公務員の種類、職種とは?どんな学部・学科を専攻すればいい?なり方から難易度までチェック!

リクルート進学総研の調査によると、高校生の「就きたい職業」の1位は9.2%で「公務員」という結果に!

男女別で見ても男子では2位、女子では4位と公務員が上位にあがっていた。
【高校生】就きたい職業

高校生がつきたい職業

さらに、保護者が子どもに「就いてほしい職業」では、「公務員」が36.6%で圧倒的1位!

子どもの性別ごとのデータでも、男女共に「公務員」が1位で、男子は実に42.9%、女子も32.1%の保護者が、子どもに公務員になってほしいと考えているよう。
【保護者】就いてほしい職業

保護者が将来子供になってほしい職業

※リクルート進学総研:「高校生と保護者の進路に関する意識調査2021」 株式会社リクルート、一般社団法人全国高等学校PTA連合会合同調査より


高校生にも保護者にも公務員は人気の職業ということがわかる。

でもなかには、公務員になりたいと考えているけれど、どんな種類や職種があって、何を専攻すればいいのかわからないという人もいるのでは?

そこで、公務員の種類と職種、その仕事に就きたい場合は、大学でどんな学部、学科を専攻すればいいのかを詳しく調べてみた。

公務員とは?

公務員とは、国や地方公共団体などの職員として、営利を目的とせず、社会や国民、地域の人々に役立つ仕事をする人。

公務員の種類には、大きく分けて、国づくりに貢献するために働く「国家公務員」と、地域の住民たちのために働く「地方公務員」がある。

国家公務員とは?

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※国家公務員とは、国の施策を実行して、国民生活の向上を図るスペシャリスト


東京・霞が関にある各省庁やその出先の地方機関(税務署、ハローワークなど)や裁判所、国会などに勤務し、国防、公安、徴税から農、工、商業の指導監督、国民医療や社会福祉の充実など、国の施策を実行して、国民生活の向上を図るスペシャリスト。

基本的に採用された省庁、機関の所属は退職時まで変わらず、省庁、機関をまたぐ異動がない。

国家公務員が活躍する国家機関は、「行政府」(1府12省庁や各出先機関)、「司法府」(裁判所)、「立法府」(国会/衆議院、参議院、国立国会図書館)の3つに分類される。

【行政府】

行政府の国家公務員の種類には、「総合職」「一般職」「専門職」などがある。

国家公務員総合職

国家公務員総合職は、内閣府、国家公安委員会、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省の1府12省庁いずれかの行政職員や技術系職員などとして、政策立案を支えるのが仕事。

例えば、厚生労働省なら雇用政策などを企画立案する。

いわゆる官僚、キャリアとよばれているのが国家公務員総合職。

勤務地は、東京、霞が関のほか、省庁によっては2~3年程度の間隔で地方機関への出向がある。

国家公務員総合職になるには、まず国家公務員採用総合職試験を受験する必要がある。

試験は、専門科目の出題分野により、行政、政治・国際・人文、法律、経済、人間科学、デジタル、工学、数理科学、物理、地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境といった区分があり、大学や大学院での専攻などに応じて選ぶことができる。

