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2014年11月05日10:27

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慰安婦問題:政府は反論文書を公開すべし〜秦郁彦氏

 朝日新聞は、慰安婦問題について、吉田清治証言に関する記事を取り消した。平成8年(1996)、国連人権委員会(現人権理事会)に提出されたクマラスワミ報告書は、吉田証言を重要な資料としている。菅義偉(よしひで)官房長官は9月5日、「報告書の一部が(吉田氏の証言)内容に影響を受けていることは間違いない」とした上で、「強制連行を証明する客観的資料は確認されていない。(報告書は)不適切であるという、政府の立場をこれからも説明していく」と強調した。
 この方針に従って、外務省の佐藤地(くに)・女性人権人道担当大使が、10月14日、クマラスワミ氏に面会し、報告書の一部撤回を申し入れた。だが、16日の記者会見で、菅長官は「先方は『修正に応じられない』ということだった」と述べた。クマラスワミ氏の姿勢は、極めて不誠実である。無責任も甚だしい。
 ここで重要なのが、以前から私が主張しているクマラスワミ報告書に対する政府の反論文書の公開である。10月の15日の衆院外務委員会で、岸田外相談に対し、この反論文書の公開に関する質問がされた。政府は平成8年当時、クマラスワミ報告書について「事実調査に対する姿勢は甚だ不誠実」などとする反論文書を一旦国連に提出したにもかかわらず、これを回収し、内容を差し替えて再提出した。岸田外相は、差し替えの経緯について「文書が(他国から)『詳細すぎる』と指摘を受け、多数の国の理解を得ることを目指して簡潔な文書を改めて作成した」と説明した。反論文書を非公開としていることについては「当時の状況を総合的に判断した」とあいまいな答弁をした。今後については「国際社会の理解を得るのに何が最善の方法か考えたい」と述べ、反論文書の公開の可能性も含め、検討する考えを示した。
 クマラスワミ氏が報告書の修正を拒否する姿勢であることが明らかになった以上、政府は、反論文書を公開を躊躇すべきでない。即刻公開を行い、国連人権理事会に再提出するとともに、各国メディアに提供すべきである。
 この点に関し、現代史家の秦郁彦氏が、産経新聞平成26年10月18日の記事で、政府は反論文書を公開すべきとして、次のように述べている。
 「ク報告書に対する反論文書は今でも生命力があり、直す必要もない。一番の長所は、日付が古いことだ。96年当時の反論文書となれば言いがかりをつけにくい。なぜ引っ込めたかの経緯を含めて積極的にオープンにすべきだ。このまま他国を刺激したくないという日本外交の風習を続けていたら、歴史戦争は負けてしまう」
 記事によると、秦氏は平成7年7月、来日したクマラスワミ氏と都内で面談した。秦氏はク氏に、(1)吉田清治氏は「職業的詐話師」、(2)暴力で連行されたと申し立てた慰安婦の証言で、客観的裏付けが取れたものは一例もない、(3)慰安婦の雇用契約関係は日本軍との間ではなく、業者との間で結ばれていた、などを説明した。ところが、ク報告書には秦氏が「大多数の慰安婦は日本軍と契約を交わしていた」と述べたと記述されていた。秦氏は抗議の申立書(英文)をク氏に届けたがなしのつぶてだった、という。
 このような経緯から、クマラスワミ氏は、報告書を作成するに当たり、秦氏が伝えた慰安婦に関する歴史的事実を無視し、逆に日本非難のために捏造を敢えて行い、秦氏の説明さえも全く違う話に替えて利用するという、とんでもない人間であることが分る。単に無知や未熟で間違った報告書を書いたのではない。政治的な意図を以て、日本を貶めるために書いたのである。
 政府は、反論文書を内外に公開するとともに、クマラスワミ氏の犯罪的な行為を告発すべきである。
 以下は秦氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成26年10月18日

http://www.sankei.com/politics/news/141018/plt1410180017-n1.html
2014.10.18 09:00更新
【現代史家・秦郁彦氏に聞く】

