1m浸水の自宅にぼうぜん「何も言えない」 最上川氾濫

鷲田智憲 江川慎太郎
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 山形県大石田町では町内を流れる最上川が3カ所で氾濫(はんらん)した。川沿いに住む女性(78)は29日朝、1メートル近く浸水した自宅を見つめてぼうぜんとしていた。

 前日28日午後9時ごろ、町が出した避難指示を受け、車で高台に避難。日付が変わる頃に自宅を見に行ったところ、浸水していなかったので戻ろうとしたら、消防団の男性に「水が迫っているから避難して」と言われて再び離れた。ちょうど水が自宅に押し寄せてくるところだったという。

 ほとんど寝ていないという女性は「こんなこと初めて。畑も浸水し、何も言えません」と疲れた様子で語り、車に戻った。これから町内の避難所に向かうという。

 同じく最上川があふれた大江町左沢では、住民たちが避難先から川沿いの自宅に戻って泥水をかき出す作業を始めていた。

 会社員の男性(56)は、自宅1階の駐車スペースに深さ30センチほど積もった泥を黙々と押し出した。28日午後6時ごろ、母親(80)と車で避難所に避難し、一夜を過ごしたという。

 男性宅は1階部分の駐車スペースは天井すれすれまで水につかったものの、2階から上の住居部分は浸水を逃れた。町内では約30戸が浸水被害を受けたが、人的被害は確認されていない。男性は「建物は水につかってしまったけれど、地域にけが人などがいなくて本当によかった」と話した。

 住民らによると、県内で8人が亡くなった1967(昭和42)年の羽越水害で、この地域は2メートルほどの浸水被害を受けたという。このため、水害後に住宅を新築や改築する際、1階部分は駐車場にし、住居部分は2階から上にする家が多かったという。(鷲田智憲、江川慎太郎)

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