合格後に希望する官庁を訪問し、内定すると、その官庁で採用される。

複数の官庁を訪問することも可能で、官庁ごとに内定、採用が出されている。

国家公務員一般職

国家公務員一般職は、1府12省庁いずれかの行政職員や技術系職員などとして、総合職をサポートする立場で政策立案を支えたり、現場で政策の実行を行ったりする。

いわゆる事務などの業務が主な仕事。

本府省採用と地方出先機関採用があり、本府省採用は東京・霞が関にある中央省庁に勤務して、業務を行っている。

地方出先機関採用では、労働局や税関、農政局など、管区内の本局や事務局に勤務。

採用先や配属先によっては、窓口業務もある。

国家公務員一般職になるには、まず国家公務員採用一般職試験(大卒程度)を受験。

試験は、専門科目の出題分野により、行政区分のほか、9つの技術系区分(デジタル・電気・電子、機械、土木、建築、物理、化学、農学、農業農村工学、林学)がある。

合格後に希望する官庁を訪問し、内定すると、その機関で採用される。

中央省庁だけでなく、地方出先機関を勤務先に選ぶことができ、基本的に採用された省庁、機関は退職時まで変わらない。

複数の官庁を訪問することも可能で、機関ごとに内定、採用が出されている。

国家公務員専門職

国家公務員専門職には、国税専門官、財務専門官、労働基準監督官、外務省専門職員、法務省専門職員、航空管制官、食品衛生監視員などがある。

それぞれの分野でのスペシャリストとして活躍できるのが専門職。

職種によって、例えば国税専門官は各地の税務署や国税局、労働基準監督官は都道府県労働局や労働基準監督署などに配属されている。

国家公務員専門職になるには、総合職や一般職とは別に、職種ごとに実施される採用試験を受験し、最終合格することで採用が決まる。

【司法府】

司法府の国家公務員には、裁判所事務官、家庭裁判所調査官補などがある。

裁判所事務官は、裁判所のスムーズな運用を図るための事務や裁判手続きの補助作業を担当するのが主な仕事。

家庭裁判所調査官補は、各家庭裁判所に配属され、心理学などの専門知識を使って調査や調整を行う。

司法府の国家公務員になるには、裁判所職員採用総合職試験または裁判所職員採用一般職試験を受験し、最終合格すると採用される。

【立法府】


立法府の国家公務員には、衆議院事務局職員総合職、衆議院事務局職員一般職、参議院事務局職員総合職、国立国会図書館職員などがある。

衆議院または参議院の事務局職員は、会議運営部門、調査部門、総務部門に分かれ、各議会の運営のサポートをするのが主な仕事。

国立国会図書館職員は、国立国会図書館に勤務して、調査業務(法案などの分析、評価、政治、経済、社会の調査など)、司書業務、一般事務などを行う。

立法府の国家公務員になるには、それぞれの職種ごとに実施される職員採用試験を受験し、最終合格すると採用される。



地方公務員

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※地方公務員とは、地域に寄り添うゼネラリスト


都道府県庁、市役所、区役所などに勤務。

都道府県、政令市、特別区(東京23区)、市町村などの行政事務系の上級職(Ⅰ類、A区分など)は、各自治体の幹部候補として採用され、2~3年の周期でさまざまな部局を異動しながら、幅広い分野の業務に携わることができる。

地域に寄り添うゼネラリストとして、まちづくりや行政サービスを提供するのが仕事。

地方公務員は、自治体の規模によって、市町村の「基礎行政」と、都道府県の「広域行政」の2つに分けられ、仕事内容や権限が異なっている。

地方公務員は、都道府県、政令市、特別区(東京23区)、市町村などの各自治体が独自に実施する地方公務員採用試験を受験し、最終合格すると採用される。

市町村~基礎行政

地域住民の行政窓口として、住民生活の基礎手続き、住民の安全、健康確保、環境保全、まちづくり、各種施設の運営など、公務員のなかで最も地域に密着した仕事が多くある。

都道府県~広域行政

市区町村の区域を越える業務、例えば道路、河川、公共施設の管理など、都道府県全体で統一すべき業務を行う。

国や市区町村間の調整など、地方公務員として最もスケールの大きい仕事を担っている。

政令指定都市

政令指定都市(札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、熊本市)は、基礎行政と広域行政の機能を併せもつ自治体として、多くの分野で都道府県と同格の扱いを受けている。

例えば、福祉では児童相談所を設置したり、都市計画など、都道府県がもっている権限を委託され、基礎行政と広域行政の両方に携わる幅広い仕事ができる。

政令指定都市以外の市に比べて採用人数が多い傾向がある。

特別区

東京23区をまとめて「特別区」とよび、それぞれの区ごとに基礎行政を担っている。

仕事内容は一般的な市町村と同じだが、上下水道や消防などは東京都が権限をもっているため、業務外になる。

地方公務員採用試験のなかでは、採用予定人数、受験人数、最終合格者数すべてにおいて例年No.1の試験で、受験者は例年1万人程度、合格者も1000人以上。


公務員の職種とは?