慰安婦問題 政府どう取り組むべきか

 日本の国際的なイメージを毀損(きそん)し、韓国との間で政治問題と化した慰安婦問題。朝日新聞は、朝鮮半島で女性を「奴隷狩り」して慰安婦にしたと述べた自称・元労務報国会下関支部動員部長、吉田清治氏の証言を虚偽と判断し、関連記事16本を取り消したが、朝日報道の問題点はどこにあるのか。日本の名誉回復に向けて政府は今後どう取り組むべきか。慰安婦問題に詳しい現代史家の秦郁彦氏に聞いた。(阿比留瑠比、是永桂一)

まず幻の反論文書 公開を

 −−政府は今年6月、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の河野洋平官房長官談話の作成過程に関する検証報告書を公表した
 「政府が次にやるべきことは、河野談話の見直しの前に1996年の(慰安婦を性奴隷と認定した国連の)クマラスワミ報告書について、政府が非公開としている『幻の反論文書』を公開することだ。ク報告書がその後の国連人権委員会(現・人権理事会)の動きや、2007年の米下院による慰安婦問題での対日非難決議につながった」

《「幻の反論文書」はク報告書に対し、吉田清治氏の証言が引用されている点など具体的な事例を示して「客観的資料は無視」「事実調査に対する姿勢は甚だ不誠実」「法的には成り立たない恣意(しい)的な解釈に基づく政治主張」など逐一、反論した。ところが、当時の日本政府はこれを途中で引っ込め、その後は非公開としてきた》

 −−日本外交は歴史問題に関し、いつも「もう法的に決着済み」「すでに何度も謝罪した」というばかりで事実関係を争わない
 「『反論文書』の件は一つの分水嶺(ぶんすいれい)だった。それまでは日本も一応、言うべき反論、やるべき指摘はやっていた。河野談話にしても、事務官僚の限界はあったが『強制連行』という用語は突っぱねていた」
 「ク報告書に対する反論文書は今でも生命力があり、直す必要もない。一番の長所は、日付が古いことだ。96年当時の反論文書となれば言いがかりをつけにくい。なぜ引っ込めたかの経緯を含めて積極的にオープンにすべきだ。このまま他国を刺激したくないという日本外交の風習を続けていたら、歴史戦争は負けてしまう。非公開といっても、東京電力福島第1原子力発電所事故における吉田昌郎所長(当時)の聴取記録『吉田調書』でも公表したのだから」

《秦氏は平成7年7月、来日したクマラスワミ氏と都内で面談し、(1)吉田清治氏は「職業的詐話師」(2)暴力で連行されたと申し立てた慰安婦の証言で、客観的裏付けが取れたものは一例もない(3)慰安婦の雇用契約関係は日本軍との間ではなく、業者との間で結ばれていた−などを説明した。ところが、ク報告書には秦氏が「大多数の慰安婦は日本軍と契約を交わしていた」と述べたと記述されていた。秦氏は抗議の申立書(英文)をクマラスワミ氏に届けたがなしのつぶてだった》

朝日記事取り消しで素早く手を打った韓国

 −−韓国メディアは、朝日新聞が8月5、6両日に「慰安婦問題を考える」という特集記事を掲載し、吉田証言に関する記事を取り消した直後の9日に、スリランカでクマラスワミ氏に対し合同インタビューを行った
 「韓国は河野談話の作成過程が検証され、朝日新聞が吉田証言の記事を取り消すのを見て『次はクマラスワミ報告書が危ない』と、素早く手を打ったのではないか。クマラスワミ氏は韓国側と日本の人権団体に取り込まれたとみているが」
 「駐スリランカ日本大使館の職員はクマラスワミ氏宅の前を交代で見張り、誰が出入りするのかチェックしておけばよかった」

 《外務省の佐藤地(くに)・女性人権人道大使は14日、米ニューヨークでクマラスワミ氏に会い、吉田証言が引用されたク報告書の一部撤回を申し入れたが、拒否された》

 −−朝日新聞は9月29日付朝刊で、木村伊量(ただかず)社長が「自信を持っている」と述べた8月5日の特集記事に訂正を出した。記事で吉田証言を昭和57年9月に初めて取り上げたと記した「大阪社会部の記者(66)」は、実は当該記事の執筆者ではなかったとの内容だ
 「何もあんな訂正記事を出すことはない。『匿名A』ではなくて『匿名B』の元記者が私らしいと名乗り出た、という話なのだが、誰が書いたか断定できるまで訂正記事を待った方がいいのに。朝日新聞内はもう混乱を極めていて、まるで終戦直前の日本政府・軍部みたいだ」

