亀山早苗の恋愛コラム

私、軽く見られている?「正論ばかりの煙たい女」と彼にあしらわれ…

コロナ禍において、誰もが抑圧された日々を過ごしている。そんな中、自分の存在価値について考え込んでしまう人がいるのも納得できるのではないだろうか。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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自分が軽く見られていることに耐えられない

周りから浮いている女

コロナ禍において、誰もが抑圧された日々を過ごしている。そんな中、自分の存在価値について考え込んでしまう人がいるのも納得できるのではないだろうか。

 

会社に貢献してきたはずなのに

ずっと在宅勤務が続いてきたが、8月から出社することも増えたというのはメーカー勤務のフユコさん(36歳)だ。大学を卒業して、今の会社に就職、何度か社長賞をもらったこともあり、自分は会社に期待されている、誰より仕事ができると思ってきた。

「現在、私は週3、もしくは4日出社です。でも私の同期は週5日、フルで出社している人も多いんですよね。私は会社にとってなくてはならない人材のはずなのに、どうしてフルで出社させてもらえないのか不思議でしかたがない。上司にかけあったこともありますが、『きみは家でもできる仕事をしているのだから、家で集中して成果を上げてほしい』と言われて……。ただ、仲のいい同期からは、『あなたは正論を言うから煙たく思ってる人が多いのよ』って。正論が煙たいって組織としてどうなのよ、と思いますけど」

腹立たしいのだろう、舌打ちまでしている。有名大学に入学するために必死にがんばり、就職活動に有利なよう学生時代もボランティアや文科系サークルのイベントなどにいそしんだ。就職してからも、「若いうちだからできる」と社内改革などを発言することも多々あり、“目立つ若手”としてがんばってきたのだ。

「もう中堅と呼ばれるようになりましたけど、ここ数年でもそれなりに会社に利益をもたらしているはず。それなのに会社からは軽く見られている。今までやってきたことは何だったのかと落ち込んでしまいます」

正しい評価がされていない。自分が認められていない感覚を初めて味わい、我慢しきれないものを感じていると彼女は言う。

 

彼も私をバカにしている?

フユコさんには3年ほどつきあっている2歳年下の男性がいる。歩いて10分ほどの場所に住んでいるので、コロナ禍においてもお互いの家を行き来していた。

「以前、一緒に住もうかという話をしていたこともあるのですが、ふたりとも在宅勤務になった時期は別々に住んでいてよかったと思いました。顔をつきあわせていたら、ぎすぎすしがちですから。でもそれを彼に言ったら、『オレは一緒に住んでいればよかったなと思ったよ』と言われて。まるで私が冷たいみたい。私は現実的なだけなのに」

その一件でショックを受けたフユコさんは、「じゃあ、結婚しよう」と彼に言った。すると彼は「フユコは結婚には向いてないでしょ」と軽くあしらったという。

「結婚に向き不向きなんてあるの?結婚生活はふたりで作っていくものでしょ、結婚生活というものがあってふたりをその型に押し込むわけじゃないでしょって思わず言ってしまったんです。すると彼は『ほら、そうやって正論を吐くところが結婚に向いてないということなんだよ』と。なんだか会社にも彼との関係にも絶望的な気分を抱いています。誰も私をわかってくれないんだなって。彼だけはわかってくれると思っていたのに……」

時間があるため、自分自身と、あるいは家族と向き合うようになった人が増えている。そして考えれば考えるほど、「今の自分が周りや組織から認められていない」と思い込んでしまうのかもしれない。

8月、女性の自殺率は前年同月比で40%増えたという。自分の存在意義を確認できない人が増えているのかもしれない。

「そういえば、私、小さいころから学校以外に習いごとや塾でいつも忙しかった。大学生時代も、就職してからもずっと、あれもしなくちゃこれもしなくちゃと追われるように生きてきました。でもだからこそ、自分が思うような人生を送ることができた。今年はいろいろなことに実感がないんですよね。仕事も目に見える成果がないし、彼との関係だって忙しい時間を縫って旅行にいくような楽しさがないし。ついつい自分にばかり目が向いて、私は誰から必要とされているのだろうと考えてしまうんです」

自分を自分として認められないと、どうしても周りの評価に頼ってしまう。誰かに否定的な言葉を投げかけられると、それだけで「いてはいけない人間なのではないか」と疑念が生じる可能性もある。

「彼とは結婚についても話していますが、彼は『フユコは今、暇だから結婚に目が向いているだけだよ。本当は結婚に興味なんてないでしょ』って。実はつきあって1年くらいで、彼からプロポーズされたんですが、そのときは私が断っているんです。あのとき受けていれば、今ごろは家族として彼ともっと深い関係になれたのかもしれないなと後悔したり」

今年は誰もが「平常心」ではいられない年だったのではないだろうか。今、無理に新しいコトを始めようとがんばるよりは、現状を受け止めつつ工夫しながら生活するほうが現実的なのかもしれない。

「私にとっては自分を否定されたような時期が続いて、ずっと『なんだかな~』と思い続けています。いろいろなことを“待つ”しかないのかもしれないけど」

何もかも思うようにいかない。コロナ禍においてそう感じている人は少なくない。ピンチはチャンスだと発想を転換することも大事かもしれないが、ここはぐっと我慢して平常に戻る日を待つのも重要だといえそうだ。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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