『南国少年パプワくん』はご当地ブームの先駆け? 時代を先取りしすぎていた”キャラ設定”

 

『南国少年パプワくんTVアニメ版スペシャル ファイナル2 2 』(エニックス)

 1991年に創刊された「月刊少年ガンガン」の人気を牽引する存在となった初期の傑作といえば『南国少年パプワくん』だ。絶海の孤島・パプワ島に漂着したシンタローが、パプワくんたち島の住人とドタバタ劇を繰り広げるギャグ漫画である。なお、後半はギャグがだいぶ少なくなり、シリアスな展開になっていく。

  創刊号から連載が始まり、「ガンガン」では最初のアニメ化作品となったため、1990年代に小学生~中学生だった世代には抜群の知名度と人気を誇る。最近では作者の柴田亜美のTwitterが人気である。往年のファンはもちろんだが、Twitterを通じて柴田を知った新規のファンをも楽しませている。

 さて、「パプワくん」の魅力といえば、イトウくん、タンノくんなどといった一癖も二癖もあるキャラクターである。しかも、今読み返すと、そのキャラクター設定が時代の先を行っていることがわかる。

  中でも、ご当地ブームを先駆けて取り入れていた点も印象的だ。それはシンタローを追って次々にパプワ島に送り込まれるガンマ団の刺客の名前に表れている。東北ミヤギ、忍者トットリ、博多どん太、祇園仮面アラシヤマ、津軽ジョッカー、ドクター高松……など、ご当地の地名に由来する名前がつけられているのだ。

  しかも、それぞれのキャラクターが濃厚な方言を使うのも印象的である。ちなみに、柴田は方言を知り合いに聞いて調べていたらしい。また、東北ミヤギはあっけなくシンタローに倒されて「植物」にされてしまったのだが、時間が絶つと「萩の月」が実るという設定まである。萩の月といえばご存知、仙台を代表する銘菓だ。

  また、パプワくんが躍るシットロト踊りも、高知市室戸市で豊漁祈願のために行われる伝統芸能である。絶海の孤島であるパプワ島になぜ日本の伝統芸能が伝わったのか、というかパプワくんが持って踊る扇子が日本の国旗なのはいったいなぜなのか……と突っ込みたくなる要素は満載なのだが、気にしたらダメだろう。

  こういった小ネタが随所に見られることから、柴田の地方への造詣の深さが感じられる。そして、細かい演出のインパクトが強すぎるのも「パプワくん」の魅力だ。ご当地ネタを使う漫画はそれまでにもあったが、1990年代に少年誌で、これでもかというくらい使いまくった作品は珍しいといえるだろう。

  柴田が生み出す濃すぎるギャグを当時の子どもたちは楽しみ、アニメを毎週待ちわびていた。「パプワくん」は、少年漫画に勢いがあった1990年代を象徴する名作といえる。

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