【法学・政治学部、経済学・経営学部】小論文の頻出テーマと対策をスタサプ講師が解説!

昨今の小論文は、高校生にとっては広範囲な知識を必要とする出題が増えている。

法学や経済についても同様で、目指す学部の知識だけではなく、社会科学系のテーマや世界経済などと絡めて考察させることも多い。

試験時間の中で、問題を理解し的確に論述するためには、ポイントを押さえた日頃の対策と視点が必要だ。

小柴先生のアドバイスで、合格点を勝ち取ろう。
 
教えてくれるのは
小柴大輔先生
【法学・政治学部、経済学・経営学部】小論文の頻出テーマと対策をスタサプ講師が解説!
Z会東大進学教室で講師を務めるほか、ロースクール(法科大学院)受験の予備校においても一般教養小論文を指導している。
感覚ではなく論理的に答えを導く指導に定評があり、「現代文に対するイメージが変わった」と受験生から圧倒的な支持を集めている。
スタディサプリでは、現代文の他、小論文やAO・推薦対策講座を担当。

法学部・政治学部の小論文対策

【法学・政治学部、経済学・経営学部】小論文の頻出テーマと対策をスタサプ講師が解説!

※法学部・政治学部の小論文対策として時事問題と関連する憲法をおさえよう

広い範囲の知識を問われると言っても、憲法全てを暗唱する必要はもちろんない。

しかし、主要な箇所は読んで理解しておきたい。

特に、現在問題になっている事項に関する憲法を読んでおくと、具体的に論述できるはずだ。

最近の出来事で関連付けるのならば、「民主主義」「天皇制」「憲法9条の解釈」「憲法の改正」について考察しておきたい。

法学部・政治学部の小論文頻出テーマとポイント

実際に過去に出題されたテーマは以下。
◆「ディストピア小説中のウルトラ管理国家(脳にデバイス・遺伝子操作)への賛成論と反対論」

◆「立憲主義とケア、家庭への政治の介入」

◆「自由と民主主義と人権の普遍性と〇〇特殊論」

◆「民主主義を小学5年女子に説明する」

◆「法と政治の正義と歴史の真実」
さらに今後は、コロナ禍における政府と国家の役割などについても、問われる可能性があるだろう。
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法学・政治学系なら、そもそも「法律とは」「政治とは」「社会とは」「民主主義とは」といった、原理的なところにも関心を持ちましょう。

そうした社会哲学の入門書を新書などで読む、もしくは大学の過去問の文章を読書資料として読むことも有効です。

そして、ネットニュースですまさず、新聞を!社会や時事問題を知る窓口として、新聞を読む習慣がほしいものです。

大衆に迎合し扇動するタイプの政治家が次々と現れている昨今は、民主主義や知性の危機ともいえる状況でもあります。

大学入試でも改めて、民主主義とは何か、その堕落形態としてのポピュリズムとは何かを問う問題が出題されています。

また、コロナ禍の社会では、マスクや外出自粛、飲食店の営業自粛、エンターテインメントの自粛など、行政による私生活への介入がありました。

ここから、民主主義国家における私的領域への権力介入の是非を考えてみましょう。

個人の自由をどこまで認めるべきか、自由の権利と統治のジレンマについて自分の考えをまとめておくとよいでしょう。
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法学部・政治学部の小論文対策に読んでおきたい!小柴先生おすすめ本

『ポピュリズムとは何か─民主主義の敵か、改革の希望か』
水島治郎(中公新書2016年)

著者は1967年生、東大教養学部卒、同大学院法学政治学研究科博士課程修了。
ヨーロッパ政治史、比較政治を専門とする千葉大教授。
本書で石橋湛山賞受賞。
慶大文学部の推薦入試の小論文に登場。
『近代政治哲学─自然・主権・行政』
國分功一郎(ちくま新著2015年)

著者は1974年生、東大大学院総合文化研究科博士課程修了。
高崎経済大、東京工業大を経て、東京大学准教授。
本書は高崎経済大の一年生対象の講義録をまとめたもの。
ジャン・ボダン、ホッブス、スピノザ、ロック、ルソー、ヒューム、カントの政治哲学がよくわかる。
同じ筆者の本『「中動態」の思想』医学書院(小林秀雄賞)受動でも能動でもない「中動態」から見える人間の行為と責任への問い。慶大文学部の小論文で登場。
『保守主義とは何か─反フランス革命から現代日本まで』
宇野重規(中公新書2016年)

