「出版社以外」からの収入のほうが大きくなった──うめ小沢高広さんに聞く「いま漫画家デビューを狙うならこうします」(1/4 ページ)
『東京トイボクシーズ』などの作品で知られ、早くからKindle配信などに取り組んだ「うめ」の小沢高広さんに、今どきの漫画家の仕事について聞いてみました。
クリエイターとおかね 第1回前編
まれに「家を建てるために小説を書いた」という人もいますが、本来、クリエイターとおかねは縁が薄いもの。例えば貧乏で有名だったのが樋口一葉で、この人の日記を読むと「昨日より、家のうちに金といふもの一銭もなし」という文章が出てきて泣けます。これだけお金に縁のなかった人が後にお札になるとは、運命とは皮肉ですね。
この連載では、いろんな分野のクリエイターに登場していただき、「お金」についてガチに本音をうかがってみたいと思います。
第1回にご登場いただくのは、マンガ家ユニット「うめ」で原作、演出を担当する小沢高広さん。
経団連の会長が「もう終身雇用は維持できない」と発言したことが話題になりましたが、社会の実感としては、そんなモデルはとっくに過去のものではないでしょうか。
マンガの世界でも、かつては「商業は出版社に任せ、作家はそこに口を出さないのが美学」という風土がありました。しかしそれも、終身雇用と同じようにとっくの昔の話。新しい波が来ています。
妹尾朝子さん、小沢高広さんのおふたりからなるユニット「うめ」は、「東京トイボックス」「南国トムソーヤ」などの作品を、レガシーな紙の出版社から刊行。その一方で、作家による電子書籍出版にいち早く取り組み、またボーンデジタルWeb媒体での作品発表や、noteのようなプラットフォームの利用など、現代ならではの「表現のかたち」を手がけ、作品だけではなくその活動も注目を集めるクリエイターです。結果、昨年度の収入は、ついにレガシーな紙の出版社より、他の媒体のほうがずっと大きくなったそうです。
「どうないでっか。もうかりまっか?」 「うめ」でシナリオ、演出を担当する小沢高広さんにうかがってみました。
「出版社以外」からの収入のほうが大きくなった
――SNSの投稿で拝見したのですが、昨年は「出版社以外」からの収入のほうが大きくなったそうですね。
小沢 2018年度に関していえば、いわゆる紙の出版社からの収益は全体の15%でした。もともと紙の出版社でデビューしたマンガ家としては、珍しい数字かもしれませんね。
収入の中で単純に大きいのは、電子書籍の売り上げです。あと広告の仕事は単価が高い。それともうひとつ、これはちょっと特殊な事情として、昨年は「マジンガーZ」(筆者注『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』)の映画で脚本を担当したので、東映さん関係の収入が大きかった。僕ベースでは、全体の25%くらいになっています。しかも、たまたま去年は紙の出版社での連載がない時期が長かったので、そのために15%にとどまったところはあります。ただ正直、紙の仕事を増やすと、もうからないんですよ。
――もうからない?
小沢 紙の雑誌は、単価は安いですから。今年は1本、紙の雑誌が初出になる一般的な連載が始まるので、「収入はいったんは下がるかな」と思っています。もちろん単行本が当たれば、回収はできるのですが。
――eスポーツを扱う『東京トイボクシーズ』の連載を「月刊コミック@バンチ」ではじめた。『青空ファインダーロック』で、最初期からKindle版配信を手がけられたりして、うめさんというと「編集不要論」「出版社中抜き論」の旗手みたいに見られることもあり得ますが、そうではないんですね。
小沢 そんなふうに「あの人、出版社では仕事やらないんでしょ」といわれているという声を、人づてに聞いたりしたのですが、それは違うんですよ。ベテランから若い人まで、ふつうにいろんな編集さんと仲良く仕事をしています。
例えば『おもたせしました。』(筆者注 新潮社刊。手土産と文学を扱う)は、完全に編集長からの持ち込み企画で、「ちょっと待って。その世界、なにも知らないから」というところから始めたんですよ。
そんなふうに「これはウチ向きじゃないでしょう」という仕事でも、基本的には取り組むようにしていて、編集さんってある意味、人の引き出しを勝手に開けて、売り物にするのが仕事じゃないですか。だからプロに「ちょっとこっちの引き出しを開けてみなよ」と言われたら、それは最初は乗り気じゃなくても信用すること多いです。結果として「こっちも行けるじゃん」という引き出しに、気づいたりするので。
自分のことは、自分が一番、分かってない。実際『おもたせしました。』も、やってみたらやってみたで思ったより描けました。
――アンチではないということですね。
小沢 もし、自分でもいろいろ発信している作家のことをアンチ編集、アンチ出版社みたいに思う人がいるとしたら、それは編集として三流なんだと思います。「作家に対してマウントを取ること」。それが編集だと思ってるような人にはアンチ編集みたいに見えるでしょうね。 そういう人は、いろいろやっている作家が怖いんだと思います。
でも、それもわりと過去の話で、むしろいろんなことを発信しているおかげで、やる気のある若い人が「この人と仕事をしたい」と来てくれたり、学生のころにインタビューしてくれた人がプロになって声をかけてくれたり、「東京トイボックス」の読者だった人が来てくれたり。うれしいことが多いです。
そういう意味でウチはむしろ「あの人、紙じゃなくてもやるんでしょ」という感じで、いろいろ声をかけやすいと思うんですよ、たぶん。だからゲームの世界観設定をやってくれといった話も、いただいたりします。面白かったです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
-
【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
-
「プロ野球チップス」で誤字 伊藤大海投手を「176m」と記載してカルビー謝罪
-
「ママ友襲来10分前」→さぁ、どうする……? 大爆笑の“あるある”再現が400万再生突破「腹ちぎれました」「バナナ食べんでもええやん」
-
富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
-
21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
-
「大型魚の餌に!!」 熱帯魚店の“思わず目を疑うPOP”に恐怖 「サメでも飼うの?」
-
2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに手をスリスリされた瞬間…… 愛と幸せあふれる空間に笑顔になる「これぞ天使だ」
-
漂う違法感 東京に戻る息子へ持たせた“大量のブツ”に「九州人あるある」「帰省からの帰りいつもこれ」の声
-
異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
- 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
- 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
- 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
- “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
- 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
- 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
- お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
- 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
- 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」