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花粉シーズンの換気で室内の花粉を減らす方法 雨の後は要注意

» 2021年02月05日 10時29分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 新型コロナウイルス感染症の終息が見えないまま、日本はまもなく花粉シーズンに突入する。感染予防のために換気が必要とされる中、花粉対策とどう両立させるか。帝京大学大学院医学研究科の槇村浩一教授(医真菌学)が2月4日、ダイソン主催のセミナーで室内の花粉量を抑えながら換気する方法を紹介した。

2021年の花粉飛散ピーク予想(出典はウェザーニュース)

 今年の花粉は平年(過去10年の平均)より少ないものの、花粉があまり飛ばなかった昨シーズンに比べると倍の量が飛散する見通し。スギ花粉は多く接触するほど症状を起こしやすくなるため、槇村教授は状況によって換気の仕方を変えるべきと指摘する。

「重点的な換気が必要なのは不特定多数の人がいる部屋、感染者あるいは濃厚接触者がいる部屋。その場合は覚悟を決めて換気する。しかし一人暮らしや家族だけの場合は適宜(窓開け)換気、24時間換気システムと空気清浄ファンを動かすなど日常レベルの換気で十分」

 換気の際もポイントを抑えれば室内の花粉量を減らせる。例えば2方向の窓を開けて換気する場合、外気が入る窓の前で空気清浄機を動かすと花粉をある程度“ろ過”できるという。「花粉対策には手洗いやマスクが有効だが、窓に付けられるマスクは存在しない。空気清浄機などのフィルターで取り除くのが一番いい」。

外気が入る窓の前で空気清浄機を動かす(出典は帝京大学大学院)

 室内は加湿器で湿度40%以上にする。花粉を含む空気中の小さなホコリは水滴に吸着され、床に落ちるという。再び乾いて空気中に舞い上がる前に掃除機などで除去すれば室内の花粉量を減らせる。

 集中的に換気をするときは一日の中で花粉の飛散量が最も少ない早朝を狙う。ただし雨が降った後の晴れた日には注意が必要だ。

 スギは雨が降ると雄花が閉じて花粉の飛散も減るが、雨がやんで気温が上がり、湿度が下がると飛散量は急増する。「雨が降っていた前の日の分も含めて大量に花粉が飛散する」。

 さらに雨が激しかった場合は花粉が壊れて花粉症の症状を直接引き起こす2種類のタンパク質が飛散してしまう。タンパク質は0.1μmから1.1μmと非常に小さく、空に舞い上がるとPM 2.5よりも小さな超微粒子となって大気中を漂う。

 「どちらのタンパク質も雨後の晴れた日に空気中の濃度が上がる。花粉症の方は花粉が増える日に加え、“雨の後”にも注意してほしい」

水に浸かって破裂したスギ花粉。Cry j 1、Cry j 2と書かれたものが花粉症の症状を引き起こすタンパク質(出典は帝京大学大学院)

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