公務員には、国家公務員、地方公務員いずれも、さまざまな職種がある。

「行政事務系」「技術系」「公安系」「心理、福祉系」「専門職系」「資格免許職」などに分類され、さらに専門分野で細かい職種に分かれている。

職種によって、受験する採用試験が異なったり、国家資格などの取得が必要だったりする場合もある。
 

  行政事務系 技術系 公安系 心理、福祉系 専門職系、
資格免許職
国家公務員 総合職・行政職員、一般職・行政職員、国税専門官、財務専門官、裁判所事務官など 総合職(デジタル、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、森林・自然環境など)、一般職(土木、建築、機械、化学、デジタル・電気・電子、農学など) 警察官、皇宮護衛官、海上保安官、自衛官など 法務省専門職員、家庭裁判所調査官補など 外務省専門職員、労働基準監督官、航空管制官、食品衛生監視員など
地方公務員 都道府県・政令指定都市・市町村・特別区の行政事務職、警察署の警察事務、公立学校の学校事務など 道府県や市区町村の関連施設などの土木職、建築職、機械職、化学職、電気・電子・情報職など 警察官、消防官 都道府県庁・市役所・都道府県や市区町村の関連施設などの心理職、福祉職、社会福祉職、心理判定員など 保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、司書などの資格免許職


行政事務系公務員

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※行政事務系公務員になるには、行政事務職の採用試験に合格する必要がある

【どんな仕事?】
行政事務系公務員は、主に行政事務や一般事務の仕事を行う。

国家公務員総合職・一般職の場合、1府12省庁や地方出先機関などで、政策立案、法案作成、予算編成などに関する行政全般の事務に携わっている。

地方公務員の場合、都道府県庁、市役所、区役所および都道府県や市区町村の関連施設などに勤務し、例えば住民票の発行、観光客へのPR活動など、ゼネラリストとして行政全般の幅広い分野、業務に従事。

警察事務は警察官のサポートや運転免許証の発行、更新など、学校事務は公立学校の運営全般にわたる業務に従事している。
【どうすればなれる?】
行政事務系公務員になるには、「国家公務員採用総合職」「国家公務員採用一般職」「地方公務員」「東京都職員Ⅰ類」「特別区職員Ⅰ類」「市役所」などの行政事務職の採用試験に合格する必要がある。

国家公務員は筆記試験が重視されているが、地方公務員は地域住民とじかに接する機会が多く、コミュニケーション能力が求められるため、面接、集団討論、グループワークなどの人物試験が重視される傾向がある。

行政事務職の採用試験の難易度は、国家公務員総合職が最難関で、その他の国家公務員、地方上級公務員と続くが、職種や各自治体によって異なり、採用人数や倍率にも差がある。

行政事務系の国家公務員総合職を目指す場合、大学3~4年生が対象の資格スクールの対策講座で1000時間~1500時間程度の勉強をするといいだろう。
行政事務系の国家公務員一般職や地方上級公務員の対策講座の場合は、800時間~1200時間程度が目安になる。
【どんな学部、学科を専攻すればいい?】
行政事務系公務員を目指すには、大学で法学部、経済学部、政治学科などを専攻するといいだろう。

大学の授業で学んだ法律や政治・経済の知識が、公務員採用試験の筆記試験対策に役立つ。

ただし、就職してからの業務には、学部はそれほど重要ではない。

むしろ、さまざまな学部の学生を欲している自治体もあり、例えば理系の知識を行政事務の仕事に生かすことができたり、心理学が職場の活性化につながったりすることもあるので、あまり学部にこだわる必要はない。

