永遠のファッショニスタ、アイリス・アプフェルが102歳でこの世を去る 「伝説よ!」「アイコンの中のアイコン」と賛辞あふれる(1/2 ページ)

生涯現役を貫いたアイコン。

» 2024年03月04日 18時37分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 ファッション界のスタイル・アイコンであり実業家のアイリス・アプフェルが現地時間3月1日、102歳で亡くなりました。本人のInstagramで公表され、アイリスの財産管理者も米The New York Times紙でアイリスが米フロリダ州パームビーチにある自宅で息を引き取ったことを認めました。

アイリス・アプフェルが102歳で逝去 自宅で亡くなったアイリス・アプフェル(画像はアイリス・アプフェルのInstagramから)

個性的な装いで愛されたファッションアイコン

 2011年、米The New York Times紙へ「他の人と同じような装いをしなければ、他の人と同じように考えなくてもよい」と語ったアイリス。自身の言葉通り、大きな眼鏡フレームと盛りに盛った大振りのアクセサリー、蚤の市で発見した数々の小物、カラフルで騒々しく時に下品ともいわれるようなアイテムとオートクチュールとのミックスは、誰かに批評させる隙をも与えないまさに彼女だけのスタイルでした。

 ニューヨーク大学でアート史を学んだのちウィスコンシン大学のアートスクールに通ったアイリスは、Women's Wear Daily紙でコピーライターとしてキャリアをスタート。1948年に結婚した夫カールと1950年にテキスタイル会社「Old World Weavers」を設立し、ヴィンテージの織物の販売・修繕・複製の買い付けなどで成功を収めました。会社を売却し、1992年に引退したのちもコンサルタントを務め、その自由で制限のないスタイルは年を経るごとにファッション界や社交界で存在感を増していきました。

 アイリスの名を一躍有名にした出来事は2005年、メトロポリタン美術館が企画していた展覧会が中止になり、代わりに開催された彼女のアクセサリーやワードローブのコレクションを展示する「Rara Avis: Selections From the Iris Apfel Collection」。「メットでショーをするためには死んでいなければいけないと思っていた」とアイリス自身がコメントしたように、同美術館で存命の人物に関する展覧会が企画されるのは非常にまれで、ましてや個人のコレクションを展示するのは初めての試みでした。

 この展覧会にはカール・ラガーフェルド、ジョルジオ・アルマーニなど、ファッション界のカリスマが訪れ、写真家のビル・カニンガムも米The New York Times紙での連載「ON THE STREET」で話題にし、世界中で絶賛、大成功を収めました。

 アイリスはその大きなエネルギーで生涯仕事へ全力投球し、2018年には96歳で史上最高齢のバービー人形になり、翌年は世界的エージェンシーIMGとモデル契約を結びました。2022年にはアパレルメーカー「H&M」とコラボレーション。英美容ブランド「シアテロンドン」とメイクコレクションも発表しました。

死去前日にハーフバースデーを祝った矢先に

アイリス・アプフェルが102歳で逝去 前日には「102歳と半年」バースデーを祝っていたばかり(画像はアイリス・アプフェルのInstagramから)

 2014年、アルバート・メイスルズが制作したアイリスのドキュメンタリー映画「Iris(原題)」が公開され話題に(日本では「アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー」の邦題で2016年公開)。作中、アイリスがデパートチェイン「ローマンズ」の創業者フリーダ・ローマンから「お嬢さん、あなたのことを見てましたよ。あなたは美人じゃないしこれからも美人にはならないでしょう。でもそんなことはどうでもいい。あなたにはもっといいものがある。あなたにはスタイルがある」とアイリスの力の源を言い当てるような言葉を掛けられたことも回想しています。

 2015年には68年連れ添った夫カールが、101歳の誕生日数日前に死去。8月29日生まれの彼女は亡くなる前日、2月29日にInstagramへ「102歳と半年」を祝うハーフバースデー投稿をしていた矢先の急逝でした。

 コメント欄には、「彼女は前日にこれを投稿して、そして翌日にいなくなった! ワオ! あなたはいつまでも私のスタイル・アイコンです。ファッションとスタイルをありがとう。伝説よ!」「あなたの最後の投稿が、人生への賛辞であり生きてきた時間への祝福だったらって、想像してみて。彼女はスタイルとともに生き、スタイルとともに去った。どうかスタイリッシュにお眠りください。アイコンの中のアイコン、ここにいてくれたこと、ありがとう」など鮮やかな彼女の生涯を讃える声が多数寄せられています。

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