「アートがアートたり得る価値」って何だっけ? 美大コメディーマンガ『ミモザイズム』が現代美術の見方に視点を与えてくれそうな予感(1/2 ページ)
あなたは美術館の床にメガネが落ちていたらアート作品と捉えますか?
カリスマ性だけは持っている天才(?)アーティストと新人キュレーターの現代アートキャンパスコメディーマンガ『ミモザイズム』。『きみのご冥福なんていのらない』『龍神かごめちゃん』の松尾あきさんが2023年5月から「サンデーうぇぶり」で連載中の同作はコミックス最新第2巻が1月に刊行されました。
本記事では、松尾あきさん(@mto_aki)へのインタビューと合わせて、マンガ本編を掲載します。
『ミモザイズム』作品紹介
同作は、キュレーター志望の美大生・福沢栄一と、世界的天才芸術家の一人娘・花屋敷みもざを中心とした現代アートキャンパスコメディー。
世界的天才芸術家を父に持ち、自らを「天命に抗(あらが)えぬ大天才」と自称するみもざですが、その絵はすさまじく下手。中にはみもざのデッサンを「めっちゃ下手」「表現力がなさすぎ」と指摘する教授もいるものの、「天才とは〜」構文を多用するみもざの言動は常に自信に満ちあふれ、親の威光も加わって、周囲はみもざを「天才的」「カリスマ」と持ち上げていきます。
そんなみもざを、人を引きつける魅力はあるが“偽物の芸術家”と見立てる福沢。作品の社会的意義や個人的意義ではなく、金銭的な価値がなければ無意味だと考える性格の福沢は、金目当てでみもざに個展を開かないかと持ちかけますが――。
現代アートを題材にキャンパスストーリーをコメディータッチで描いた同作は、「アートがアートたり得る価値」を掘り下げようとしています。
物語の冒頭では、ある少年が行った社会実験が描かれます。それは、「美術館の床にメガネを放置するとどうかるか」というもの。放置してしばらくすると、芸術作品だと勘違いした人々が足を止めて鑑賞し始めたといいます。このエピソードはサンフランシスコ近代美術館で実際にあった話で、「アートがアートたり得る価値とはどこにあるのだろうか」という疑問を投げかけつつ、物語は幕を開けます。
はた目には「めっちゃ下手」なみもざの絵が、「天才的」「カリスマ」と持ち上げられる様は、ただのメガネが芸術作品として見られた前述の社会実験と重なる部分があります。そうしたテーマがどのように描かれていくかは、芸術に疎いと感じる方でも見応えのある内容です。
『ミモザイズム』作者・松尾あきさんインタビュー
――― 現代アートをテーマにした『ミモザイズム』制作のきっかけはどういったものだったのでしょうか? ヒントになったアイデアなどはありますか?
学生時代に授業で作ったゴミみたいな作品を褒められたことがきっかけです。教授がその作品を見てどう感じたかをつらつらと語り始めて、「あんた次第すぎないか?」と思っていました。
あと作家さんに取材に行って「作家がステップアップしていくプロセスとしてどういったことが必要か」と尋ねたときに「SNSでバズるか、有名な作家やキュレーターが良い評価をする」とおっしゃっていたのも作品の種になりました。
――― コメディーというジャンルを採用することになった理由は?
取材を経て割とちゃんとしたストーリーものでいこうとなったのですが、当初自分が感じていた面白さから少しずれてしまったこと、あとはみもざのキャラクターが先に出来てしまったことでコメディーじゃないと成立しなくなってしまいました。
――― 作品への思い入れや、ご自身の中で気に入っているポイントを教えてください
ヒロインのみもざが気に入っています。好きだと言ってくださる読者もいれば、しっかり嫌われてもいるところが好きです。どうしようもない人間だからこそ愛嬌(あいきょう)があるなと個人的には思っています。
――― 対照的な「みもざ」と「福沢」のアートの捉え方。ご自身の中では、どちらが自分に近いと思っていますか?