技術系公務員

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※技術系公務員は、さまざまな分野の専門職員として仕事を行う

【どんな仕事?】
技術系公務員は、デジタル、土木、建築、機械、数理科学、化学、物理、薬学、電気・電子・情報、農業農村工学、水産、森林・自然環境などの採用区分に分かれ、それぞれの専門知識を生かして、国あるいは地域社会で、国民や住民が安心・安全に暮らすための社会づくりを担っている。

国家公務員の場合、土木職は国土交通省、経済産業省、農林水産省など、機械職は総務省、警察庁、経済産業省、国土交通省など、化学職は農林水産省、経済産業省、特許庁、環境省、研究機関などに勤務。

地方公務員の場合、土木職は土木、建設、水道、下水道、都市などの各部局、建築職は建設、土木、住宅、都市部門や出先機関など、機械職は建築、土木、環境、交通、上下水道など幅広い分野の各部局に勤務。

例えば土木職は主にダムや河川の管理、用地関連、建築職は建築物の審査、規制、指導など、機械職は幅広い分野で機械設備の営繕や工事監督、設備の管理などに携わる。

いずれも、それぞれの専門分野のスペシャリストとして、交通網や通信ネットワークの整備、災害に強い都市計画、再生可能エネルギーの開発など、多彩な分野で住民の生活を支えている。
【どうすればなれる?】
技術系公務員になるには、「国家公務員採用総合職」「国家公務員採用一般職」「地方上級公務員」「東京都職員Ⅰ類」「特別区職員Ⅰ類」「市役所」などの技術職区分の採用試験に合格する必要がある。

技術職の採用試験の難易度は、国家公務員の試験区分や各自治体によって異なり、採用人数や倍率にも差があるが、技術職全体では倍率が低くなっている傾向が見られる。

また、自治体や年度によっては募集のない試験区分もあるので注意したい。

技術系の国家公務員総合職を目指す場合、大学3~4年生が対象の資格スクールの対策講座で1000時間~1500時間程度の勉強をするといいだろう。

技術系の国家公務員一般職や地方上級公務員の対策講座の場合は、800時間~1200時間程度が目安になる。
【どんな学部、学科を専攻すればいい?】
技術系公務員を目指すには、それぞれの専門分野を学ぶことができる大学の学部、学科を専攻したい。

公務員採用試験では、例えば土木職は土木工学、建築職は建築設計製図など、各技術職の専門試験が課せられることが多く、仕事に就いてからも専門知識が求められるので、大学での学習が生かされる。

土木職は土木工学科、環境工学科、建築学科など、建築職は建築学科、環境デザイン学科など、機械職は機械工学科、機械システム工学科など、目指す技術職で求められる専門知識が身につく学部、学科を選ぼう。

公安系公務員

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※公安系公務員は、人々の安全な暮らしをサポートする仕事

【どんな仕事?】
公安系公務員には、警察官、消防官、皇宮護衛官、海上保安官、自衛官などがある。

警察官は都道府県の公安職、消防官は市町村の公安職(東京消防庁のみ東京都の公安職)として、住民を犯罪や災害などから守るための幅広い業務に従事する。

皇宮護衛官は、天皇皇后両陛下や皇族各殿下の護衛と、皇居、御所、御用邸などの警備を専門に行う国家公務員。

海上保安官は、海上保安庁の職員として、海上における犯罪の取り締まりや領海警備などの警備業務、海難者の救助や航行不能になった船舶の救助などを行う国家公務員。
【どうすればなれる?】
警察官になるには各都道府県ごとに実施される「警察官採用試験」、消防官になるには市町村ごとに(東京消防庁のみ東京都)実施される「消防官(消防士、消防吏員)採用試験」に合格する必要がある。

