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「中国の恥を海外にさらすな」との声も…“中国国籍を捨てた男”の人生<漫画>

月刊誌『本当にあった愉快な話』(竹書房)で連載中の『国籍を捨てた男が語る 中国のヤバすぎる話』が単行本化。『国籍を捨てた男が語る 中国の怖い話』として4月に発売された。 漫画家・孫向文氏が偽装食品、手抜き住宅、臓器販売などのトンデモ事件の数々を通じて、現代の中国社会の実態を紹介する本作。2013年の『中国のヤバい正体』に続き、シリーズ2冊目となる本書には、全19エピソードが収録されている。“国籍を捨てた男”として作中にも登場する作者の孫氏に、その生い立ちや日本に帰化した経緯などを聞いた。
孫向文氏

孫向文氏

出身地は「京都みたいな感じ」

——孫さんは中国のどちらの出身なんですか。 孫向文(以下、孫):浙江省の杭州市です。文化が豊かな古都で、日本の京都みたいな感じですね。文化大革命でいろいろ壊されちゃったけど、まだ歴史的な建物も少しは残っています(苦笑)。 地理的には首都・北京と南の深圳や上海、香港といった都市の間に位置し、北京とも物理的な距離があるので、言論統制なども比較的緩い雰囲気でした。 海外のメディアや文化に接触してきた杭州市民は、民主主義的な考え方を持っている人もわりと多いです。歴史的にも蒋介石など中国国民党の革命家は浙江省出身者が多く、民主活動家のアジトも多く存在していたような地域です。

親日的な雰囲気で育った子供時代

——孫さんは子供の頃から日本の漫画やアニメに触れていたそうですね。 孫:1972年の日中国交正常化以来、日本アニメがたくさん中国に入ってきて、1983年生まれの僕が子供の頃は普通にテレビで中国語の吹き替え版アニメが放送されていました。日本の娯楽作品には親しみを感じていましたし、僕自身は親日的な雰囲気で育ったと思います。 ——最近も『THE FIRST SLAM DUNK』や『すずめの戸締まり』といった日本のアニメ映画の興行が 中国でも好調と伝え聞きますが、当時はどんな作品が人気だったんでしょうか。 孫:やはり『アラレちゃん』や『ドラゴンボール』といった鳥山明先生の作品が人気でしたね。『一休さん』のアニメもよく覚えているし、アニメ『トランスフォーマー』にもめちゃくちゃハマっていました。『トランスフォーマー』は最後のクレジットが全部アルファベットだったので、当時の中国人はみんなアメリカのアニメと勘違いしていましたけど。
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中国国籍への未練は「全然なかった」
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