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日記一覧

 昭和が終わろうとしていた頃。筆者は都内の高級ホテルのスイートルームで夜景を眺めていた。そして、使用済みのゴムやティッシュを拾っていた。ラブホテルとは別のタイプの広さのあるバスルームにこもった排泄物の臭いと格闘していた。昭和が終わろうとして

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 昭和が終わろうとしていた頃。筆者は貧乏のどん底でエロ本を作っていた。筆者の周囲には、同じように貧乏のどん底であえぐ編集者たちがいた。皆、ただ若かった。しかし、同じ年齢の別の若者たちは、器用に稼ぎ、楽しそうに遊んでいた。サーフィンとスキーが

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 昭和が終わろうとしていた頃。筆者は近づいた世紀末に漠然とした不安を抱きながら、やっぱりエロ本を作っていた。生活は食べるのにも困るほど貧乏だった。何十万というギャラを現金で支払って撮影をしているのに、その撮影の夜には、カップラーメンを食べ、

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 昭和が終わろうとしていた頃、まだ、日本の景気は悪くなかった。しかし、日本の景気が悪くないだけにエロ産業の景気には陰りがあった。儲けたお金でエロ産業に参入する人たちが増えていたからだ。ビデオ、ビニ本、マニア雑誌、マニアサークル、そして、性風

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 昭和が終わる予感を筆者たちは持っていた。しかし、そうした予感とは別に、ただ、エロ本を作っていた。日本の景気はそれほど悪くないのに、筆者は、とにかく貧乏だった。理由は、ビデオと性風俗で儲けた時代を忘れられなくて、一度、大穴をとったギャンブラ

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 昭和が終わろうとしていた頃。筆者は、女の両足の間に仰向けに寝転がり、そこから落ちてくるだろうオシッコを撮っていた。その頃、安価な防水カメラが発売されたからだった。筆者の作るエロ本を買ってくれているマニアたちにとっては羨ましい仕事だったのだ

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 昭和が終わろうとしていたとき、筆者はエロ本を作っていた。池袋東口から十五分は歩いただろうか。オフィス街とも住宅街とも言えないような街の一角の、後、数年で壊すのだろうと思われるビルの四階という中途半端な高さの部屋で筆者たちはエロ本を作ってい

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書けないが続く、その6
2019年06月21日00:54

 どうして自分はエロ本に人生を賭けていたのか、今となっては分からない。あの頃にはエロ本に対して、いや、エロ業界そのものに対する強いアンチテーゼがあったのかもしれない。エロ本の読者をバカにしたようなポルノ小説が多かった。マニアをバカにしたよう

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書けないが続く、その5
2019年06月20日15:36

 書く気力がなくなって来ると、不思議なことに考える気力が満ち溢れてくる。書くつもりがないなら考える必要もないと思うのだが、そうではないのだ。書きたくないと思いはじめると同時に、あらゆることについて考えるようになるのだ。 たとえば、どうして、

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書けないが続く、その4
2019年06月18日00:35

 書きたいことなどない。書く気力もない。そもそも、何もする気がしない。欲求がないのだ。美味しいものと聞けば反応してしまうが、それを食べに飛行機にまで乗る元気はないのだ。車で行けるにしても高速道路で三時間以上もかけて行くほどの気力がない。 気

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書けないが続く、その3
2019年06月17日00:27

 どうせ書けないと思うと、いろいろなことがどうでもよくなる。書けない上に右目の古傷が急に悪化して視界が悪くなるというアクシデント。特にモニターと本が見えない。正しくは見え難い。電子書籍はそうでもない。そんな状態では、とても何かを書く気分には

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書けないが続く、その2
2019年06月16日01:12

 あまりに書けないし、書くこともないし、書きたいこともない。こんな時は、誰かが代筆をしてくれないものだろうか、と、そう考えていて、一つ、思ったことがある。筆者には代筆してくれそうな者が多くいるのだ。奥田忠志はもちろん、裏道小道、江波輪坊、ア

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書けないが続く、その1
2019年06月15日00:37

