mixiユーザー(id:9160185)

日記一覧

あぶくは、空襲の記録フィルムを、逆回転させているみたいになだらかな曲線を描きながら、届かない水面へとのぼっていきました遮断された現実の世界の中で、わたしは眩しくない光というのはこんなにも美しいのだということをはじめて知りました永遠にも思える

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もしもあなたが詩人になるというのならその時点で未来はすべて捨てなさいあわよくば名を上げて、などと考えるのならはじめからやめておきなさいもしもあなたが詩人になるというのなら恋人に蔑まれる覚悟をしておきなさいそのうえで書き続けることが出来ないと

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お前の指先が深く沈めた、か細いものの吐瀉物を辿って、黒ずんだ血だまりに俺は辿り着いた、心許ない記憶みたいに浮かんでは消えていく泡はまるで戦争のようだ、俺は気を吐いて手首を切り裂き、流れ出る血をそこに追加する、利口なものよりは愚かしいものであ

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死後硬直の夢
2021年04月11日22:13

ディスプレイされた高価なネズミのようなまだあどけないヴァネッサ・パラディのコンパクト・ディスクの横で二十八歳のアリサはアイスピックで自分のこめかみを貫いた死に塗りつぶされた部屋彼女の生前のどこかで凍てついた悲しみのかけら電気機器のモーターみ

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十四歳のある日ぼくはあらゆるものがきっとこのままなのだ、ということに気がついたひとは、ある種の限られたコミュニテイはこのままもうどこにも行くことはないのだとそしてその突然の認識はやはり正しかった十四歳で死んでいったやつらはおそらくそんな風に

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漆黒垂れ流す深夜、息の絶えた獣の響かぬ声を聞きながら、寝床の中で目を開き、湿気た記憶の数を数えていた、思えば必ず身内の誰かが脳を病み、自我を曖昧にし、かろうじて自己紹介が可能な程度の人生を生きていた、それが宿命といえばそうなのだろう、けれど

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