海上保安官は、まず学生採用試験に合格し、海上保安大学校または海上保安学校を卒業すると、海上保安官として全国の海上保安部などに配属される。

皇宮護衛官は、「皇宮護衛官採用試験」に合格後、皇宮警察学校で学ぶ必要がある。

公安系公務員の採用試験は、行政事務系や技術系に比べて、筆記試験の難易度は高くない傾向があるが、人物試験(面接)がより重視されるため、しっかりと対策をしないと最終合格は難しい。

警察官の採用試験の場合、大学3~4年生が対象の資格スクールの対策講座で500時間~800時間程度の勉強をするといいだろう。
【どんな学部、学科を専攻すればいい?】
公安系公務員を目指すには、それぞれ独自の採用試験に合格することが第一で、大学で専攻したほうがよい学部、学科は特にない。

ただし、消防官の場合は、救急救命士の国家資格を取得していると、救急車に乗って救急救命が必要な現場へ出動することができるので、「救急救命士国家試験」の受験資格が得られる大学の救急救命学科、救急医療学科などで学ぶと有利になることもある。

心理、福祉系公務員

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※心理、福祉系公務員は人の心をサポートする仕事

【どんな仕事?】
心理、福祉系公務員には、法務省専門職員(人間科学)、家庭裁判所調査官補、県庁、市役所、区役所および都道府県や市区町村の関連施設などの心理職、福祉職、社会福祉職、心理判定員などがある。

法務省専門職員(人間科学)の職種には矯正心理専門職、法務教官、保護観察官があり、心理学や福祉および社会学などの専門的な知識や技術を生かし、非行を犯した少年や刑事施設に収容されている受刑者に対する職務に従事。

家庭裁判所調査官補は、家庭裁判所裁判官の命を受けて、家事事件や少年事件についての調査、報告を行う。

地方公務員の場合、自治体の高齢福祉課、福祉事務所、児童相談所、子ども家庭支援センター、心身障がい者福祉センターなどに勤務。

高齢者、児童および保護者、心身障がい者(児)などに対して、生活指導や相談業務、心理診断、社会生活、作業訓練など、心理や福祉の専門知識を生かした職務に従事する。
【どうすればなれる?】
法務省専門職員(人間科学)になるには、「法務省専門職員(人間科学)採用試験」に合格する必要がある。

「矯正心理専門職」「法務教官」「保護観察官」の3区分があり、希望する職種の試験区分を受験。

家庭裁判所調査官補になるには、「裁判所総合職(家庭裁判所調査官補)採用試験」に合格後、裁判所職員総合研修所で約2年間の研修を受ける必要がある。

心理、福祉系の地方公務員になるには、各自治体が実施する心理職または福祉職の採用試験に合格する必要がある。

心理、福祉職の採用試験の難易度は、国家公務員が難関で、地方上級公務員、市役所などと続くが、職種や各自治体によって異なり、採用人数や倍率にも差がある。

心理、福祉系の国家公務員や地方公務員を目指す場合、大学3~4年生が対象の資格スクールの対策講座で800時間~1200時間程度の勉強をするといいだろう。
【どんな学部、学科を専攻すればいい?】
地方公務員で心理、福祉職を目指す場合、受験資格(公務員試験を受けるための条件)として、大学での履修内容や国家資格が要求される自治体もあるため、注意が必要。
心理職を受験するためには、心理学を専修している学科の学生を条件としている自治体が多いことから、心理学部、人間科学部、教育学部などで学ぼう。

福祉職を受験するためには、社会福祉主事任用資格を要求する自治体が多いため、社会福祉学部、人間社会学部、人間福祉学部などで学ぼう。

専門職系国家公務員

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※航空管制官、食品衛生監視員なども国家公務員である

【どんな仕事?】
専門職系国家公務員には、国税専門官、財務専門官、裁判所事務官、公安系の皇宮護衛官や海上保安官、心理福祉系の法務省専門職員などがある。

その他の専門職系の国家公務員としては、外務省専門職員(外交官)、労働基準監督官、航空管制官、食品衛生監視員など、さまざまな職種のスペシャリストがいる。

外務省専門職員(外交官)は、高い語学能力と専門知識を武器に、外務省または世界200カ所の在外公館(大使館、総領事館、政治代表部)に勤務して、さまざまな分野で諸外国と日本との橋渡しを行う。

