「社保」や「税金」の滞納に起因する倒産が増加傾向 24年1月以降、過去最悪を更新中

» 2024年05月02日 05時00分 公開

 社会保険料や各種税金を滞納し、自社資産の差し押さえを受けたことで発生する「公租公課滞納倒産」が急増している。帝国データバンクによると、2023年度は138件が発生し、2022年度比で1.4倍となった。月次ベースでは、2024年1月の14件以降、2月が16件、3月は20件と、過去最多を更新し続けている状況だ。

photo 公租公課滞納倒産が増えている(提供:写真AC)

 公租公課のうち、企業にとって特に負担の重い社会保険料は、コロナ禍で最長3年にわたって特例的に納付猶予措置が設けられた。その後、企業活動が正常化する中で特例措置は縮小傾向にある。業績不振で社会保険料や消費税の支払いに窮した企業や、猶予期間中に業績を立て直せなかった企業の倒産増加が目立っている。

photo 「公租公課滞納」倒産の推移(出所:プレスリリース、以下同)

 公租公課滞納倒産は、2020〜23年度の4年間で334件が発生。そのうち2023年度は138件で全体の41.3%を占めた。334件を業種別に見ると、最も多いのは「サービス業」(86件)。「運輸・通信業」(64件)、「建設業」(55件)、「製造業」(48件)が続いた。

photo 「公租公課滞納」倒産 業種別件数

 日本年金機構によると、厚生年金保険を含む社会保険料を滞納している事業所は、2022年度末時点で14万超に上る。帝国データバンクは、コロナ禍での特例措置や支援策の縮小、物価高なども重なり、社保や税金滞納分の支払い見込みが立たず、事業継続を断念するケースは今後さらに増えると予想している。

photo 社会保険料の滞納事業社数の推移
photo 公租公課の滞納が主な原因となった倒産

 3月31日までの期間で、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象に調査した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.