 −−「匿名A」は8月の記事で「講演での話の内容は具体的かつ詳細で疑わなかった」と証言していた。筆者じゃないのにこんなコメントをしたのも妙だ
 「『匿名A』は記事を自分で書いたといったんは認めている。しかし、自分の書いた記事かどうか読んで分からないものだろうか」

 −−朝日新聞の8月の特集記事には、秦氏もアドバイスしたと聞く
 「第1素案のようなものを持ってきたので、目を通して注文をつけた。私は『中途半端になるならやめた方がいい』『関係記者の匿名はやめなさい』と言った。それと『(吉田証言にかかわる)16本の記事取り消しは英断ではあるが、どういう記事で取り上げたのかもう2、3例追加すべきだ』とも言ったが、ことごとく実行されなかった」
 「朝日社内には後悔している人もいると思う。中途半端なものを出してたたかれて、8月の特集記事は出さなければよかったと。吉田調書の誤報もジャーナリストの池上彰氏のコラム不掲載も一過性の問題だ。一方、慰安婦問題は一過性ではないからもう少し踏み込み、敗戦処理はきれいにやるという決意でやっていればよかった」

 −−特集記事の問題点はほかにも多い。植村隆元記者が平成3年8月に初めて韓国人元慰安婦の証言を書いた記事も、おそらく本人が話していない「女子挺身隊として戦場に連行」という内容になっているが、朝日新聞は事実のねじ曲げはないと主張している
 「植村氏の最初の記事は元慰安婦証言のテープを聴いたとあるが、テープを聴かせてもらったのか、ダビングしたのか実物が残っているのか不明だ。実際に元慰安婦に会いもせず、テープだけをもとに報じるのは報道のイロハに反する。テープで語っているのが当人かどうかも確認できない。変な記事だ。あの特集記事の検証が非常に不備だったというのは朝日新聞の記者たちも認めている」

 −−慰安婦と女子挺身隊を混同した理由を「研究の乏しさ」のせいにするという発想はいかがなものか
 「ただ、私は朝日バッシングはそろそろやめた方がいいのではないかと思う。今、朝日擁護は韓国メディアだけで背後には韓国政府もいる。慰安婦問題で中韓に日本の人権団体を加えて共闘態勢ができつつある中で、『居場所がなくなったから』と中韓側に朝日を追いやることになりやしないかと気になっている」

 −−朝日新聞が記事を取り消そうと、韓国は相変わらず慰安婦問題で強腰だ
 「韓国はもう放っておくしかない。中国に対しては刺激するのを避けるのが賢明だ。中韓の共闘となるのは避けたいからだ。韓国には遠慮なく攻勢をかける。ただし米国を主舞台にすべきだろう」
 「韓国軍慰安婦、米軍慰安婦、ベトナム戦争での性犯罪、ライダイハン問題(韓国人兵士によるベトナム女性に対する性的暴行で生まれた子供の問題)…と韓国は日本の数倍も女性の人権を侵害している(笑)。大いに広報すべきだ」

 −−朝日新聞も韓国も、慰安婦問題の本質は強制連行の有無ではなく、女性の人権だと言い出しているが
 「慰安婦募集の強制性や慰安所における性奴隷状態というのも怪しくなり、一番無難な女性の人権問題に向かっている。そうすると一般の売春はどうなるのか。これも女性の人権侵害になるのかという問題が浮上する。売春は職業の一つだという現実もある。売春婦による組合もデモもある。売春や『自由恋愛』も女性の人権侵害と規定し根絶させる方向なのか、どこで線引きするのかという議論をしなければならない」
 「韓国人女性ばかりが問題になっているが、一番多かった日本人慰安婦は人権侵害の対象にならないのか。救済措置を取ることになるのか。もっとも日本人慰安婦はこの20年、一人も名乗り出ていないが−」
 「今や米国、国連人権理事会、韓国を標的に逆攻勢をかける時機だと考えている」
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関連掲示
・拙稿「慰安婦問題:スマラスワミ元特別報告官は修正を拒否」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/8bb61e2e7d21aef258eee2602e24afdf
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