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日記一覧

 星置、海ノ口、潮来、花市場、猿ヶ京、無音、毒沢ー全国の地名が喚起する豊潤なイメージ。この地名にまつわる本は、地名の歴史的な由来と著者の軽やかな想像とが絶妙に混じり合っている。「神々がふと、あの辺りが暗い、と何気ない風に歩いて行ってそっと抱

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 この雅やかな本に誘われて、昨日、山種美術館の「東山魁夷と四季の日本画」展に行った。東山魁夷は、川端康成からの「京都は今描いといていただかないとなくなります、京都のあるうちに描いておいてください」という言葉を受け、『年暮る』等の著名な作品を

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 「誰が開戦を決めたのか」、「戦時下の国民は戦争をどう捉えていたのか」、「なぜ人を武器にする戦略が生まれたのか」など7つの問いかけから、太平洋戦争を分析する。 兵士を人間として扱い、兵士への礼節を尽くして散った山本五十六のような指揮官もいれ

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 「もしわれわれが、まず現在どこに立っているかを知り、またどの方向に向かおうとしているかを知ることができたならば、何をなすべきか、またこれをどのようになすべきかについて、よりよい判断を下すことができるでしょう」 このリンカーンの言葉のように

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 美登利と真如の淡い恋心や二度と巡らない子どもの頃の時間を生き生きと雅やかな文体で描く『たけくらべ』と比べると、やるせない結末を含めた『にごりえ』の悲愴感、闇の暗さと深さが際立って見える。 濁り江に咲いた可憐で繊細な花のような遊女のお力、お

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 「一人の若い精神が、なにか懸命に一つの問題を追って、取り組んで、自分でもうまく言えないその思考を必死に追っかける過程そのものがここに痕跡をとどめている。」  小林康夫と大澤真幸の対談集。両者とも哲学者、社会学者という枠にとどまらない広範な

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 「一人の人間が死んだというのに、外界はまるでそんなことがなかったように、先程と同じ営みを続けている。こんな馬鹿なことはない。これが殉教というのか。なぜ、あなたは黙っている。あなたは今、あの片眼の百姓がーあなたのためにー死んだということを知

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