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日記一覧

生涯編集者、その2
2021年09月30日15:21

 編集者は同じであることを嫌う。もし、雑誌創刊という話になったときに、すでに前にある雑誌と同じものを作れば、それは売れないし、そもそも、 著作権などの問題にもされてしまう。ゆえに、同じ内容、たとえばそれがファッションでも、音楽でも、スポーツ

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生涯編集者、その1
2021年09月29日16:28

 作家という人は、作家とは何かについて考えたりしないように思う。学者はその学問の本質について考えることはあるだろうが、そもそも学者とは何か、と、そこは考えていないように思う。医者は医療とは病院とは、と、そこは考えているだろうが医者とは何か、

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 高価なお土産を抱えて来て、ドラゴンに、けっこうな値段のハンモックを買わされたというのに、ガメラは、嬉しそうに帰って行った。「ドラゴン。お前、本当に縮尺を間違えたのか。それに、あれだ、お前、本当に大きさを変えられなくなったのか。まあ、私は、

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「こうして話が盛り上がると、どうしても酒が欲しくなるんだがな。ドラゴンが未成年なんてことは、まさかないだろうしな」 いつものようにガメラは自分の甲羅を揺り籠にしはじめた。ドラゴンはその腹の上に乗って、一緒に、その揺れを楽しんでいるようだった

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 テーブルの上を片付け、洗い物をして、コーヒーを淹れて戻ると、ドラゴンとガメラはすっかり意気投合しているようだった。その様子は、ギャオスのときのそれとは違っていた。江戸の風情についてガメラが熱く語っている。ドラゴンも、それに興味があるようで

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 ドラゴンはガメラや筆者の食べ方を真似して、出来るかぎり羊羹を細かく、小さく切り分けて食べようとしていた。本来なら、ガメラでさえパクリと一口で食べてしまいそうな大きさなの羊羹なのだが、さすがに、こればかりは、そんな食べ方が出来ないようなのだ

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「これだ、これだ」 ガメラは少し大きめの書籍のような大きさの箱を取り出した。その箱は深海のような深い青色をしていた。ドラゴンはさっそく鼻を付けたが、それが何か分からないようだった。「ただの羊羹じゃないぞ。いや、そもそも、これを羊羹と呼ぶのは

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 家に入った新しい家具の周囲をぐるぐると嗅ぎまわる猫のように、ドラゴンはガメラの周囲を嗅ぎまわっていた。ガメラは短い脚を強引に組み、短い腕も強引に組み、そして、いかにも、鬱陶しいという具合に顔を歪めていた。ただ、歪めたところで、あまり表情は

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「お前、そろそろ帰るんだろう」 ドラゴンは、すっかりギャオスに懐いていた。おそらく、欲しい物を気前よく買ってくれるところが気に入ったのだろう。そして、最初こそドラゴンの圧倒的な力を恐れたギャオスだったが、いつの間にか、ドラゴンを愛らしい守る

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「ところで、ギャオスは、ドラゴンを見に、わざわざ来たのか。何か用事があったんじゃないのか」「ドラゴン見に来たというか、ドラゴンの心配をして来たんだよ。こんな狂暴な力が来たなんて思わなかったからな。まあ、でも、それも本当の理由じゃないかもな。

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 筆者のパソコンにペットショップの通販が映し出されていた。最近、筆者のパソコンは、すっかりドラゴンに占領されてしまっている。従って、ペットショップのサイトを開いているのもドラゴンなのだ。「なあ、ギャオスに相談なんだけどさあ」 ギャオスは筆者

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 ドラゴンが梨のなくなった皿を眺めながら、小さく呟いた。筆者はそれをなくなった梨に対する未練の言葉でも吐いたのかと思ったが、違っていた。「お前、どうしてギャオスたちが地球に来たのか知ってるか」「ああ、地球を守るためだろう」「どうして、宇宙の

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「噂には聞いていた。宇宙のいろいろな場所にドラゴンという種族がいて、ものすごい力と知識を蓄えているのだ、と。でも、アイさんは、ただ、可愛いって言っていたから、すっかり油断していたんだ」 洋梨を食べながらギャオスが言うと「甘いなあ、やわらかい

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 ベランダの窓を開けると、それと同時にギャオスが飛び立とうとしていた。筆者には飛び立つギャオスに言葉をかける余裕さえなかった。ところが、ギャオスはベランダから数センチ浮いたところで止まってしまった。「止めてくれ」 ギャオスが叫んだ。叫んだと

