亀山早苗の恋愛コラム

女友達の結婚・妊娠を素直に喜べない……アラフォー独女の事情

女友達の結婚・妊娠を素直に喜べない……独身でいることは自分にとっては楽しいし、結婚を焦っているわけではない。そう思いながらも、同い年の同期が結婚していくのが少し寂しい。そんな気持ちを味わっている女性は少なくないのではないだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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女友達の結婚・妊娠を素直に喜べないのは心の狭い女……?

女友達の結婚・妊娠を素直に喜べない

女友達の結婚・妊娠を素直に喜べない

独身でいることは自分にとっては楽しいし、結婚を焦っているわけではない。そう思いながらも、同い年の同期が結婚していくのが少し寂しい。そんな気持ちを味わっている女性は少なくないのではないだろうか。

「何かをしないでいる人」は、「何かをした人」に置き去りにされたような気持ちになるのかもしれない。
 

老後はふたりで楽しもうと約束していたのに

「同期のサホとは、部署が違ってもずっと仲良くしてきたんです。お互いに自分の趣味に引っ張り込んだり、一緒に映画を観に行ったり。本当に公私ともにつきあえるいい友だちだと思っていました。ところが4カ月前、彼女はいきなり『明日、結婚するんだけど証人になってもらえないかな』と言ったんですよ」

ナツキさん(38歳)は、親友のサホさんが急に結婚すると聞き、「つきあっている人がいたの?」と驚いてしまったという。

「だってそんな話、まったく聞いてなかったから。それどころかその前日、『いい男、いないよね』とふたりで愚痴りながら飲んでいたんですよ」

結婚の話を聞いたとき、昨夜の愚痴は何だったのかとナツキさんは尋ねた。するとサホさんは、「長い間つきあったわけじゃないし……」と言葉を濁した。

「もしかしたら、と思ったんですが、やはり彼女、妊娠していました。この年齢で妊娠と結婚が両方手に入るなんて、なんだかずるいと思ってしまい、そう思った自分に嫌悪感が募りました」

ナツキさんにとって、サホさんは「自分のつっかい棒」のような存在だったのかもしれない。彼女がいるから私もがんばれる。そう思っている面があったのではないだろうか。

「同じ境遇でしたからね。両親が離婚していて、自分自身も結婚願望が強くない。というか、結婚に対して懐疑的でさえある。ゆきずりの恋はしても、男に依存するような関係にはなりたくない。いつもそう話していたんです、ふたりで」

ところがサホさんは、従来の結婚というシステムを躊躇なく選んだ。彼の収入がけっこうあるので専業主婦になる可能性もあるという。
 

自分の力で、という言葉が信条であるとは限らない

女性の心の中では、どこか「男性に養ってもらって当然」という気持ちがあるのかもしれない。特に30代も後半になれば、出産だけでも体力気力を奪われる。ましてや子どもが走りまわるころには40代になってしまう。

「子どもという宝をもったのだから、誰かに自分と子どもを守ってもらいたい、働かなくてすむなら働きたくない。そんなふうに思うのかもしれませんね。私だって自分がその立場になればそう思うかもしれない。だけど、それまで言っていたこととあまりに違うのはちょっと恥ずかしいですよね。でもサホには、そんな恥ずかしさが見えなかったんです。なんだか裏切られた気分です」

一般的には結婚していくサホさんは幸せで、ナツキさんは取り残された存在のように思えるだろう。ただ、自分の収入、社会的立場を失うサホさんが必ずしも幸せとは限らない。

「サホも、それほど浮かれているわけじゃないんだと今になると思います。結局彼女は安定期にはいりつつあるつい先日、会社を辞めました。それも私には事前に相談さえなかった。みんなへの挨拶で『夫が、母親の代わりはいないのだから産まれてくる子に全力を注いでほしいって言うので』と言っていたけど、サホがそんなことを言うのかと驚きました。そうやって他人に振り回されるのがいちばん嫌いだったはずなのに」

同じ生き方を模索していた仲間が、あっさりと裏切った。ナツキさんにはそう思えたのかもしれない。

だが「同じ生き方」などあるはずもない。人の気持ちは変わるし、変わらなくても今はこういう態度でいようと柔軟に考えている人もいるだろう。たとえ相手が信条を変えたとしても、それを理解したいと思うのが友人ではないだろうか。もちろんナツキさん自身、それがわかっているから自己嫌悪に陥るのだろうけれど。

「結婚すると聞いたら、出し抜かれたと思ってしまう私も、本心では結婚したいのかもしれませんね。結局、突っ張って見せているだけなのかも」

人は日々刻々と変わっていく。どういう方向であれ、人が変わるのも自分が変わるのも悪いことではない。むしろ、そうやって少しずつ本音をさらしていくのが「生きること」なのかもしれない。

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