完全にみもざです。だから自分はダメなんだという気持ちと、そうでなければやる意味がないという気持ちの間でゲロ吐きそうです。
――― うれしかった読者からの反応・感想などありましたら、お教えいただけますと幸いです
面白いと言っていただけるとうれしいです。そう言われたくて漫画を描いているところもあります。
――― 読者へのメッセージをお願いします
今後もおもしろ漫画が描けるよう精進して参りますので、何卒宜しく御願い致します。
制作協力:松尾あきさん(@mto_aki)
関連記事
- 事故死した御曹司がたどり着いた“最後の晩餐”を振る舞うお店 異色のグルメマンガ『冥天レストラン』が笑えて泣けておいしそうな大盛りストーリー
グルメ×ファンタジー×ヒューマンドラマな、コメディータッチのマンガ。 - 【マンガ】斬った人間の記憶が見える少年、“自分の師匠”を処刑して見た光景とは…… 『竜送りのイサギ』が和風ファンタジーな世界観の良作
「サンデーうぇぶり」で好評を博す和風ファンタジー。 - 過労死したOLが神に願った力とは…… “人間以外の生物に好かれる能力を持つ女の子”の異世界転生マンガが癒やされるかわいさ
もふもふ。 - 弱音を吐けない限界OLが泣いた“女子大生の一言” ダメなところを認めてもらえるうれしさを描いたマンガに「癒やされた」「人間の面白さが詰まってる」
分かる……。 - 誰からも愛されない“できない自分”の物語 マンガ『だめっ子みーちゃん』に「胸がギュッと締め付けられた」「考えさせられる」とネット上で反響
読むと心に突き刺さる読み切りマンガ。 - 事故死した息子夫婦のカフェを「オラたちでやるべな」 老夫婦の第二の人生を描いたマンガに「号泣」「親の声を聞きたくなった」と感動の嵐
2010年、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品になった『かへ』。 - “遊女の子どもの霊”を母のもとに連れて行くと…… 遊廓を舞台にさまざまな人間模様を描くマンガ『あおのたつき』が泣ける
浮世と冥土のはざまにある「鎮守の社」に迷い込んだ遊女を主人公とするストーリー。 - 絶滅危惧種になった人間の少女の結婚に、幼馴染のキメラ族は…… SNSで名作と話題のファンタジー漫画『リストルージュ』が切ない
「いろいろな人に読んでほしい!」「世界観も絵も表現も全て好き」の声。 - 最後の1ページでまさかのどんでん返し 異世界転生モノの流行を逆手に取ったマンガ『最強勇者パーティーは愛が知りたい』に「そうきたかァ〜」「最高の流れ」の声
一度読んでみてほしい話題作。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
-
犬「で、オレが産まれたってわけ」 220万再生突破の爆笑ワンコに「ちっ、2回目の転生は犬かよ」「これでウインクとかされたら笑い死ぬww」
-
“無給餌”で育てたメダカが3年後、驚きの姿に……!! 人の手が入っていないビオトープで起こったミラクルに注目が集まる
-
北海道が広島……? 地名がちぐはぐすぎる「ちょっと変な日本地図」に隠された“秘密”に「おもしろい!」「よくぞ調べた」の声
-
「その顔やめんかいw」 大谷翔平、子どものような“変顔”を披露 「撮られてしまったね」
-
「最高すぎる」 業務スーパーで見つけた“あの麺の1キロ分”が話題 「業務用なんてあったのか」
-
「ドミノ・ピザ」山形県内から突如全店撤退、何が起きたのか 運営「優先順位の高いエリアでの今後の成長を見据えて」
-
「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
-
【今日の計算】「52+4×12」を計算せよ
-
釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
-
「これ本当に日本?」 言われなければ分からない福島の名所「浄土平」の絶景が「まるでアリゾナ」
- 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
- 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
- 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
- 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
- どういう意味……? 高橋一生&飯豊まりえの結婚発表文、“まさかのタイトル”に「ジワる」「笑ってしまう」
- サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」
- “世界一美しいザリガニ”を入手→開封して見ると…… 絶句を避けられない姿と異変に「びっくり」「草間彌生作のザリガニみたい」
- 「誰かと思った」 楽天・田中将大の“激変した風貌”にファン驚き…… 「一瞬わからなかった」
- 複数逮捕&服役の小向美奈子、“クスリ”に手を出した理由が壮絶すぎ……交際相手の暴力で逃亡も命の危機 「バレてバルコニー伝って入られて」
- 耐火金庫に“溶岩”を垂らしてみたら…… “衝撃の結果”に実験者も思わず「なんだって!!!」と驚愕【海外】
- 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
- 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
- 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評