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ソニーがV字回復した4要因、ポイントは「正月のお年玉をガメるお母さん」

「あの企業の意外なミライ」を株価と業績から読み解く。滋賀県出身、上京2年目、犬より猫派、好きな言葉は「論より証拠」のフィスコ企業リサーチレポーター・馬渕磨理子です。私はこれまで、上場銘柄のアナリストとしてさまざまな企業の業績予測、市況予測を行ってきました。また、自身で株式投資を5年以上に渡って行い、市場に向き合ってきました。本企画では、そんな、私馬渕の視点からみなさまに「あの企業の意外な情報」をお届けます。

“苦戦”のイメージは過去のもの

 今回取り上げるのは、ソニー<6758>の財務分析です。  ソニーと言えば、2008年以降、テレビをはじめとするエレクトロニクス部門の不振が続けているイメージが強かったのではないでしょうか。しかし、そんなソニーの直近の決算書を見てみると、2018年3月期の純利益は9162億円で、2期連続の過去最高を更新しています。  この10年の間に、ソニーでは何が起こったのでしょうか?

利益率は昨年比86%増の絶好調状態に

 ソニーの損益計算書(略して“PL”= profit and loss statement)を見てみましょう。PLとは、企業に「出てくるお金」と「入ってくるお金」を示したグラフのこと。  ソニーのPLを見てみると… 2014年…約7.7兆円 ↓ 2019年…約8.6兆円  と推移。19年3月期の売上高は8.6兆円。5年間で約1兆円増えています。一方、純利益は… 2014年…約1280億円の赤字 ↓ 2019年…約9160億円(+4260億円)  2019年は前年比86%増の9160億円を達成。収益性が大幅に上がっていることがわかります。いったい、なぜここまでV字回復できたのでしょうか?  その答えは4つあります。

答え1:エンタメに強いソニーに成功したから

 答えの1つ目は、主力事業をエンタメ事業へと転換させたからです。  上のグラフを見てください。これはソニーの事業ごとの営業利益を示したものです。  これを見れば一目瞭然。テレビやカメラの営業利益の依存度は低下しており、現在は、ゲーム分野が稼ぎ頭であることがわかります。これは主に、ネットワーク販売を含む「プレイステーション4」のソフトの売れ行きが好調であったことと、月額課金でオンライン対戦ができる有料会員サービスの加入者が増加しているためです。これ、今流行りのサブスクリプションモデルですよね。サブスクリプションによる収益は、毎月安定して利益が見込めるため企業が喉から手が出るほどほしいものです。ソニーは、その安定した利益を得ることに成功したのです。
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