大学受験に落ちたらどうする?全落ちした場合は?対処法と注意点をスタサプ講師に聞いた!

大学受験で第一志望に落ちた、あるいは全落ちした…残念ながら望まぬ結果が出てしまったとき、とれる選択肢は1つじゃない!
 
現役で進学する道を探る、浪人して実力を伸ばすなど、考えられる選択肢を実際に経験した先輩104人へのアンケート結果とともに紹介するよ。
 
そして、それぞれの選択肢をとるときの注意点を、スタディサプリ講師で、多数の受験生の進路相談にも乗ってきた神﨑史彦先生にうかがった。
 
あきらめずに今からできることを探すヒントにしてほしい!
今回教えてくれたのは
神﨑史彦先生​
神﨑史彦先生

株式会社カンザキメソッド代表取締役。
スタディサプリ講師。私立学校研究家。高大接続・教育コンサルタント。
大学卒業後、大学受験予備校において小論文講師として活動する一方、通信教育会社や教科書会社にて小論文・志望理由書・自己アピール文の模擬試験作成および評価基準策定を担当。
のべ6万人以上の受験生と向き合うなかで得た経験や知見をもとに、小論文、志望理由・自己アピール・面接の指導法の「カンザキメソッド」を開発する。
現在までに刊行した参考書は26冊(改訂版含む)、販売部数はのべ25万冊、指導した学生は10万人以上にのぼる。

大学受験で落ちたときの選択肢は?

大学受験で落ちたときの選択肢は以下のものが考えられる。
1. 合格安全校など合格できた大学に行く

2. 「後期日程」「3月入試」で現役合格を目指す

3. 専門学校進学を目指す

4. 浪人する

5. 就職先を探す

ただし、第一志望に落ちてしまっただけでなく全落ちしてしまったという場合は、1の選択肢はなく2~5の中から考えなければならない。
 
いずれにしても、結果が出た直後は精神的に大きなダメージが大きく、どうしたらいいかわからないと途方にくれてしまう人もいるかもしれない。
 
しかし、落ち着いてよく考えれば道は必ず開ける。
 
この記事で紹介する選択肢の中から自分にあったもの見つけて、納得できる進路選択をしていこう。

第一志望に落ちてしまったらどうする?

1. 合格安全校など合格できた大学に行く

第一志望校以外にも、複数の大学を受験している人も多いだろう。
 
その中で合格している大学があれば、進学を検討してみてはどうだろうか。
 
第一志望ではないことに葛藤を感じるかもしれないが、その大学の学部や学科に興味を持っているのなら、目の前にひらけた道に進んでみるのもひとつの手だ。
 
とはいえ、第一志望に大きなこだわりがある場合には、気持ちの切り替えが難しい場合もあるので注意しよう。

2. 「後期日程」「3月入試」で現役合格を目指す

私立大学の中には、「3月頭〜上旬出願締切、3月上旬〜中旬入試実施」、「3月中旬出願締切、3月下旬入試実施」といったスケジュールで入試日程を設けている大学がある。
 
「後期日程」「3月入試」などと呼ばれているが、これらの入試日程から間に合うものを探して出願する方法だ。

全落ちしてしまったらどうする?

大学に全落ちするとは 

そもそも「大学に全落ちする」とは、志望校の入試すべてに落ち、合格可能性が高いと踏んでいた大学も不合格という結果になってしまった状態のことを指す。
 
今まで頑張ってきたことを思えば、気落ちしてしまうのも当然と言えるかもしれない。
 
まずは、先生や保護者など周囲のサポートを受けながら、少しずつ気持ちを立て直していこう。

大学に全落ちする人の割合は?