著者は1967年生、東大法学部卒、同大学院法学政治学研究科修了。
政治学史・社会思想史の東大教授。保守主義思想の源流、エドマンド・バークと並んで、マイケル・オークショットの考え方(問題解決をめざさない政治)は興味深い。
同じ筆者の本に『民主主義とは何か』(中公新書2020年)がある。

経済学部・経営学部の小論文対策

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※経済は社会問題と関連が深い。ニュースは欠かさずにチェックしよう

経済学部を目指すのなら、日本経済と社会問題の関連について関心を持つことが大切だ。

現在、30年もの間、経済がゼロ成長のままなのはなぜなのか。

少子高齢化や教育や収入の格差、環境問題など、経済問題は社会問題ともリンクしているのではないかという視点を持ってニュースをチェックしよう。

また、日本の経済が停滞して久しいが、停滞が始まった1990年代は、年功序列や新卒一括採用、定年制、男女格差など伝統的な日本的経営の弊害が言われ始めた時期と重なっている。

これらの課題は経済にどのような影響を及ぼしているのか、具体的に考察してみよう。

経済学部・経営学部の小論文頻出テーマとポイント

実際に過去に出題されたテーマは以下。
◆「経済学的思考 ホモエコノミクス」

◆「市場の限界」

◆「格差を生まない資本主義」
社会・市場・経済のバランスや倫理について考えてみよう。

市場取引でうまくいかない分野があるとすれば何か。

企業が経済活動を推進するうえで守らなければならない倫理とは何か。

昨今目立つ企業の不正はなぜ起こってしまうのか考えてみよう。

また、GAFAなどの外資系企業が及ぼすリスク、国家間の経済格差など、グローバルな視点から日本経済を論じる力もつけておきたい。

環境問題については、国家や国際機関からの統制や規制が、経済や企業活動に及ぼす影響や必要性について考察しよう。
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コロナ禍の社会では感染防止の観点からさまざまな業種に規制がかかり、経済と感染防止とどちらを優先させるのか、連日報じられてきました。

非常時において、経済の停滞を最小限に抑えるために何を講じて、どんな結果となったのかなどを、書き留めておきましょう。

この考察は、利益の追求で起こりえる環境破壊や企業不正などを論じるときにも役立ちます。

また、巨大IT企業への政府による規制について、なぜ規制が必要なのか独占禁止法や個人保護法の観点から考察するテーマが出題されています。

世界ではどのように論じられているのか調べてみましょう。
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経済学部・経営学部の小論文対策に読んでおきたい!小柴先生おすすめ本

『低炭素経済への道』
浅岡美恵・諸富徹(岩波新書 2010年)

浅岡氏は1947年生、京大法学部卒の弁護士。
諸富氏は1968年生、京大大学院経済学研究科修了、京大教授。
環境規制と経済経営は両立する、むしろ国際市場での競争力になるとの提言。
日本版マスキー法の事例は参考になる。
『SDGs(持続可能な開発目標)』
蟹江憲史(中公新書 2020年)

著者は1969年生、慶大総合政策学部卒、同大学院博士課程退学。
2015年に国連で採択された2030年までに達成すべき17の目標の解説。
『人(ひと)新世(しんせい)の資本論』
斉藤幸平(集英社新書2020年)

著者は1987年生、ベルリン・フンボルト大哲学科博士課程修了。
筆者によれば「定常型・脱成長型資本主義」はありえない。
SDGsやグリーンニューディールは環境対策のフリ、〝グリーン・ウォッシュ〟に過ぎない。
マルクスの新解釈と地球という共有地コモンの持続可能性の理論としてのコミュニズムの提唱。
【法学・政治学部、経済学・経営学部】小論文の頻出テーマと対策をスタサプ講師が解説!

現代社会のトピックと関連付けて論述できる力を

【法学・政治学部、経済学・経営学部】小論文の頻出テーマと対策をスタサプ講師が解説!

※学部の基礎知識に加えて、社会情勢の知識を身に着けることが重要

法学・政治学部も経済・経営学部も、学部の基礎知識に加えて、社会情勢の知識を新聞やニュース、書籍で身に着けておこう。

関連付けて考察し、賛成・反対意見を自分の言葉で述べる演習を行うことで、説得力のある論述ができるだろう。

また、小論文は意見論述だけではなく、課題文を理解して要約する力も重要だ。

幅広い出題を考えて、過去問や演習を繰り返して、読解力と論理的な構成力を高めていこう。


取材・文/櫻庭由紀子 監修/小柴大輔 構成/寺崎彩乃(本誌)

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