労働基準監督官は、全国の労働基準監督署や都道府県労働局、厚生労働省の労働基準局などを拠点に、労働者の職場環境と権利を守る、労働法の番人を務めている。

航空管制官は、全国各地の航空交通管制部や空港の管制塔に勤務し、航空機に管制指示などを与えることで、安全で円滑な航空機の運航を支えている。

食品衛生監視員は、全国の主要な海、空港の検疫所に勤務し、輸入食品の安全監視および指導、試験検査、検疫感染症の国内への侵入防止などの業務に従事。
【どうすればなれる?】
外務省専門職員(外交官)は、国家公務員の専門職採用試験のなかでもかなり難易度が高くなっている。

労働基準監督官も難易度が高く、採用枠も毎年変動する狭き門。
【どんな学部、学科を専攻すればいい?】
専門職試験の受験に必要な知識を身につけるため、それぞれの専門分野を学ぶことができる大学の学部、学科を専攻したい。

外務省専門職員(外交官)は、国際関係学部、外国語学部、政治経済学部、法学部など。

労働基準監督官の試験は文系と理系に分かれており、特定の学部に偏ることがないよう門戸が開かれているが、労働法に関連した出題があるので法学を学んでおくといいだろう。

航空管制官は、法学、航空気象、無線工学など文系、理系どちらにも関連する科目があり、どんな学部、学科でも目指すことができる。

食品衛生監視員は、農学部、家政学部、薬学部、畜産学部、水産学部などの任用資格が取得できる学科を専攻することが必須。

資格免許職地方公務員

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※航空管制官、食品衛生監視員なども国家公務員である

【どんな仕事?】
地方公務員の場合、保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、司書など、資格免許が必要な専門職の職種がある。

保健所や社会福祉センター、高齢者施設、学校など、保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、司書などの各資格免許が必要とされる機関や施設に勤務。
 
【どうすればなれる?】
地方公務員の保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、司書などは、各自治体が実施する保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、司書の採用試験に合格する必要がある。

採用時期までに資格免許を取得または取得見込みであることが受験資格となっているので注意したい。

地方公務員の採用試験の難易度は、各自治体によって異なり、採用人数や倍率にも差がある。

また、自治体によっては募集のない職種もあるので確認しておこう。
【どんな学部、学科を専攻すればいい?】
それぞれの専門分野を学び、採用試験の受験に必要な資格免許が取得できる大学や短期大学、専門学校の学部、学科を専攻したい。

保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、栄養士、司書などは、国家試験の受験資格が得られたり、資格免許が取得できたりする大学や短期大学、専門学校などの養成施設に入学することが必須。

公務員になるには

どんな学部、学科を専攻すればいい? 公務員の種類、職種を徹底解剖!

※公務員にはさまざまな職種があり、試験の種類もたくさんあるのでしっかり調べよう!


国家公務員の採用試験は総合職、一般職いずれも「大卒程度試験」が行われているが、受験資格で年齢制限はあるものの、学歴の制限がないため、大学を卒業していなくでも受験できる。

地方公務員の採用試験では、自治体により、学歴要件などの受験資格が必要な場合もあるので、注意したい。

公務員採用試験のなかでは、「国家公務員採用総合職試験」が最も難しいといわれているが、そのほかに国家公務員は筆記試験が難しい、地方公務員は人物試験が重視されるなどの傾向もある。