大学に全落ちした人の割合は、正式な発表がなく正確にはわからないのが実情。
 
参考までに、文部科学省「学校基本調査」によると、大学合格者のうち浪人生の割合は全国平均で22%となっていた。
 
大学生のうち5人に1人が浪人を経験したという計算だ。
 
そのなかで、全落ちだった人がいるかどうかは不明だが、不本意な結果になりながらも再スタートを切り、合格を手にした先輩たちがいることは事実のようだ。
 
参考:平成30年文部科学省学校基本調査

先輩に聞いた!大学に全落ちしたときの選択肢

現役時に全落ちを経験した先輩たちはどんな選択肢を取ったのか、104人に実際に選んだ進路を聞いてみた。

6割が「浪人」を、2割が「専門学校進学」を選択

大学受験で全落ちした時どうする?先輩たちが次にとった行動とは?
先輩が選んだ進路で最も多かったのは「浪人」で61%。一方、「専門学校」(20%)、「大学・短大進学」(9%)など、現役進学の道を探って実現した先輩も約3割いた。

また、「就職」した先輩は6%だった。

現役進学の道を探る、浪人する…それぞれの選択肢の注意点は?

先輩へのアンケート結果からわかるように、「その時点から受けられる大学・専門学校を探して現役合格を目指す」「浪人する」「就職する」など、とれる選択肢はいくつかある。

そして、それぞれの選択肢の注意点をスタディサプリ講師で、多くの受験生を指導した経験を持つ神﨑先生に教えてもらった。

「どうするかを考えるにあたって、まずは受験を闘い抜いた自分をほめてあげよう」と話す神﨑先生。

そのうえで、それぞれの選択肢を検討するうえでの注意点などのアドバイスをもらった。

1.「後期日程」「3月入試」で現役合格を目指す

大学受験で全落ちした時どうする?先輩たちが次にとった行動とは?

※「後期日程」「3月入試」を探して現役合格を目指す

先に述べたように、「後期日程」「3月入試」の大学を探して受験するという選択肢がある。
 
もし興味のある大学の試験の実施日程が残っていれば、受けてみるのもよい。

先輩の中にも、「後期試験で合格したのでその大学に進学した」(福井県・女性)、「通信制の大学に行った」(兵庫県・女性)など、現役での進学を模索し、結果を出した人がいた。
【from 神﨑先生】
出願締切まで時間がないこと、また、3月入試を実施している大学・学部は限られることから、学部・学科を選んでいる場合ではなく、受けられるところを受けるしかないくらいに選択肢は限られます。

現役で大学に進学したいならすぐにその時から受けられる大学を探して出願しましょう。

また、通信制大学(通信教育課程)のなかにも3月まで募集している大学があるので、調べてみましょう。
スタディサプリ進路

 

2.専門学校進学を目指す(3月受験で現役合格を目指す)

大学受験で全落ちした時どうする?先輩たちが次にとった行動とは?

※取りたい資格が専門学校でとれるなら選択肢にいれるのもあり!


私立大学同様、専門学校の中にも3月以降も出願可能な学校がある。

先輩の中にも、「専門学校を6校受けて、その中で一番行きたかったところが受かったので、その専門学校に行った」(北海道・女性)、「公務員専門学校を受験し、受かったのでそのまま入学した」(宮城県・女性)という人がいた。

取りたい資格が大学・専門学校どちらで学んでも取れる場合や、大学進学にこだわらずに進学先を探してもいいと思える場合などは、出願可能な学校を探してみよう。
【from 神﨑先生】
看護、デザイン、建築など、目指していた学部・学科と同じ系統の学科が専門学校にもある場合などにおすすめの選択肢です。

とくに、取りたい資格が専門学校でも取れるなら、大学に進学する場合と目指すゴールは同じでルートが異なるだけなので、選択肢として検討できると思います。専門学校や学科によっては、卒業後、大学の学部や大学院に編入する道が開かれているところもあります(大学院への編入は、文部科学省が認めた専門学校・学科の卒業生のみ可)。

ただし、大学同様、3月以降に出願できる学校は限られているので、選択の余地はない可能性が高いです。また、学校によって十分な教育が行われているかどうかに差があるので、教育内容や就職実績などは必ず確認しましょう。文部科学大臣によって「職業実践専門課程」に認定されている課程・学科は、最新の実務の知識・技術・技能を身につけられる実践的な職業教育に取り組んでいるとされています。

その認定の有無も一つの目安になるでしょう。高校の進路指導の先生に相談するなどして情報収集しましょう。
スタディサプリ進路

 

3.浪人する

大学受験で全落ちした時どうする?先輩たちが次にとった行動とは?

