子を授からない焦りから不倫へ…冷めかけた夫婦は元に戻れるの?
「他人同士で育ったふたりが結婚して夫婦となり、ひとつ屋根の下に住んで共同生活を送りながら家族になっていく。思えば不思議なことなのだが、もとは他人なのだから感情のすれ違いも起こるのが当然。冷めかけた夫婦が再生することはあるのだろうか」と語るのは、男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さん。
ツヨシさん(44歳)が同い年のアカリさんと結婚したのは33歳のとき。大学卒業後に入社した会社での同期だった。アカリさんは30歳を前に転職。離れたらもう会えなくなるという危機感から、奥手だったツヨシさんが意を決して告白、つきあうようになった。
「彼女の転職先での仕事も落ち着いたころにプロポーズ、結婚しました。結婚すれば当然、ごく普通に子どももできるだろうと思っていたんです。彼女の転職先は女性が出産しても働きやすい環境だったので、ふたりとも漠然と安心していました」
ところがなかなか子どもが授からない。2年たたないうちに彼女が焦り始めた。ふたりで検査もしたが、どちらにも悪いところはなかった。
「彼女には内緒ですが、相性が悪いのかなとちょっと思ったりもしました。性格的な相性ではなく、生物学的に。できないとなると、なんだか、なお自分の子の顔が見たくなって。彼女にはふたりで生きていってもいいんじゃないかと言いましたが、心の中にぽっかり穴があいたような気持ちにはなりました」
もし生物学的な相性がよくないなら、無理に体外受精などしても意味がないのかもしれないとも考えた。なんとなく、ふたりの間で子どもについて会話がしづらくなり、お互いに気を遣うようになっていった。
「ただ、彼女のことは好きですから週に1度くらいは夫婦生活もありましたよ。快楽を求めればいいのか子作りを考えたほうがいいのかわからなくて、ふたりともお互いを慰めるような行為になっていたような気がしますが」
心の隙が魔を呼び寄せたのか。そんなとき、彼に好きな人ができてしまった。ひとりでときどき行っていたバーで知り合った5歳年下の会社員だ。
「バーで会って話しているだけだったのが、いつしか今度食事でもとなり、ついにはホテルへ。会えば会うほど好きになる。妻以上の女性はいないと思っていたのに、新しい恋に夢中になってしまいました」
ある原因で危機を迎えた夫婦のエピソードを、亀山さんがレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)
子どもは自然にできるものだと思っていたのに……
心の隙が魔を呼び寄せたのか
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