声優・内田雄馬「僕らは求められなくなったらそこまで」 初心忘れぬ“プロとしての熱意”を語る
声優の内田雄馬が、11枚目となるシングル「Salt & Sugar」を4月12日(水)にリリース。2022年11月には日本武道館でライブを開催し、2日間で1万6000人を動員したことも記憶に新しいが、アーティストとしての存在感を強める彼にとって、アーティストと声優活動とはどのようなものなのだろうか。日本武道館でのライブの振り返り、本シングルについて話を聞く中で、彼がどんな思いを抱いているのかが見えてきた。(取材・文=M.TOKU/写真=小川遼)
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■武道館は「あまり緊張しなかった」
――2022年11月に行われた日本武道館のライブ、お疲れ様でした! 4月12日(水)に、ライブDVDが発売されたということで、改めて武道館に挑んだ際の気持ちを教えてください。
2021年の11月くらいに「日本武道館でのライブが決まりました」という話をもらってから1年間、ライブに向けて何ができるのか考えて過ごしていたので、終わったときはホッと安堵(あんど)したのと、「めっちゃ楽しかった」という気持ちの両方がありました。
――大きなステージでのライブですが緊張しました?
あまり緊張しなかったですね。緊張って自分のことを気にし始めるとするものだと僕は思っていて。「振り付けは大丈夫かな、歌詞を間違えないかな、声は出るかな」と考え始めると、安心する瞬間がなくなっちゃうのかなと。
ただ、どんなに練習していても「絶対に大丈夫」って思えることは恐らくないんですよね。なので、「今日、来てくれるお客さんはどんな人たちかな」「バンドやダンサーチームとどんなセッションやシンクロができるかな」と、自分と向き合ってくれる人のことを考えるようにするんです。そうすると緊張しなくなる…というよりも、緊張している暇なんてなくなります。
――ライブ中ずっと笑顔だったこと、パフォーマンスが終わるたびにお辞儀する姿もすごく印象的でした。内田さんの「向き合う」姿勢は、そういうところから勝手ながら感じていました。
音楽は作る分にはもちろん自由なんですけど、届ける相手がいないと成立しないものです。ライブもその日に「あそこへ行こう」と選んでくれる方がいるから、初めて成り立つと思っています。
――届ける相手がいるという気持ちは、役者としてキャラクターに声を吹き込むときも同じ?
芝居はそのキャラクターが“何をしたいか”というところへ最終的に向かうので、届ける相手を考えてアフレコすることはあまりないです。キャラクターは見ている人にこの言葉が届く、これが共感を生む、作品のためになるとはきっと考えていないですから。声優の内田雄馬として後から分析することはありますが、演じているときはその役でいるので、アーティスト活動とは向き合い方が少し異なりますね。
――確かに、キャラクター自体は見てくれる方がどう思うかは考えていないですよね。
そうなんです! 彼らはただ毎日を一生懸命に生きているだけですから。
――日本武道館のライブを経て成長したと感じることはありますか?
どのライブでも得られる経験は等しくありますが、(武道館でのライブは)精神的な部分でより気合が入りました。日本武道館はアーティストの聖地と呼ばれているステージで、子供の頃から「すごいところらしい」と漠然と感じていた場所です。どんなステージでも必ず良いものを届けるという思いは絶対に変わらないですが、あのステージに立ったことで、気持ちの部分でブーストがかかった気はします。
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