さらに、筆記試験の出題形式は、択一式や記述式など、自治体や区分、試験種、科目により異なっている。

なかには、適性検査と面接試験だけの自治体もある。

自治体や試験区分によって採用人数に大きな差があり、倍率もかなり違ってくるので、事前に調べておきたい

1次試験は例年5~6月に集中しているが、試験日が重ならなければ併願受験も可能。

公務員試験は、出題範囲が広いので、効率良く学ぶことが合格への近道だと言える。

また、一般的な資格試験とは違って、「就職試験」でもあるため、試験の情報収集や面接試験対策なども重要ポイントになっている。

大学内で、授業とは別に公務員試験対策講座を受講できる場合もあるので、大学のオープンキャンパスでチェックしておいたり、入学後に大学内のキャリアセンターで相談してみたりするといいだろう。


大学以外でも、資格スクールなどで筆記から面接対策まで試験別の対策講座が開講されているので、大学と資格スクールとのWスクールで合格を目指す方法もある。



公務員の職種別の難易度は?

公務員の採用試験には多くの種類があり、試験種別で出題範囲が異なる、出題内容の専門性が高い、採用人数が少ないなど、職種によって難易度に大きく差が出ている。

また採用試験の難しさだけでなく、競争倍率が高い場合は、その分、合格率が下がって難易度が上がるため、競争倍率もチェックしておきたい。

  ★★★ ★★
難易度
Sランク
国家公務員総合職
難易度
Aランク
外務省専門職、防衛省専門職 大都市圏都道府県庁上級 政令都市・特別区(東京23区)、衆議院・参議員一般職、国立国会図書館一般職、裁判官事務官
難易度
Bランク
  国家公務員一般職(大卒)、地方公務員上級(都道府県)  
難易度
Cランク
財務専門官、国税専門官、皇宮護衛官、航空管制官、海上保安官、市役所 裁判所事務官、参議院職員、国立国会図書館、海上保安大学校  
難易度
Dランク
    市役所職員、警察官、消防官(大卒)


公務員試験の難易度Sランクは国家公務員総合職

国家公務員の採用試験は、「総合職」「一般職」「専門職」に分かれ、さらに専門職試験は職種別に試験内容が異なる。

地方公務員の採用試験は、自治体によって大きく異なっている。

それぞれ試験種別で試験形式(択一式、記述式、論文式、面接、集団討論など)や出題範囲が異なり、出題内容の専門性が高いため、目標を定めて、しっかり試験対策をすることが必要。

以下、公務員試験の職種別の難易度を紹介しよう。


資料提供/資格の学校TAC
【難易度Sランク】
★★★★★国家公務員総合職

最難関と言われる国家公務員総合職は、高い知識と面接の対応力が求められる。
筆記試験は、択一式試験だけでなく、専門科目の論文試験、社会・経済問題などの一般的な課題について800字~1200字程度で論述する教養論文試験もある。


【難易度Aランク】
★★★外務省専門職、防衛省専門職
★★大都市圏都道府県庁上級
★政令都市・特別区(東京23区)、衆議院・参議院一般職、国立国会図書館一般職、裁判所事務官

専門性が高い職種は採用人数も少ないため、競争倍率が高くなることからも難易度がアップしている。


【難易度Bランク】
★★国家公務員一般職(大卒)、地方公務員上級(都道府県)

SランクやAランクの職種に比べると公務員試験の難易度は高くないものの、受験者数が多く、競争倍率が高くなる傾向にあるため、要注意。


【難易度Cランク】
★★★財務専門官、国税専門官、皇宮護衛官、航空管制官、海上保安官、市役所
★★裁判所事務官、参議院職員、国立国会図書館、海上保安大学校

Cランクといっても、Bランクの公務員試験と難易度は大差なく、競争倍率が高い職種も少なくない。


【難易度Dランク】
★市役所職員、警察官、消防官(大卒)

筆記試験は教養問題と論文のみが一般的。市役所職員は面接が重視される傾向にある。

公務員にはさまざまな職種があり、試験の種類もたくさんあるので、しっかりと情報収集をして、自分にぴったりの仕事をみつけよう!



取材協力/資格の学校TAC
取材・文/やまだ みちこ 構成/黒川 安弥

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