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“失踪した妻”がカルト宗教の信者に…。夫が教団に潜入した結果<漫画>

 愛娘を失い抜け殻のような日々を送っていたフリーライターの鴨目友司は、ある日勧誘に訪れた「心笑会」の信者から教団のチラシを手渡され、彼の運命が大きく動き出す。そこに、行方知れずとなっていた妻の姿を見つけた彼は、周囲の忠告も聞かず、居場所を探すために入信してしまう──。 “今最も危うい新連載”と銘打たれ、漫画雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)にて2021年11月から連載がスタートした『スマイリー』。誰もが関わろうとしない宗教団体「心笑会」の謎が明らかにされていくサスペンスな要素と共に、思わず目を伏せたくなる教団の凶行が次々と描かれるスリリングな展開が人気を集めている。  政治と宗教の問題が取り沙汰される中、この“危うい”本作は、どのような作者によって描かれ、なにを意図して創作されたのだろうか。そこで今回、これまでに経歴などがほとんど公表されていない作者である漫画家の服部未定さんに取材をお願いし、創作の背景についてお話を語ってもらった。
スマイリー

『スマイリー』(日本文芸社)

きっかけは“笑顔が気持ち悪い”という気付き

──本作を描くきっかけについて教えていただけますか? 服部未定さん(以下、服部):もともと、私自身が人の作り笑いが苦手だったんですよ。なんか気になって、あまりにも演じている人を見ると、ちょっと気持ち悪いなとか。それを、作品にできないかと思ったのがきっかけですね。 ──宗教をテーマに描きたいではなかったのですね? 服部:ぜんぜん、ですよ。もっと言えば、最初は“ゾンビ”漫画を描こうと思っていましたから。笑顔がちょっと怖いゾンビが襲ってくるみたいな。その中のひとつの要素として、宗教っぽいものがあったのですが、色々と考えていくうちに、宗教団体を軸に据えようっていう感じですかね。

違和感をどう表現するか

──ゾンビ漫画だったら、また雰囲気が違っていましたね。では、テーマを宗教にされた段階から、色々と資料を調べたり、取材をしたりという作業がはじまっていくのですか? 服部:というよりも、さきほどお伝えしたような違和感をどう表現するかですね。例えば、ある宗教に入信している友人を初詣に誘ったら、「ごめん、おれは行けない」って断られたことがあって、それくらい人を信じさせる力を持つ宗教ってすごいなって。そうした出来事で感じたことがストーリーに活かされていますね。
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抗議は「一切ない」
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