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「プラチナバンドを楽天に譲渡すべき」「PayPay黒字化はいつ?」 ソフトバンク株主総会で語られたこと(1/3 ページ)

» 2022年06月25日 10時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

 ソフトバンクは6月23日、都内で第36回定時株主総会を開催した。2021年の事業報告を映像で振り返った後、宮川潤一社長が今後の成長戦略を説明し、株主からの質問に担当役員が回答した。創業者の孫正義氏が回答するシーンもあった。

ソフトバンク ソフトバンク 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏

「次世代の社会インフラになる」

 宮川氏は成長戦略として、総合デジタルプラットフォーマーになるという方針を改めて説明した。300社以上の子会社、関連会社の多彩なサービスプラットフォームをつなぎ合わせて新しい価値を提供。「あらゆる産業のデジタル化に挑戦し、次世代の社会インフラになる」と語った。

ソフトバンク グループ会社のサービスを連携させてあらゆる産業のデジタル化に取り組み、次世代の社会インフラになることを目指す

 「単なる通信会社にとどまるつもりはない。さまざまな課題を解決する次世代の社会インフラに進化し、成長していきたい」と:宮川氏は述べ、社会インフラに必要な先端技術を早期に社会実装するため、先端技術研究所を発足したことを紹介した。その研究開発テーマの1つとして自動運転を紹介した。

 同日、業務提携契約を発表したMay Mobilityの自動走行映像を流し、既に東広島市の公道でも共同で実証実験をしていることを紹介した。年内に竹芝本社の周辺でも試験を行うという。

ソフトバンク May Mobilityの自動走行映像。人が運転しているのと遜色ない自動運転ができている

 自動運転ではAIの能力に加え、高精度なデジタルマップも重要な要素。自動運転時には、3Dマップのデジタル空間上でも同時に走行しており、これがいわゆるデジタルツインにつながっていく。ソフトバンクが作成した東京エリアの3Dマップ上に自動運転車両のデータを反映し、さらに電車やバス、タクシーなど他の交通機関のデータ、人流データなどを連携させ、都市OSとして今後活用していくという。

ソフトバンク 社会課題の解決が今後の事業の成長につながり、通信料以外の新たな収益源になるとする

 2022年度の業績予想も説明。売上高は5.9兆円、営業利益は以前から発言している通り1兆円超え、純利益は5300億円を超え、いずれも過去最高を更新し、上場以来、5期連続で過去最高を更新する見込みだ。通信料値下げの影響を受けているが、フリーキャッシュフローは6000億円の水準をキープし、配当は86円を予定している。

ソフトバンク 2022年度は、売上高、営業利益、純利益とも、5期連続で過去最高を更新する見込み

現状の株価にはまったく満足していない

 株主からの質問には、宮川氏をはじめ担当役員が回答した。主なものは以下の通りだ。

―― 現状の株価について経営人はどのように捉えているか。

宮川氏 今朝(6月23日)、ちょうど1500円を超えたところ。1500円は非常に大きな壁だと認識している。現状の株価に、我が社のポテンシャルが反映されているとは思っていない。自分自身はまったく満足していない。私自身も1人の株主で、現在の株価は大変不満に感じている。

 成長し続けている当社を筆頭として、ヤフー、LINE、PayPayなどを傘下に持っている当社グループの将来性を鑑みると、現在の株価は非常に安いと考えている。プレゼンでも説明した通り、当社は次世代の社会インフラとなる。あらゆる産業が、われわれが取り組む市場になるので、成長の機会は増え続けると考えている。Beyondキャリア戦略を着実に推進し、事業の成長と社会への貢献を通じて、引き続き企業価値の向上に取り組んでいく。

―― 親子上場だが、今後、親会社による非公開化はあるか。

宮川氏 本人(創業者の孫 正義氏)を目の前にしてだが(笑)、当社は上場会社として自律的に経営を行うことで、さらなる成長ができると考えている。非公開化はまったく考えていない。よろしいでしょうか?(と孫氏に)

創業者 取締役 孫正義氏 世の中は何でもあり得るんじゃないかと(笑)。だから、一概に「ない」と断定することはできないが、少なくとも今、ソフトバンクとして、立派に社会的使命も果たしている。今、宮川社長が説明した通り、これから業績も期待できるものが大きいと考えている。このまま立派に成長していけると思っている。

ソフトバンク 創業者 取締役の孫正義氏
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