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花總まりと谷原章介が出演する舞台「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」が4月1日から上演される。本作は、カナダの同名小説を原作に、奇妙な銀行強盗に“魂の51%”を奪われた13人の被害者たちの身に起こる不思議な事件とある夫婦の愛と奇跡を描いたファンタジー。谷原は、事件以降、身長が少しずつ縮んでいく妻の夫を演じる。谷原に本作の魅力や役柄について、さらには夫婦円満の秘訣(ひけつ)などを聞いた。
まず、演出をG2さんが担当されるということ、そして花總さんとご一緒ということでやりたいなと感じました。その後に原作を読んだのですが、これをG2さんが具現化したらどうなるんだろうと興味が湧きました。それに、原作を読み進めていくと各キャラクターのバックグラウンドや彼らが銀行強盗に奪われた大事なものと、遭遇する不思議な出来事の原因との関連性が、ふっと結びつく感覚があったんです。本を読みながら自分の内面を掘り下げる物語なのだと感じ、それが面白いなと。僕自身、妻と17年間、結婚生活を送っていますが、やっぱり色々なことがありました。そうしたことが思い返されて、読み終わった後、僕も改めて家族との接し方を考えている自分がいました。
DV(ドメスティックバイオレンス)って、暴言や暴力だけでなく、無視や無理解といった“静かな拒絶”もあると僕は思っているのですが、彼はどこかそういう要素のある人かなと思います。しかも、それを自覚していない。そうしたところをどう分かりやすく立ち上げるのか。そこを意識して役を作っていこうと思います。暴言を吐いたり、強い態度で奥さんをぞんざいに扱えば、見ている方にはすごく分かりやすいのかもしれませんが、安っぽくなってしまうので。もしかしたら、G2さんは全く違うことを考えているかもしれませんが、僕はこの作品は夫婦のディスコミュニケーションの話だと思っています。“妻が縮む”というのも、夫が妻を理解してあげないから。でも、夫はこれが一番いいだろうと思って“やってあげているつもり”なんです。妻は、無視をされたり、相手から軽んじられていたりすることで、理解されていないと感じます。それを“縮む”と表していているんだと今は思っています。彼の無理解や知ろうとしない姿勢が、奥さんを縮ませてしまったのではないかな。だから、犯人は夫なのかもしれないですね。
そうですね、僕自身、少し前に通ってきた道なのかなと思います。夫が30後半で、子どももまだ小さいという時期は、本当に大変な時期なんですよ。仕事も頑張らなくてはいけない。家に入って子育てをしている妻のことを家にずっといて楽をしていると思う人もいるかもしれませんが、キャリアが断絶してしまうつらさや自活できないことへの忸怩(じくじ)たる思いがある人もいると思います。誰もが自分で働いて、自分の力で、自分のお金で胸を張って食べていると言いたい。ところが、家に入ってしまうと、「食べさせてくれてありがとう」という環境になる。お互いにまだまだ折り合いがつかない状況の二人だと思います。
具体的なことはここでは言えないですが(笑)、男と女ですから、それはもちろんいろいろありました。お互い折り合いをつけたとはいえ、考え方は違うところもありますし、僕も年齢を重ねて更年期になってきて、いろいろなことが変化していく。子どもも成長してただ小さくてかわいいだけではなくなってきて。自分で歩き始めてそれに寂しさも感じますし、家族はどんどん変化していく。そうした今までの経験がいろいろなところに出てきそうだと思います。
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