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“馬鹿ブス貧乏”は必読!? 低スペ女子に「愛を込めて書いた」という自己啓発本が優しすぎる

タイトル通り「愛がこもっている」本だ

タイトル通り「愛がこもっている」本だ

『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛を込めて描いたので読んでください。』(KKベストセラーズ)は、低スペック女子への自己啓発本だ。このタイトル、私のことかとギクッとした人もいるだろう。他ならぬ筆者もその一人。著者のいう「馬鹿ブス貧乏」とは、独身、既婚、子どものあるなしを問わず、

「賃金労働をしなければ食べていけない」
「顔やスタイルで食っていけない」
「一を聞いて一を知るのが精一杯」
「ちょっと努力しなければ、すぐにゴミになる」

という、実はどこにでもいる平々凡々な一般女性たちのこと。私のことじゃないわ、と思った人は、読まなくていいです。(文:篠原みつき)

「青春期の女がブスのままでいることは非常に危険なことだ」

著者の藤森かよこ氏は1953年生まれ、2019年時点で66歳。アメリカ文学研究者でアイン・ランド作『水源』『利己主義という気概』などを翻訳刊行している。いわく、非正規雇用で4年間、正規雇用で31年間、大学で英語教師をしていたが、心身の不調により定年を目前に退職した。

その藤森氏が、自身を「ブスで馬鹿で貧乏、低スペックの成れの果て」と称し、低スペ女子たちの生き方の指針を語っている。本書の構成は、藤森氏の人生を振り返りつつ、青春期(37歳まで)、中年期、老年期ごとの困難や「やるべきこと」が示されている。

ことあるごとに「あなたはブスで馬鹿で貧乏だから」という言葉が出てくるので、そのたびにビシッと横っツラをはたかれた気分になる。しかし、その後必ず実のある助言や心の持ちようを説き、落としたままで終わらせないのがすごい。忖度なし、かつライトなエッセイ口調で書かれているため、楽しく読みやすい本になっている。

まず私が慰められたのは、「あなたは馬鹿なので、(中略)他人が30分かけてできることを、2時間もかかるかもしれない。それでもできればいい」という一文。まさに私のことである。仕事について「稼げる仕事に就ける勉強をしろ」と説く著者だが、わかっていてもできていないのが馬鹿ブス貧乏なのだ。

もちろん努力するに越したことはないが、できない人はできる範囲で「しのごの言わずに賃金労働をすべし」としている。一人一人のまっとうな営みを尊重してくれているように思う。

とはいえ、安易な慰めがないのも本書の特徴だ。なにしろ「本格的なブスで馬鹿で貧乏な女性」には、美容整形手術を薦めている。ブスの親は製造責任として美容整形手術代を負担するべきだとまで言う。

「青春期の女がブスのままでいることは非常に危険なことだ。就職できないかもしれない。(中略)ゆめゆめ、『人間は外見ではなく中身だ』と言う無責任で愛情のない人間を信用しないように」

と釘を刺し、「青春期こそ自分の容貌の改良に努力すること」と薦めている。それでも、どうしてもできない場合は、自分の「”コスモを上げる”しかない」と、ファンシーなことをおっしゃる。男性に生活費を稼いでもらうことや専業主婦であることも肯定し、低スペック人間のレベルはお見通し。必ずどこかに逃げ道を作っているのは、著者の優しさではないだろうか。

この世はブスで貧乏な女を誰も助けない だからこそ”無知ではいけない”

青春期では、ブスで馬鹿な女は男性が与しやすいという理由で「性犯罪にあいやすい」ので、「とりあえず男を見たら『性犯罪者』と想定すべきだ」と警告する。もし強姦された場合、すぐにやるべきことや精神的な傷の深さを綴りつつ、こう教え諭す。

「しかし強姦男に女性の尊厳がどうのこうのと言っても始まらない。理解もできない。亜人間に人間の言葉は通じない。また、ほかの業界と同じく、法曹界も男性中心だから、女性の状況への想像力はない。法律は、あなたの味方をしてくれない」

これは単なる諦めや皮肉ではないと思う。フェミニストである著者は、こうした理不尽な世の中のしくみを、いたるところに挟み込んで教えてくれている。女性たちに対して「現実を見ろ」と突きつけながら、この世のシステムを作っている側に対しても、間接的な批判を投げ続けているように見えた。

それは、著者が「読書習慣をつけろ」とたびたび薦めていることでもうかがえる。本書は「おすすめ本ブックガイド」の側面もあり、この世界の構造を客観的、多面的に見るための面白そうな本を100冊以上紹介している。

この世はボーッと馬鹿のまま生きているブスで貧乏な女を誰も助けてはくれない。自分の価値観で自分が納得できる人生を送るために、”馬鹿なのはしょうがないけど無知ではいけない”と、愛を持って教えてくれていると感じた。

タイトル通り「愛をこめて」書かれている本書、馬鹿ブス貧乏で生きるしかないと思い込んでいるすべての女性に、ぜひ手に取っていただきたい一冊である。

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