第12回中国をたたえ続けたテドロス氏の誤算 伏線は十数年前に

有料記事コロナの時代

ジュネーブ=吉武祐 北京=冨名腰隆 高田正幸
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 人類が半年前に知ったばかりのウイルスは、世界の1千万人以上に感染し、50万人を超える犠牲者を出している。災禍はどう始まり、どう広がっていったのか。感染の拡大が始まった中国・武漢を歩き、謎のウイルスの存在を捉えるまでの道筋や、ヒトヒト感染の認定に二の足を踏んだ中国の初期対応を検証する。連載「コロナの時代」の「パンデミックの序章」シリーズ第3回。

【動画】昨年末の中国・武漢。当時誰も知らなかったウイルスはどう広がっていったのか。世界的な感染爆発を防ぐことは出来なかったのか。パンデミックの序章を振り返る。

 「感染症は魔物だ。魔物を隠すことはできない」

 1月28日、中国国家主席習近平(シーチンピン)は北京の人民大会堂世界保健機関(WHO)事務局長のテドロスを迎え、こう強調した。

 新型コロナウイルスの感染拡大で重要指示を出してから、習が最初に会った外国要人がテドロスだった。春節の連休中にトップが自らもてなした事実が、中国がテドロスの訪中をいかに重視していたかを物語る。

 「中国は一貫して透明性をもって情報を提供している」と語る習に、テドロスも「中国の対応の素早さ、規模の大きさはまれに見るものだ」と持ち上げた。

 中国衛生当局関係者はこの時のテドロス訪中について、「彼は訪中前、中国にとって大きな役割を果たしていた。習氏が出迎えたのは、そのねぎらいの意味もあった」と明かす。

 中国を喜ばせたテドロスの役割とは何だったのか。

中国に甘い態度をとり続けたテドロス氏は、やがてその代償を払うことになります。記事後半で解説します。

 新型ウイルスのヒトからヒト…

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