雨のパレード、Dos Monosとの共作「惑星STRaNdING」で示した“ボーダーレス”な音像

雨パレ×Dos Monosのコラボを考察

 3人体制となって初のフルアルバム『BOREDERLESS』を2020年1月22日にリリースする雨のパレード。まさに本作はタイトル通り、あらゆる境界を超えていく具体的な音像、ビートが鳴っている作品に仕上がった。その証左となるような先行デジタルシングル曲「惑星STRaNdING(ft. Dos Monos)」が、現在のリアリティとエッジを兼ね備えた音楽を追いかけているリスナーの間で話題を呼んでいる。

Dos Monos

 Dos Monosは荘子it(MC/トラックメーカー)、TaiTan(MC)、没 a.k.a NGS(MC/DJ)からなるヒップホップユニット。その音楽性にはトラップ以降のヒップホップともグランジラップとも、日本のオーバーグラウンド、アンダーグラウンドのヒップホップとも異なる音楽的な出自があり、主にフリージャズやプログレ、時にインダストリアルなロックの要素も感じさせる。

 表面的な日常と実はつながっているバグや歪みを表現していると荘子itはインタビューで語っているが(参考:NEUT Magazineインタビュー)、彼らのバックボーンを知らなくても、2019年のムードのなかで例えばビリー・アイリッシュと並行して聴いていたり、<Warp Records>がSpotifyで公開しているプレイリストにDos Monosの「Clean a Nerves」が入っていたことで、例えばフライング・ロータスと並行して聴いていたリスナーもいるだろう。このプレイリストを聴くリスナーはどちらかといえばダークで内面にダイブするような世界観を好んでいるように思うが、その中でDos Monosの音楽性はヒップホップというスタイルを超えて響いたのだ。

 ある種のウィルスのように伝播しているDos Monosと、雨のパレードとの邂逅は必然だったとしか言いようがない。今回の「惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)」でのコラボ以前に、雨のパレードの3人体制初のシングル『Ahead Ahead』(2019年4月)に収録された「Hometown feat. TABU ZOMBIE(from SOIL&“PIMP”SESSIONS)」ではリミックスでDos Monosが参加。原曲にあった福永浩平(Vo)のボーカル部分をガッツリDos Monosのラップに差し替え、トラックも再解釈。その後、雨のパレードのツアーや8月に雨のパレードが出演した『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』にもゲストで出演し、大いに雨パレのファンにも馴染みのある存在になったというのが、2019年の2組の関係性だ。

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