の扉を子供が階段にして登っていたので、それを扉ごと撤去してもらった経緯があります。
まったく船級検査にタスマニアに行った同僚達はどこに目を付けてたんでしょうね
矢印は溶接マーキングのミス跡です
当然、溶接そのものを間違えた箇所が乗客に見えない部分に有る事が想像されますが、真相は書けません。
片側だけ使われてる車両用ランプ。
いよいよ出航です
長老(と思われる)客室係の職員が見えなくなるまで手を振って下さってました(矢印)
直江津港は防波堤が長いので、結構な時間をスローで進みます。
いよいよ外海へ
ベタ凪という有り得ないレベルの残念な海象条件です。
よく見ると、工作精度の問題で各所がウネウネと真っ直ぐではありません。
「あかね」の最高速度は公称30ノット(時速54キロ)ですが、実際は36ノット(65キロ)です。
フェリーですので、巡航速度も同じ30ノットに成ります。
インキャット社のウエーブピアサー型カーフェリーの最新型は先日58ノット(時速105キロ)を記録してますが、その速度域では燃費も極端に悪いので、「あかね」では30ノットに抑えられてるのです。
因みに30ノットは現代軍艦の最高速度くらいの速さです。
ウエーブピアサー型にしては遅いといっても、普通の高速カーフェリーよりは遥かに高速で、直江津〜小木は100分ですが、これは前任船より60分の短縮と成っています。
ナッチャンに至っては、青森〜函館も僅か100分で結んでおり(青函連絡船の3分の1)、特急電車より早いカーフェリーでした。
小木港に到着、防波堤を周って着岸する為、1回転して後進を始めました
向かって左の公園には、見物の人達が溢れてます。
ご覧のように、着岸設備は旧来のままです。
着岸点に接近。
操船はTVカメラ(画面右手に黒いループが見える部分)で見て、ウオータージェットの逆噴射のベクトル制御で行います。
普通のフェリーのようなスラスターは有りません。
勿論、タグボートの手助けも無しです。
ナッチャンは自前のランプを持たない為、ご覧のような専用施設が港湾側に必要でした。
ラインマンがブレストライン用の細索を拾ってます。
続いて、スターンラインのサンドレッドが投げられました
砂袋の陰が岸壁に写ってるのが分りますでしょうか。
この後、舫い綱をウインチが引いて船が岸壁に固定されます。
ランプを下ろして
自動車が降りていきます。
直江津、小木共に左舷着岸なので、普段は右舷側のランプは使わない事に成ります。
ターミナルの向かいの公園から。
ナッチャンに比べて寸詰まりで、どことなくタスマニアデビルを思わせるシルエットがユーモラスですね。
上の矢印が操船用TVカメラで左右にあります
下の矢印は、吊り天井を下ろして二階車両甲板とした時に、90度起き上がるブルワーク。
車両の搭載が始まりました。
佐渡汽船運輸などのトラックやダンプが次々と。
この航路が観光と同等、いやそれ以上に「生活道路」である事が分ります。
ランプが引上げられます
「あかね」が小木港を出航します。
こちらは同角度から見た「ナッチャンWorld」。
以下、同パターン。
さて、観光案内所でレンタサイクルを借りて散策出動です
滅茶、カエルが鳴いてます。
宿根木へとやって参りました
まずは高台にある学校を転用した博物館へ。
ここ、ヤバいです
余りに情報密度が高過ぎて、早々に次回来館を決断。
撮影は「記念写真なら可」なので、記念写真をいくつか(笑)
次回は記念写真の説得力を付ける為、囮に誰か連れて来なければ成りません
復元された千石船も、和釘までちゃんと揃えて建造されており、並々成らぬ地域の決意を感じます
http://www.hakusanmaru.sakura.ne.jp/
宿根木の村落は、入り江の谷間の僅かのスペースに犇めき合う形であります。
屋根の特徴に注目。
港の湾内は過去の地震で隆起しており、かつての千石船が入港出来る水深と広さの規模はもうありません。
村落に降りてみます。
称光寺川上流から集落へと入ります。
石橋には「安永五年申 高津」と刻まれてます。
ここに吉永小百合が立ってる絵面を想像してください。
JR東日本のCMやポスターで使用された箇所で、通称「三角家」です。
茶房「やました」
昼食を予定していたものの、予約団体客貸切で野望達成ならず
公開民家が何軒かあります。
軒下に凝るのもこの集落の特徴みたいですね
屋根の構造に注目
隙間の開いた縁の部分は、屋根の石の落下防止と、雨水を真下に落とす仕組みでしょうか。
木造電柱
一見木造倉庫ながら、実は中は土蔵。
私が「総督ポイント」と呼んでる民家の部分
見落としがちな陰にこそ面白い物が存在しています。
港には船繋ぎの石柱が何本も残ってます。
それでは別の路地を海側から入ってみます。
振り向いてみた光景。
また別の路地から海方向を眺めると。
海と平行の路地を行ってみます。
右側が元々の村落がスタートした並び。
左は旧郵便局(中は非公開)
石積みチェックも怠り無く
公開民家以外は普通に人が住んでますから、撮影も気を使います。
さらに路地を進むと、また突き当たりに三角家が見えてきました。
元来た方向を眺めます
小木港に戻ってメイン通りをウオッチしてみます。
こんな風景が続きます。
ツバメの巣台を設けてる家も多いです。
花屋
郵便局跡?
履物屋
蔵造りの衣料店
郵便受けチェック
看板チェック
さて、「あかね」の午後の便がやって来ました。
この日は視界も良かったので、かなり遠くからでも見えました。
こちらは「ナッチャンWarld」。
防波堤を周ってフェリーターミナルへと近付きます。
「ナッチャンWaold」。
後進に切り替える為に旋回
「ナッチャンworld」。
今度は「あかね」と「ナッチャンrela」との比較
着岸間近
ラインマンが舫い綱を引きます。
ランプが開いて・・・
車が降りてきます。
期待の新船に地元の人が大勢見物に押しかけてました
車両搭載口の「あかね」と「ナッチャンWarld」の比較
小木港ターミナルの乗船口は改札とボーディングブリッジが真っ直ぐ繋がり、至ってシンプル。
「あかね」の操船用カメラ。
斜めのチューブは、塩を洗い流す為に真水を噴射するノズル
左右の車両用ランプを比較すると面白い点が
青矢印、ヘマの跡じゃね?
ランプを畳んで出航ですっ。
ウエーブピアサーで出航すると、頭の中で映画「キスカ」のテーマ曲が流れるのは何故でしょう??
イルカが跳ねてましたが、写真は失敗。
でも目撃者数人で皆満面の笑顔で思わずガッツポーズ
「エェネルギィ、噴射〜
」
「ナッチャンworld」の方は大迫力
背景は函館山。
因みにナッチャンが本気出すと、風圧でこの場では呼吸は出来ないし、マジで飛ばされそうで怖くて船外デッキに居られません。
直江津に到着、下船を待ちます。
車輌ランプも開き始めました
茜色に染まる「あかね」
保倉川から見た夕日。
夕日という事は、まだまだ余裕で飲み食いする時間があるという事です
手前は「黒幻魚(げんぎょ)の唐揚げ」
そして、ここまで来たら「たれかつ丼」を食べない訳には行きますまい
お酒は勿論「天と地」
おしまい。
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