つくばエクスプレス(TX)を運営する首都圏新都市鉄道は25日、新型車両TX-3000系の報道公開を実施した。TX-3000系は交直流車5編成(6両編成)、計30両を導入する予定。2020年3月の運行開始を予定している。

  • つくばエクスプレスの新型車両TX-3000系が報道公開された(写真:マイナビニュース)

    つくばエクスプレスの新型車両TX-3000系が報道公開された

新型車両TX-3000系の製作会社は日立製作所。先行して第1編成(TX-81編成)が山口県下松市の車両メーカーから甲種輸送され、9月24日に茨城県つくばみらい市のTX総合基地に到着したという。その後、車両メーカーと首都圏新都市鉄道の車両担当による各種検査や車両の調整作業を行い、調整終了後は基地構内ならびに営業線試運転を実施。すべての設計仕様が満たされていることを確認する竣工検査を経て、乗務員の習熟訓練が行われ、2020年春の運行開始に向けて鋭意準備を進めるとしている。

車体はアルミダブルスキン構体(FSW溶接)で、1両あたりの車体長は20,000mm(先頭車は20,800mm)、幅2,930mm。外観はTX-1000系・TX-2000系の基本ベースを継承しつつ、車体前面の傾斜を強くし、ヘッドライトの形状も変更した。前面窓はメンテナンス性を考慮したシンプルな構成とし、現行車両のブルーとレッドを受け継いだカラーリングを施しつつ、疾走する「express」をイメージした斜めのラインでスピード感を表現するなど、先鋭的な印象をより強めたデザインとしている。

  • 新型車両TX-3000系は傾斜を強くした車体前面、ブルーとレッドの斜めのラインなどが特徴。報道公開ではTX-3000系が基地内を走行する場面もあった

車内はオールロングシートの座席配置とし、クッション性を改良して座り心地を向上させたほか、座席横の仕切りや荷棚、連結面に透明な強化ガラスを採用して車内の見通しを改善。清潔感・開放感があり、沿線との一体感も表現した内装デザインとした。混雑時や車両動揺に対する安全性向上のため、吊り手の数も増やした。各ドア上部に42インチハーフの大画面液晶車内案内表示器を搭載し、乗換案内・駅設備案内等を大きくわかりやすく表示。訪日外国人向けに多言語対応の情報提供も行う。

バリアフリーへのさらなる対応を考慮し、範囲を明確にしたフリースペースとUD(ユニバーサルデザイン)シート、優先席を全車両に設置。UDシートは座面が高く、浅く腰掛ける形状で立ち座りしやすい座席となっている。車両内に防犯カメラを設け、車内のセキュリティ向上も図った。

  • TX-3000系の車内はオールロングシート。優先席の一部にUD(ユニバーサルデザイン)シートを採用

車内の大窓ガラスにはUVカットのグリーンガラスを採用し、紫外線を抑制する。異常時の状況が適切に分析できるように、前方監視カメラも搭載。前照灯・尾灯にLEDを採用し、従来のHIDと同等以上の明るさを確保しつつ、電力量を削減(Loビーム時で70%程度、Hiビーム時で30%程度の削減見込み)している。

設計最高速度は130km/h。主制御装置に最新のSiC素子を適用し、走行に伴う消費電力量も削減(13%程度の削減見込み)。主電動機は全閉型主電動機、制御方式はPWMコンバータ・VVVFインバータ制御(回生ブレーキ機能付き)、補助電源装置はSiC素子適用静止型インバータ制御装置。台車は空気バネ式ボルスタレス台車を採用している。

新型車両TX-3000系は今後、11月3日にTX総合基地で開催される「つくばエクスプレスまつり 2019」で一般公開される。先行して搬入されたTX-81編成に続き、12月下旬頃にTX-82・83編成、1月下旬頃にTX-84・85編成が搬入される予定だという。TX-3000系5編成の増備に合わせ、つくばエクスプレスは2020年春以降、朝ラッシュ時間帯の最混雑区間(青井~北千住間)における1時間あたりの最大運行本数を現行の22本から25本に増やす輸送力増強対策を実施する予定としている。

  • 新型車両TX-3000系の車内・外観