第3回フリーランスと正社員、格差なくすには? 酒井正・法政大教授の答え

有料記事日本の選択 「黄金の3年」を問う

聞き手・久永隆一
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 参院選に勝利した岸田政権は、衆院を解散しない限り、3年は国政通常選挙がない期間を迎えた。歴代政権が先送りしてきたものを含め、山積する政策課題にどう取り組むべきか。雇用をはじめとした社会保障の分野に詳しい酒井正・法政大教授に聞いた。

正当性はある?

 新型コロナウイルスは、私たちにとって想定外だった。ただ、「第7波」と言われる感染拡大の収束が見えてきたら、「出口戦略」を考えたほうが良い時期なのではないか。

 コロナの初期対応では、感染拡大で仕事が減り、解雇される人が増えるかもしれないと考え、雇用保険制度の中にある雇用調整助成金でしのぐことを選んだ。

 雇用保険は、労働者と事業主が保険料を払っている。事業主の保険料の一部は雇用調整助成金の財源となり、解雇などをせず労働者に休業手当などを払った事業主への助成に充てられている。コロナ対応のため、いまは特別に本来よりも助成率を引き上げ、最大100%としている。

 この雇用調整助成金が5・9兆円を超えた(15日現在)。しかし、パンデミックが起きた当初と比べ、経済活動が大きく停滞しているとは言えない。雇用保険のお金が枯渇するほどの状況になっていて、このまま特例措置を続ける正当性があるのか疑問だ。

 私たちの社会はあらかじめリスクを想定して対処する仕組みをつくっている。専門用語で社会保険と呼ばれるセーフティーネットだ。公的な医療保険介護保険、年金そして雇用保険もその一つだ。

 今回は感染症だったが、未知のリスクが起きた時、前もって用意している社会保険の仕組みで特別に対応するのがいいのか。それとも別途、税金を投入して対応するのがいいのか。

 どちらにしても、どういう状況になった場合、出口へ向かうのかというルールを前もって決めておくことも必要だ。

新しい「非正規」

 一方で、コロナは非正規雇用をめぐってセーフティーネットにある切れ目をあらわにした。

 コロナで見えたのは、相変わ…

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