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「僕、殺人犯かクズの役が多いんです」39歳”道兼”俳優、SNSの声に対する素直な思い|NHK大河『光る君へ』

NHK『光る君へ』藤原道兼

大河ドラマ『光る君へ』(C)NHK(以下、同じ)

NHK大河ドラマ『光る君へ』が好調だ。 戦国時代や幕末ものに人気の偏る傾向のある大河ドラマで、平安時代を描くことに抱かれた当初の懸念はどこへやら。長編小説『源氏物語』を執筆した紫式部=まひろ(吉高由里子)を主人公に展開するストーリーに、視聴者は一喜一憂している。 その一翼を担うひとり、衝撃展開で初回から話題をさらった藤原道兼役の玉置玲央さんに話を聞くと、「クズ役は“お手の物”なんです」と告白。吉高演じるまひろと対峙した唯一のシーンについても語った。

クズ役に、脚本の大石静から「玉置くんにぴったりの役がある」と

NHK『光る君へ』藤原道兼 まひろと藤原道長(柄本佑)の叶わぬ恋に切なくなった次の瞬間、血なまぐさい権力闘争に慄いたりと、ゆったりした平安絵巻のイメージを裏切り続ける『光る君へ』。その衝撃は第1回「約束の月」から始まった。道長の兄・道兼が、まひろの母・ちやは(国仲涼子)を殺めるというラストで視聴者の度肝を抜いたのだ。 「僕、結構クズの役が多いんですよ。殺人犯かクズの役を結構やっていて」と玉置は笑う。  玉置といえば、昨年放送のNHKドラマ10『大奥』Season2「医療編」で演じた黒木役の好演が残る人も多いだろう。その印象とのあまりのギャップに驚かされたのではないだろうか。しかし玉置本人の言う通り、これまでに映画デビュー作にして高い評価を受けた『教誨師』の死刑囚のような殺人犯から、NHKのよるドラ『伝説のお母さん』での愛嬌あるクズ夫まで、実にバラエティ豊かにさまざまな“クズ役”を演じてきている。 「だから、言い方はあれですけど、“お手の物”なんです。脚本の大石(静)先生からも、“今回、玉置くんにぴったりの役がある”とお墨付きをいただいていた役なので、“よし、やるぞ!”という気持ちでした。それで蓋を開けて台本を見たんですが、これが“なかなかじゃないか”“これ、やるんか”と(苦笑)」と、正直、想像を上回るヒールっぷりに驚いたそう。  しかし初回の放送後、その衝撃の強さゆえにドラマ自体の注目度がさらに高まり、「道兼に引き込まれた」との高評価が飛び交った。 「“本当!?”ってすごく驚きました。自分で見てても、“うわ、こいつ怖っ”って思ったので。役のプレッシャーというより、2~3回続けて見ていただければいいけれど、初回のあのラストのせいで、“こういう話が続くようなら今回は見なくていいや”となってしまう人が出るのは嫌だなという意味でのプレッシャーがありました。僕は100人見られる環境の人がいるなら、100人全員に見てもらいたいと思うんです。なるべく妥協したくないし、そこに至れるなら、なんでもやろうと思う性質で。 あのラストで、第2回から100人の視聴者が99人になったら、減ったのがひとりだとしても嫌だと思ってしまうんですよね。ただあの出来事は物語の流れとして、まひろの運命としてものすごく大事ですし、共演者のみなさん、スタッフのみなさんがものすごく肯定してくれたので、僕としてはありがたかったです。あとは視聴者の方、それこそSNSの反応ですね」

SNSは得意じゃなかったけれど、やってみてよかった

放送を見ながらリアルタイムでX(旧Twitter)に投稿したり、放送後にXのスペースで感想を語ったりと、SNSをうまく活用している玉置だが、実は「本当はSNSってそんなに得意じゃないんです」と苦笑いする。 「嫌な面も見えちゃうし」と明かしつつ、それでも「利用してくださっている方たちとのリレーション次第では、ポジティブに捉えられるものなのかなと。やってみてよかったというか、いい試みをしたのかなと思えて嬉しかったです」と思いを口に。そして続けた。 「このドラマの表現していることに意図はあると思います。演出家の方、作家の方、俳優側と。ただ、受け取ってくださる視聴者の方の数だけ、正解というか、導き出された何かが存在するんだなと。分かっていたことでしたが、思っていた何倍も何十倍も何百倍もの反響、反応があるし、導き出されたものがある。 こんなにもみなさん、受け取ってくださっていて、なおかつそこに自分の意思や考えをきちんと乗っけてこちらに伝えてくれたりする。そこに頼り切ってはだめですけど、本当に今の時代だからやれる、コミュニケーションツールだなと学べたのは、目からうろこでした」
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「吉高由里子とだから撮れた」
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大河ドラマ『光る君へ』はNHK総合テレビ毎週20時ほかにて放送中
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