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ただの休憩、その6
2021年09月14日14:31

 多様性と言いながら、ずいぶんと偏った思想や政治や価値観の中に人が置かれているような気がしていたのだ。何だか、多様性という言葉と同調圧力という言葉が同義語のようにさえ思えて来た。ビジネスの世界では労働者よりもコンサルタントが大事にされるよう

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ただの休憩、その5
2021年09月13日16:52

 価値観というものに挑戦してみたかったのだ。今の世の中でもっとも価値のあるものは命ということになっているのだろうが、そこにさえ筆者は疑問を感じていた。もっとも大事なものが命で、本当にそれでいいのだろうか。そこで世界の平和のために命を懸けて闘

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ただの休憩、その4
2021年09月12日11:28

 熱狂的なファンというのが嫌いではない。アイドルやアーティストのファン。あるいは、スポーツのファン。プロ野球ファンの熱狂ぶりなどは羨ましくさえある。 ところが、不思議なことがあるのだ。 人は、そうしたことに熱狂的になるのに、日常では醒めてい

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ただの休憩、その3
2021年09月11日15:14

 ラーメン屋がやっていなかったので隣の日本蕎麦屋に入るということに筆者は違和感を持たない。ラーメンを食べに来たのだから別のラーメン屋を探そう、と、そうは思わないのだ。美味しいと聞けば、わざわざ車で遠出もするし、電車に乗り、歩き、並んでも食べ

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ただの休憩、その2
2021年09月10日16:41

 孤独について書きたい、と、そう思った時、特撮映画のことを思い出したのだ。ああした映画やテレビドラマに出て来る怪獣というのは、けっこう孤独だったのでは、と、そう思ったのだ。そして、もしかしたらヒーローも意外と孤独だったかもしれない、と、そう

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ただの休憩、その1
2021年09月09日15:49

 ドラゴンが登場した。コモドオオトカゲは自分たちをドラゴンの末裔だと主張していたが、ドラゴンは宇宙生物だった可能性が出て来た。そのコモドオオトカゲとドラゴンは、いずれ会うことになるのだろう。 先を急ぎたいのだが、少し、この話に疲れて来たので

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「人間は死を必要以上に嫌い恐れる生き物なのよ。幽霊の私が言うの、なんか、おかしいけど」「死を生きることからの解放とは考えないわけだな、人間は」 愛らしい姿なのだが、やっぱりドラゴンの言葉には、永遠を生きるものの何かがあるような気がした。しか

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「どうして地球人は命を大事にするんだ」 梨を食べて満足したドラゴンが、梨を剥く前の会話に戻した。「大切なものが他にないからじゃない」 アイさんは自ら日本茶を淹れながら言った。実体のないはずのアイさんなのに、物でしかない急須もヤカンも普通に扱

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 アイさんの膝の上で寛ぐドラゴンをそのままに筆者とアイさんは、人が生きる意味についての話をしていた。アイさんは、しばしば「死をかけても伝えるべきを伝えるために人は生きるのだ」と、言った。アイさんは死んでも、なお、伝えるべきを伝えようとしてい

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「なるほど」 アイさんが筆者に歌舞伎の坂東玉三郎の霊験は、もはや自分より強いというような、あまり意味の分からないような話を聞かせていた間、ドラゴンは、筆者のコーヒーを大事そうに飲みながら筆者のパソコンをいじっていた。「ドラゴンちゃん、あ、ド

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 アイさんがコーヒーカップを手に持ち、それを顔の前に掲げて香りを堪能していると、その隣に、ちょこんと座ったドラゴンがアイさんの下から顔を見上げている。まるで、おやつをもらう前の犬のようだ。「ねえ、可愛いからいいんだけど、何しているわけ」「何

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 ベランダの窓を開ける。開ける必要のないことは分かっている。しかし、形式というものは大事なものなのだ。いや、形式を重んじるなら彼女は玄関から入って来るべきなのだが、そこは分からない。矛盾も、また、大事ということでいいのではないだろうか。「お

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『ちょっと出て来る』 と、モニターに書置きしたまま、ドラゴンはいなくなった。昔の人は、このようにして猫を飼っていたと聞いたことがある。餌を食べて眠るが、それ以外の時間は勝手に外で生活しているというわけだ。そのために猫専用の出入り口なんていう

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