 さて、十二話も書いたのだが、スランプからは抜けられずにいる。スランプのまま、次の企画を考えるのは苦しい。苦しいが、スランプの間の企画というのは、どういうわけか人気が出る。思えば、スランプの間に「書けない」と、その理由について書くということ

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 子供の頃から、かなり長い間、いや、もしかしたら今でも、筆者は喫茶店をやりたいと思い続けていたように思う。今でも。喫茶店といっても、筆者がやりたかったのは、コーヒーの美味しい店でも、サンドイッチの美味しい店でもない。正直、コーヒーは好きだが

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 焼き鳥は面白い。昔は、焼き鳥と言えば庶民的な酒の肴だった。店の前に持ち帰り用の焼き鳥を焼く場所があり、煙を好き放題に出していた。近所の人が洗濯物に匂いがつくとクレームを付けなかったのが不思議なぐらいだ。ところが、最近は、焼き鳥と言うのに、

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 川崎の繁華街はいささか怖い場所だった。酔っ払い、風俗店の呼び込み、水商売の女たち、そして、ケンカ、怒声、ゴミ、悪臭。どれもそこを歩く者を緊張させるものだった。嫌ではなく怖いのだ。 その繁華街の外れに定食屋があった。十席程度のカウンターしか

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 スパニッシュが好きな人の好きな理由のほとんどはパエジャ好きだからなのではないだろうか。少なくとも筆者はそうだ。しかし、このパエジャ、実に難しいのだ。別に、パエジャの不味い店に当たる確率が高いと、そんなことではないのだ。ファミレスで食べてさ

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 筆者のように貧乏な街で昭和を過ごした男たちの多くは、密かに、自分こそはお好み焼きの達人だと信じていたはずだ。子供の頃から駄菓子屋の片隅の鉄板でお好み焼きを作って食べていたのだ。年頃になれば、お好み焼きの専門店に女の子と行って、そこで慣れた

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 銀座で天婦羅を食べているとき、たまたま暇だったのか、職人が天婦羅についての話をしてくれたことがあった。天婦羅は耳と目と匂いと皮膚感覚で揚げるのだというのだ。同じ鍋の中の油でも場所によって温度が違う。素材によって入れる場所を変え、入れたとき

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 本格的なレストランには行きたくない。そうした店はたいてい高いからだ。美味しくないはずがない。しかし、高い。だから行きたくない。行きたくなどないのだが、やはり足を運んでしまう。無理をして食べに行ってしまう。不思議なものだ。経済においての最初

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 最近は、すっかり旅行に出なくなった。たまに旅行に出ることになっても、たまになので当たり前のスケジュール、当たり前の食事になってしまう。温泉旅館とかインターネットで検索してのレストラン。それはそれで失敗がなくていいのだが、少し寂しい。 その

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 貧乏なくせに、生意気なこと、この上ないが、寿司はカウンターで食べたい。回転寿司も近年は進化し、それはそれで楽しいし美味しい。しかし、それでも、寿司はカウンターのある店で板前を目の前にして食べたいのだ。ゆえに、大食い出来るときには回転寿司に

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 世界の料理と言われれば、当然、興味を持つ。日本から遠く離れた土地で日本では知られていない美味しい物を食べている人たちがいるのに違いないからだ。しかし、こうした時代になったので、どこの国のどんな料理も、およそ東京で食べることが出来る。食べる

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 料理の楽しみ方はいろいろだと思う。食べて美味しいを楽しむのが、料理のもっともシンプルな楽しみ方だろうが、別な楽しみ方もある。たとえば、自分でも料理をするなら、自分ならこう作るのに、この料理は自分にも出来るのではないか、と、自分を料理人に置

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 あまりに書くことがないので、ついに料理の話を書くのかと言うと、その通りなのだ。しかし、筆者は料理人でもないし、料理評論家でもないし、レストラン経営者でもないので、実際には料理の話は書けない。もちろん、筆者もクリエイティブなことを仕事にした

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 どんな作品であれ、創作物に関わる人間が絶対にやってはいけないと言われていることがある。それは自らの日常を垂れ流すことなのだ。それをすると脳が想像性を持たなくなるのだと言われている。本当かどうかは定かではない。ただ、ジャンクフードばかり食べ

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