スマートグラス「Nreal Air(エンリアルエアー)」(税込み3万9800円)を入手した。どんな使い道があるのか、あるいはどんな人に向いた製品なのかを探ってみた。
Nreal Airは対応するAndroidスマートフォンとUSB Type-Cケーブルで接続すれば、ARを体験できる製品で、「NrealLight」(2021年12月1日発売、税込み6万9799円)よりも価格を抑えたモデルだ。2022年2月からNTTドコモとKDDIの通信キャリア2社を通じて販売されている。NrealLightとの大きな違いは、NrealLightが6DoF(6自由度、AR3D空間内の仮想コンテンツに対するユーザーの物理的な動きの自由度を表す)ARグラスであるのに対し、Nreal Airは3DoF(3自由度)のARグラスであること。重さについても、NrealLightの106gに対し、Nreal Airは79gとさらに軽い。
メガネやサングラスのような見た目から手軽に扱えそうな製品だと思っていたが、基本的には前述のように対応するAndroidスマートフォンがないと使えない。製品サイトには「Xperia 1 III」「Galaxy S21 5G」などの動作確認済の端末名が記載されているが、iPhoneやiPadなどのApple製品は含まれていない。
初期設定は専用アプリ「Nebula」から行い、下記も初期設定時に求められる(一部の項目はスキップできた)。
それさえ済ませれば、「Display Port Alternate」モード対応のデバイスの映像を、Nreal Airに出力できるというわけだ。iPhoneやノートPC、Display Port出力に対応していないスマートフォンをNreal Airで使うには、別売りの「Nreal Streaming Box」(税込み9900円)を用意する必要がある。Nreal Streaming Boxを使えば、3時間ほどではあるものの、iPhoneやDisplay Port出力非対応製品のコンテンツなどを、Nreal Airにワイヤレスで投影できる。ただし、NetflixやAmazon Prime Video内の映画などDRMで保護されたコンテンツは再生できない。
ここまで留意点をお伝えしたところで、以降は実際の使用感をチェックしてみる。
実際にかけてみると、グラス越しに巨大なディスプレイが前面いっぱいに広がり、空中に映像が投影されているような印象だった。構造としては本体上部に備わる有機ELディスプレイに映し出された映像が、ハーフミラーに反射される。半透明のディスプレイを持ち歩く、といえばイメージしやすいだろうか。
暗い部屋ではかなり明るく見えるが、屋外では最大輝度にしても暗くて見づらいと感じる。屋外での使用がうたわれているわけではないが、レンズをふさぐキャップのようなもの(ライトシールド)を取り付けると、余計な光が遮断されるため、屋外でも明るくきれいな映像を楽しめる。頻繁には起こり得ないだろうが、暗所で他人に凝視されると、自分が何の映像を投影しているのかがバレてしまう。それを防ぐのにもライトシールドが役立つ。
Nreal Airを外に持ち出して歩いてみたが、Nreal Airに投影された映像に集中してしまい、他の人や車に気付きにくくなった。歩行しながらの使用は絶対に避けた方がいい。
長時間の使用による目への負担はどうなのかも気になった。
Nreal AirはARグラスとして世界で初めてテュフ・ラインランドのアイケア認証を取得した製品でもあるため、ブルーライトによるユーザーの目への影響を軽減できるという。さらに、画面のちらつきによる視覚疲労を軽減するテュフ・ラインランドのフリッカーフリー認証も取得している。
筆者の場合、約2〜3時間の使用は問題なくできたが、それを超えてくると目が疲れてきた。もちろん人によって体感に差がでるところではあるが、やはり長時間の使用も避けた方がいいだろう。
なお、Nreal Airに付属する視力補正レンズ用のアダプターは、度が付いていないものなので、これに合った専用レンズが別途必要になる。度付きレンズの付け替えが必要であれば、Nreal公認のメガネ店である「JUN GINZA」で購入できる。もちろんメガネの上からでもNreal Airをかけることは可能だが、視力が弱い人は専用レンズを作成した方が良さそうだ。
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