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ドラマ『GTO』が今も神話的に語り継がれるワケ。ビッグカップルの誕生に、豪華すぎる生徒役

 その人の名は、鬼塚英吉。元暴走族の頭にして、三流大学出身の高校教師だ。 GTO 通称、GTO。反町隆史扮する“グレート・ティーチャー鬼塚”が奮闘するドラマ『GTO』(関西テレビ・1998年)は、平均視聴率28.5%、最終話視聴率は驚異の35.7%を記録した。  そんな大ヒット作品のBlu-ray BOXが2023年7月26日にポニーキャニオンから発売された。「イケメンと映画」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、本作の“グレート・アクター”反町隆史の魅力を改めて解説する。

『ビーチボーイズ』と同じ王道パターン

ドラマ『ビーチボーイズ』

ドラマ『ビーチボーイズ』

 冒頭場面から反町隆史の回し蹴りがいかなりキマる! どんな状況でも暴力は肯定されるべきものではないが、武蔵野聖林学苑の教員採用面接に落ちた鬼塚英吉(反町隆史)が、人をクズ呼ばわりする教頭・内山田ひろし(中尾彬)の首に一発お見舞いする荒技の衝撃は、やっぱりすごい。 「うわぁ、反町キマった~」と喜んで見ていると、そのままオープニングタイトルで主題歌「POISON」が流れる。この王道パターン、反町が竹野内豊とW主演した『ビーチボーイズ』(フジテレビ系、1997年)で「FOREVER」が流れる瞬間と同じではないか。  今回ポニーキャニオンからBlu-ray BOXが同時発売され、立て続けに見た反町主演作品に筆者はうなった。鬼塚ブームを巻き起こした本作の主人公に感じるこのカッコよさとは、いったい、なんだろう。

熱狂的に支持された時代背景

「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ POISON 俺は俺をだますことなく生きてゆく」  反町作詞による主題歌サビのフレーズだ。言葉の意味を噛み締めるように歌う力強い歌唱がストレートに響く。回し蹴りの荒技がこうして歌唱にもダイレクトにあらわれるのだ。  この歌詞と鬼塚のキャラクター性が当時の若者に熱狂的に支持された。背景には、バブル崩壊後の時代性がある。本作が放送された1998年は、1000年に一度の世紀末の混迷。次の時代を迎えられるかわからない不安を世界中の人々が抱く中、鬼塚のような強く真っ直ぐなヒーロー像が求められた。  優れたテレビドラマ作品は、その時代をリアルタイムで写し取るものだが、さすがは遊川和彦による脚本のセンスを感じる。こうした時代感覚が、鬼塚のキャラクター性をこれでもかと引き立て、本作を唯一無二の学園ドラマに仕上げている。
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世紀が変わる希望のような結婚
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