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日記一覧
- 仄暗い水の底から／鈴木光司
- 2016年06月30日22:40
水・密室をテーマとした連作ホラー短編集。もっとも映画化された「浮遊する水」のような純正ホラーは半分ほどで、「孤島」にはなにかバラードっぽい趣きがあったり、最期の「海の沈む森」などは冒険小説風味も加えつつ、なんだか感動的に締めてくれるので読
- 宇宙探偵マグナス・リドルフ/ジャック・ヴァンス
- 2016年06月28日23:15
待望の国書刊行会＜ジャック・ヴァンス・トレジャリー＞第一弾。「宇宙探偵」とはずいぶんハッタリ効かしたもので、実態は宇宙トラブルシューター兼トラブルメイカー？宇宙津々浦々まで進出しても人間(とそれに準ずる知性体)の強つくばりは相変わらず、とい
- 筐底のエルピス２-夏の終わり-／オキシタケヒコ
- 2016年06月27日23:14
表紙は水着絵で、なんか夏合宿みたいなの始まるし、夜中に血泥まみれで死闘しっぱなしだった１巻からだいぶラノベっぽく路線変更か―と思いきや。楽しい合宿が「この中に鬼がいる！」という密室ホラー的な衝撃展開を経て、インフレにもほどがある敵集団が本
- ヴォ―パルバニー/江波光則
- 2016年06月26日22:34
「され竜」「迷宮街クロニクル」にオマージュを捧げたラノベは数あれど、本作のこだわりぶりは徹底している。なにせ、エピグラフに引用されるのが「ウィザードリィモンスターマニュアル」の、もちろん「ヴォーパルバニー」の項なのだから。この如何わしさ(
- 呪われた腕 ハーディ傑作選／トマス・ハーディ
- 2016年06月23日22:56
ヴィクトリア期英国作家の短編集。どの短編も、平凡な人々がその人生の中で陥る悲劇を扱っているが、悲劇が悲劇として完結しているのではなく、むしろそれを抱えてその後の人生を生きる人々の悲哀に思いを馳せるような締め方になっていて、独特の読後感を残
- 血翼王亡命譚−祈刀のアルナ−１／新八角
- 2016年06月20日23:57
幼馴染の王女を守って旅をする護衛役の少年…という王道も王道なストーリーを展開しながら、少しずつ特異な世界観を開陳していく(例えばこの世界の人間は胎生でない、という設定は中盤で明かされる)、という手法が実に上手い。主人公はテレパシーに近い能力
- ストライクフォール／長谷敏司
- 2016年06月17日23:32
長谷敏司が久々にラノベに還ってきた！ガガガ文庫で宇宙でロボで『タッチ』というこの場末感！８０年代なら王道なのに！だがそこがいい、というこの読みたいものが読めた感。一瞬でも四人の少年少女がスポ根する青春ストーリーだと錯覚したら負けである。中
- アルファ・ラルファ通り／コードウェイナー・スミス
- 2016年06月14日23:46
人類補完機構全短編２。グロテスクかつ優美、ロマンチックなのに通俗とは無縁、描かれるは「遠い世界」としか言いようのない異形の超‐未来。補完機構の長官たちの苛烈さとたまさかに見せる慈悲、彼らの叡智でさえ御しえない宇宙の神秘、そして下層民たちの
- 境界線上のホライゾン�宗Σ次神郛緻�
- 2016年06月11日23:31
遂にすべての謎が明かされる―とか言いつつ全１０００頁中９００頁までラスボスofラスボスこと織田・信長が出てこなくてどうなるかと思ったよ、という大詰めの巻。結局いろいろ暗号文とかひねくりまわしたあげく、ラスボス一歩手前で直接相手に質問する、と
- 殺戮のマトリクス・エッジ２／桜井光
- 2016年06月06日21:48
シリーズ２巻目、というよりは序章Ｂ面、といった趣きで、ストリート・サムライ(シャドウラン風に言えば)のバイトをしてるヒロインのルルイエ・トーキョー地下街探索行をメインに描く。無暗に強力なサブキャラがポンポン出てくる一方、メインプロットの連続
- ドン・キホーテの消息／樺山三英
- 2016年06月04日23:10
ドン・キホーテに聖書(ヨハネ黙示録)にボルヘス組んで、探偵小説のプロットに載せてみました、という以上のものには、残念ながら成っていないと思う。プロットにしても「羊をめぐる冒険」そのままでしかない、一応小説のフォーマットにしておこう程度のもの
- 赤い霧／ポール・アルテ
- 2016年06月02日23:38
「殊能将之読書日記」経由で手を出したフランス産ミステリ。９年前の片田舎での不可能犯罪を追っていたら、何故か連続殺人に展開し、あまつさえ歴史上もっとも有名な殺人鬼に行き着いてしまうという超・アクロバットな展開が凄まじい。作中でインフレーショ
