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道路との境目が見えず事故が相次ぐ「人食い用水路」。昨年も女性が転落死

道路や水道など、生活を支えるインフラが全国各地で崩壊の一途を辿っている。しかし維持管理できない自治体も出てきているという。一体現場では何が起きているのか。全国で顕になりつつある“荒廃する日本”の実態に迫る。

道路との境目が見えず事故が相次ぐ“人食い用水路”

岡山県岡山市/一帯に広がる用水路
インフラ

岡山市内を流れる用水路の様子。衝突して曲がった視線誘導標なども見られる

田畑に水を引く用水路は農業にとって必要不可欠なインフラ。特に降水量の少ない岡山市では、全長4000㎞もの用水路が広がるが、ここに転落し死亡する事故が後を絶たない。その危険性から“人食い用水路”とも呼ばれている。 地元住民は実態をこう明かす。 「’22年7月にも、女性の転落死がありましたが、地元では日常茶飯事です。なかには小川ほどの広さの用水路もありますが、ガードレールなどはほとんどない。足を踏み外した拍子に、用水路の底に頭を打ち、亡くなるケースは多い」

再発防止策を含めた整備が求められる

インフラ

車が今にも落ちかねない駐車場

予算が足りず整備が難しいのかと思い、岡山市中区役所に尋ねるとこんな回答が。 「予算の問題というより、農家が水の流れを調整したり、掃除のために出入りするため、すべての用水路に柵や蓋をつけることはできません。反射材を用水路の脇に設置するなど対策を講じています」
インフラ

現地の警察署もこの事態を危惧し、用水路での転落の注意喚起を行っている

しかし、同じく用水路で転落死した事故では、広島県福山市の転落防止策に瑕疵があると裁判所が認定している。岡山市にも再発防止策を含めた整備が求められる。
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大都市の地下に走る“古く脆すぎる”水道管問題
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