※浪人する人は高校の学習範囲の基本的な事項は終わらせておこう!

「1年予備校に通い、現役時落ちた第一志望の大学に合格し、進学した」(京都府・男性)、「2年間浪人して志望校に進学」(神奈川県・女性)など、選択した人が最も多かったのがこの選択肢だ。

「第一志望に再挑戦したい」「もっと実力をつけて本当に行きたい大学の合格を目指したい」など、再挑戦したい気持ちがあり、その選択ができる環境にあるなら、選択肢の一つだ。
【from 神﨑先生】
目指していた大学をあきらめられない人や、受験校との実力差がありすぎて手が届かなかった人、学部・学科に大きなこだわりがある人などは、浪人して1年間実力をつけて改めて挑戦してほしいと思います。

その際、4月から良いスタートを切るために、3月中ないし予備校が始まるまでに、高校の学習範囲の基本的な事項は終わらせておきましょう。基礎事項は、予備校のカリキュラムで学ぶための前提知識となります。

1年間の受験勉強を軌道に乗せるために必ず基礎固めをしておきましょう。

4.就職先を探す

就職も選択肢の一つにはなるが、高3生を対象とした正社員採用は終了している企業がほとんどのため、正社員としての就職はかなり険しい道だ。派遣社員やアルバイトなど、正社員以外の雇用形態も視野に入れて検討する必要があるだろう。

先輩の中にも「大学進学はあきらめ、派遣社員として働いた」(埼玉県・女性)という人がいた。
【from 神﨑先生】
正規雇用の道がほぼない、非正規雇用で就職した場合その先どうするかという問題が出てくる、など、就職はその先も含めて慎重に検討してほしいところです。

やむなく職を探す場合、可能なら何かしら技術を得られるような仕事を見つけてほしいと思います。職業能力開発校を受験し技術を身につけてから就職の道を探るのも選択肢の一つとして考えてもいいかもしれません。

3月入試で現役進学を目指す人へ!巻き返すための勉強のポイント

大学受験で全落ちした時どうする?先輩たちが次にとった行動とは?

※過去問に徹底的に向き合うことが合格への近道⁉

最後に、3月入試に挑戦して現役合格を目指す人に向けて、神﨑先生から入試に向けた勉強のポイントを教えてもらった。

受験校の過去問を分析して、頻出事項を重点的に対策すべし!

【from 神﨑先生】
3月入試に向けた準備としてまずやるべきは、これまでの受験勉強の過程で基礎事項が抜け落ちていなかったか、例えば英語や国語なら、「英文法が体系的に頭に入っているか」「最低限の古文単語・文法、敬語を押さえられているか」「漢文の句法が押さえられているか」といったところを振り返り、できていなかったならそこを立て直しましょう。

ただし、立て直すときの基本は、これから受験する大学・学部の過去問に沿って行うことです。

過去問を見て頻出分野を把握し、その分野や必要事項を徹底的に勉強するのです。

今の時点で「幅広い分野に対応するべく汎用性の高い問題集に取り組む」といった戦略は誤りです。

過去問を踏まえて、重点的に対策する分野・事項を見極めましょう。
どの道を選ぶにしても、自分自身が納得して選ぶことが、次の挑戦に前向きに臨むことにつながるはず。

相談できる人がいる場合は相談しながら、納得のいく答えを出してほしい。


文/浅田夕香 寺崎彩乃(2023年2月一部加筆)監修/神﨑史彦 構成/黒川安弥
※本調査は2021年7月、全国の20代の男女104名を対象にアンケートを実施
※2021年8月時点の情報になります。

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