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腎盂腎炎から糖尿病まで、おしっこの状態から判断できる病気が多くあるという。さっそく明日の朝、なにげなく流してしまわずに、現在の健康状態をチェックしてみよう。

 

「そもそも『おしっこ』とは、血液を腎臓でろ過して、体内でいらなくなったものを水分と一緒に出す仕組み。正常であれば、無菌です。ただ直前に食べたものの影響を受けやすく、たとえばにんじんは色がオレンジ色になりますし、にんにくは臭いがにんにく臭くなります。ただ、いつもと違う色や臭いに、病気のサインが潜んでいることも見逃せません」

 

こう話すのは、泌尿器科医の桑満おさむ先生(五本木クリニック院長)。おしっこをした後、いちばん見極めやすいのが色の変化だ。ビタミン剤や野菜ジュースを飲んだり、にんじんなどを食べたあとは、色が変わっても気にすることはない。

 

しかし、そうしたものを食べた記憶がないのに、次のようなおしっこの状態になったら、要注意だ。

 

■色が白濁している=心配される病気・疾患「腎盂腎炎」

 

「腎臓で作られた尿がたまる場所を腎盂と言います。尿道から入った細菌が尿の通り道をさかのぼり、腎盂の中で細菌が繁殖して起こります。膀胱炎と異なり、38度以上の発熱、わき腹の痛み、腰や背中の痛みなどを伴うことが典型的な症状です」(桑満先生・以下同)

 

■色が茶色っぽい(褐色)=心配される病気・疾患「横紋筋融解」

 

「激しい運動などで、横紋筋といわれる筋肉細胞の一部分が死んでしまい、血液中に流れることで起こります。手足に力が入らない、手足がしびれる、こわばる、筋肉痛、全身がだるいなどの症状があらわれ、重度の場合は腎臓の機能が悪くなることもあります」

 

■甘酸っぱい臭いがする=心配される病気・疾患「糖尿病」

 

「糖尿病の人はケトン体が大量に生成されることがあります。ケトン体を構成するアセトンが甘酸っぱい臭いをしているため、尿中にケトン体があふれ出ると、臭いの原因になります。毎日連続して、この臭いがするときは、血糖値の検査をするようにしてください」

 

■きついアンモニア臭がする=心配される病気・疾患「腎盂腎炎、膀胱炎、尿路感染症」

 

「きついアンモニア臭は尿に粘膜が混じりこんでいるときに発生しやすいもの。尿は腎臓から尿管、膀胱、尿道を通って排せつされますが、そのどこかが細菌に感染して、炎症を起こしている可能性があります」

 

■ビールのように泡立っている=心配される病気・疾患「ネフローゼ等の腎臓の疾患、糖尿病」

 

「もともと尿には『ウロビリノーゲン』という泡立たせる物質が含まれ、健康な人でも泡立つこと自体は不思議ではありません。ただ尿タンパクや尿糖が尿に含まれていると、粘り気が増すとされ、より泡立つ原因に。一過性でない場合は医師の診察を受けましょう」

 

家庭でも洋式トイレが普及し、おしっこを見もせずに流してしまっている人も多くなっている。それは、こうした病気のサインを自分で見逃していることになる。

 

「できれば、1日1回、事後に、トイレをのぞきこんで、自分の五感で、色や臭いをチェックすることが大切。トイレ用芳香・消臭・洗浄剤を使用していて、色や臭いの判断がむずかしいトイレなら、月に1度くらい、100円ショップで売られている白い紙コップなどを用意して、自分のおしっこをとって、色、臭い、泡立ちを確認してはいかがでしょうか」

 

「女性自身」2020年1月28日号 掲載

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